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クリスマス前後、私はウィスコンシン州にある実家で体感温度−26℃の寒波と吹雪に見舞われ、家のなかに閉じ込められていた。そんなとき、私はいつものように反射的にInstagramを開いた。おすすめのコンテンツを眺めていると、屋外の日差しを浴びる、鮮やかなブルーのブリッジを備えたホワイトセラミック製のオーデマ ピゲ ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワークのリストショットが目に飛び込んできた。“おや、これは古い写真に違いない”と私は思った。“あれはオンリーウォッチのためにオーデマ ピゲが製作したユニークピースで、市販はされなかったはずだ。それなのに、なぜこの人物は外で身につけているのだろうか?”
2023年のオークションプレビューで披露された、オンリーウォッチのためのユニークピース。
そのときは好奇心を抱いたままだったが、ずっと頭の片隅に引っかかっていた。しかしInstagramで2つ目、3つ目と投稿を目にし、さらには4枚目の写真(アカウント名@Chronopeaceによるもの)で同じ時計が3本も写っているのを見たとき、何が起きているのか突き止めずにはいられなくなった。私はオーデマ ピゲのファンであり、(たとえカタログ外のモデルであっても)彼らの新作情報を常に把握しておきたいと考えている。そこで、ブランドと数人のコレクターに連絡を取ってみた。その結果、確かにその時計は存在し、しかも複数本製作されていたことが判明した。現在わかっている情報を紹介しよう。
まず、ブランドは親切にもこの時計のフルスペックシートを送ってくれた。それにより、もともとチャリティオークションのオンリーウォッチのために製作されたユニークピースが、実際に生産されていたことが確認された。その個体はチューダーなどの他ブランドのモデルとともに、オークションが支援する慈善団体をめぐる批判や疑問の声を受けて、出品が取り消されていたものだ。
この作品をオンリーウォッチから取り下げる決断はかなり早い段階で下されており、クライアント向けに販売するという決定(それから約2年後の現在)とは無関係に行われた。また、出品取り消し後、オーデマ ピゲにはそのユニークピースを購入できないかというクライアントからのリクエストが殺到したことも事実だ。複数の購入希望者からは、購入の機会を求めて文字どおり懇願したという話を聞いている。つまり、今回の展開はオーデマ ピゲが顧客の要望に応えた結果なのだ。
この時計は合計50本製作され(画像のケースバックの刻印で確認済み)、購入者によれば(ブランドは公式に認めていないが)、ミラノで開催されたオーデマ ピゲのソーシャルクラブイベントの出席者に提供されたと言う。そのイベントはジョン・メイヤー(John Mayer)氏がオーデマ ピゲとの新たな役割と、自身の限定モデルであるロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー “クリスタルスカイ”を発表した場でもあった。興味深いことに、メイヤー氏も最近、このロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワークと思われる時計を着用している姿が目撃されている(しかし彼のものはブリッジがブラック処理されているようにも見える。これは興味深い点だが、単なる光の加減かもしれない)。
もしオーデマ ピゲがこの時計の開発をすべて終えながら市場で何も発表しなかったとしたら、それは実にもったいないことだったと思う。私はチューダーに対しても、オンリーウォッチのためにプロトタイプを製作し、同じくオークションから取り下げた“ビッグブロック” クロノグラフがいつ登場するのか、常に問い続けている。ビッグブロックがチューダーにとって象徴的であるように、ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワークはおそらくオーデマ ピゲにとって2番目に“らしい”要素であり、現在ブランドが製作しているオープンワークのフライング トゥールビヨンとしては、これがわずか2番目のバージョンとなる。
同じモデルのサンドゴールドバージョン。
オーデマ ピゲは1986年、世界初の自動巻きトゥールビヨンを搭載した腕時計を発表した。ジャクリーヌ・ディミエ(Jacqueline Dimier)氏がデザインしたその時計はトゥールビヨンを主役に据えており、そのスタイルは今日まで受け継がれている。当時のモデルは、丸みを帯びた長方形のケースの隅に設けられた小さな開口部にトゥールビヨンを配置するという一風変わったスタイルだった。
ロイヤル オークの25周年には、12時位置のスモールダイヤルで時刻を表示し、ほかのふたつのインダイヤルにパワーリザーブと日付を備え、きわめて奇妙な(そして少し不思議な)ロイヤル オーク風ベゼルのフレームに囲まれたトゥールビヨンキャリッジを持つ自動巻きトゥールビヨン、Ref.25831STを発表した。2004年にはトゥールビヨン、クロノグラフ、パワーリザーブを備えたロイヤル オーク “トラディション デクセレンス No.4”をリリースしている。
Photo courtesy Audemars Piguet
ロイヤル オークとトゥールビヨンが最も調和の取れた形に達したのは、2012年のことだ。ロイヤル オークの40周年を記念してオープンワークのRef.26511PTが発売され、数年後にはイエローゴールドバージョン、2017年にはステンレススティール(SS)バージョンが登場した。その時計はより控えめなブリッジ形状を採用しており、現在見られる形に最も近い(そして2020年に現在の形へと進化した)。
同年、彼らはSS製のロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワークをリリースした。また、オーデマ ピゲはRef.26579CEで、ケース、ベゼル、ブレスレット、リューズのすべてにフルセラミックを採用した初のロイヤル オークを発表した。セラミックはブランドで最も切望されるリリースの柱となり、新しいRef.26735CBは、私がオーデマ ピゲの真髄だと考えるふたつの要素を究極の形で体現している。
スペックが気になる方のために記しておくと、ケースサイズは41mmで厚さは10.6mm。50mの防水性能を備えている。ホワイトセラミックには、スケルトン加工された地板のブルーのアクセントがコントラストを成しており、地板に最終的な処理が施される前に手作業で磨かれたV字のアングルが施されている。また、トレ・ティレ(traits tirés)、サテン仕上げ、スネイル仕上げ、そのほかの面取りなど、ハイエンドな仕上げが繊細に組み合わされている。ムーブメントの初期形状はCNCによって製作され、次に放電加工を経て、最終的に手作業による仕上げが施される。Cal.2972の振動数は2万1600振動/時で、65時間のパワーリザーブを誇る。残念ながら販売価格だけは把握できていない。サンドゴールドモデルが27万ドル(日本円で約4100万円)であったことを踏まえて、推測してみて欲しい。
ロイヤル オーク コレクションの詳細はオーデマ ピゲ公式サイトから。
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