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クイック解説
我々は、2017年にミン・ティエン(Ming Thein)氏が手掛けた最初の時計を目にしたが、いくつかの点に関して非常に感銘を受けた。この時計は素晴らしい価値をもっているだけでなく、ひと目でそれと分かる独特のデザインと、この価格帯では見られない多くの技術的強みがあったのだ。この時計の成功は、2019年のGPHGにおいて、ミン 17.06 コッパーが、オロロジカル・レベレーション賞(Horological Revelation)を受賞するに至ったが、最近同社は、新たなムーブメントを搭載した全く新しい時計を発表した。新作のタイムピースは、ミン初の超薄型時計であるミン 27.01だ。
ミンの最新作は、彫りの深いラグやケース形状といった同社の特徴を維持しながら、直径38mmで6.9mmとこれまで製造した時計の中で最も薄い作りである。ミンは、ケース素材にチタンを多用してきたが、新作の27.01では、ステンレススティールを採用している。
それにも関わらず、非常に精巧に機械加工されたケースを備えた本機は驚くほど軽量だ。ケース中央部は、フライス加工されており、溝は透かし加工が施されたラグからケース全体に連続的に流れるようだ。超薄型の時計としては、防水性能は50mと優れており、シースルーケースバックからは、新型ムーブメントを鑑賞することができる。
ムーブメントは、ETA/プゾー 7001をベースに、ムーブメント全体に手が加えられており、そのままとなっているのは、輪列と脱進機のみである。地板とブリッジは、ミンの長年のパートナーであるシュワルツ・エティエンヌ(Schwartz-Etienne)氏がスイスで制作してたものであり、オリジナルとの違いは明白だ。2番車と、3番車から脱進機にかけての輪列のためにとても薄いブリッジが用意されている。これによって、オープンワークキャリバーを思わせる高い透過性をもったムーブメントを実現している。
ストラップは、今回もジャン・ルソー社が提供している。価格は3950スイスフラン(約44万円)で、初回は125本のみが生産される。納品時期は、9月中を予定。注目すべき点は、夜光が採用されていないことだ。これまでの同社の多くの時計には、スーパールミノバが採用されているが、従来のエクストラフラットやウルトラシンといった超薄型時計の多くに夜光が採用されていないためこの仕様になっているのである。しかし、文字盤には、インデックスのために切り抜かれたチャプターリングが採用されており、これまでのミン同様に文字盤の奥行きを感じることができる。
ファースト・インプレッション
昨年、ミンが受賞したGPHGに出品されたモデルなど、同社の時計はどれも驚きの連続であるが、この27.01も例外ではない。非常に美しく作られ、考え抜かれた時計であり、ミンの時計に対して期待される細部へのこだわりが隅々まで行き届いている。
ムーブメントもまた別格だ。ETA 7001の輪列と脱進機は維持しているが、そのままでは実現できない視覚的なインパクトと美しさを持ち合わせており、他の多くの企業であれば自社ムーブメントと呼ぶほどの代物だ。
27.01を含め同社の時計には、ミニマリズムの傾向が強く見られるが、同時にディテールへのこだわりが豊富であるため、超薄型時計に時折見られるような薄っぺらい感じを見事に回避している。非常に薄く、それでいて手にも手首にもしっかりとした存在感を与えてくれる時計である。
基本情報
ブランド: ミン(Ming)
モデル名: 27.01
直径: 38mm
厚さ: 6.9mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: マルチトーンのグレー
夜光: なし
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ジャン・ルソー社のバーガンディストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: ミン7001 M1、ETA 7001ベース
機能: 時、分
パワーリザーブ: 42時間
巻き上げ方式: 手巻き
価格&発売時期
価格: 3950スイスフラン(約44万円)
発売時期: 発売中(2020年分は既に完売)。以下公式サイトより順次購入可能。
限定: なし。しかし初年度の生産本数は、125本
さらなる詳細は、ミン公式サイトへ
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