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ジョージ・パットンやストーミン・ノーマンのように、カール・ブラシアは戦場を超越して、アメリカの神話的人物となった軍人の一人である。1931年から2006年まで生き、ケンタッキー州で育った彼は海軍初の黒人マスターダイバーとして、またハリウッド映画『ザ・ダイバー(Men of Honor)』の題材となった人物として、おそらく最もよく知られている。彼は1966年にスペイン・パロマレス沖で失われたB28核爆弾の回収中に片足を失った。事故後、ブラシアはアメリカ海軍の潜水士として切断手術を受けた史上初のダイバーとして再認定され、その後、彼は軍事史におけるアイコンとなった。
フィリップ・ブラシアはカール・ブラシアの息子で、彼自身も軍人である。彼は陸軍予備軍でCH-47を操縦している。彼はタスクフォース・イーグル(NATOが主導する進行中の平和維持ミッション)の一員としてボスニアで、イラクではイラク自由化作戦に参加している。彼の軍服の中で標準装備ではないところがある。それはオリスのダイバーズウォッチで、毎日コックピットに入る前に着用するという。この時計は、どんな困難も適切な態度で乗り越えられるということを思い出させてくれるそうだ。
2006年にカール・ブラシアが亡くなって間もなく、フィリップは弟ダウェインと共に、彼のレガシーを存続させるための財団を設立した。年月が経ち、フィリップは次のように語る。「2015年、電話が鳴ったのはオリスの代表からでした。彼は、父に敬意を表したダイバーズウォッチを製作できるかどうか知りたいとのことでした」
フィリップの仕事柄、外国籍の人物とコラボレーションは難しいものだったが、彼がスイスの時計メーカーを初めて訪問した後は、全てがトントン拍子に事が運んだと話す。こうして2016年に発表されたオリス カール・ブラシア リミテッドエディションは、瞬く間に成功を収めた。42mmのブロンズケースはオリス ダイバーズ65からデザインのインスピレーションを得ているが、これはカール・ブラシアが当時使用していたダイビングヘルメットに敬意を表してブロンズで表現された。
この時計の裏には、偉大なブラシアの命が込もった信条が書かれている:「打ち負かされるのは罪じゃない。罪なのは何もしないでいることだ(It's not a sin to get knocked down; it's a sin to stay down.)」
フィリップは、この時計を着けていると、父が貧困、文盲、人種差別、身体的な病気、アルコール依存症を乗り越えたことを思い出すことができると語る。そして彼は語る。「私の父がこれらの5つのことを乗り越えることができ、成し遂げることができるならば、私は何について不満をもつ必要があるでしょう? 自分の問題に、人生を決めさせてはいけない」
フィリップは、アメリカ陸軍最高位に当たる准尉、CW5(上級准尉5)である。彼は数十年前に父が直面したのと同じ課題を乗り越えてきた。彼は1990年に陸軍の回転翼機飛行学校を卒業し、ベトナムでの活躍で有名になったヘリコプター、ベル UH-1イロコイで訓練を受けた。最新の状態を保つために、陸軍パイロットは遠くのFBO(運航支援事業者)への訓練飛行を行い、そこで回転翼航空機に燃料を補給する。フィリップの場合、UH-60 ブラックホークかCH-47だった。給油は通常、乗組員であるクルーチーフ(飛行機付きの兵曹)の任務である。そのため、長年にわたり、FBOの燃料補給担当者は、彼のことを機長ではなくクルーチーフだと誤って思い込んでいたことが何度もあった。
彼は軍での成功を、個人的な信条「頑張ればなんとかなる」のおかげだと思っている。ある意味では、世界は彼の家族に追いつきつつある。昨年、ケンタッキー州の上院議員クリス・マクダニエルは、州議会議事堂の外にあるジェファーソン・デイビス像をカール・ブラシア像に置き換えることを求めた。
フィリップは、最近発売されたカール・ブラシア限定モデルの時計をまだ受け取っていない。そして彼は、3つの継続版コレクションを全て自分のために所有しているわけではない。彼には現在、ノースカロライナA&Tの予備役将校訓練課程で医師になるために訓練を受けている息子がおり、その息子が文字通り、そして比喩的に彼の名前が入った時計を持っている。「私にとって時計は、たいまつのようなものです」とフィリップは言う。「それは父からもらったものですが、今は息子に引き継ぐつもりです」