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Lead image, courtesy of Christie's.
ダニエル・ロートのウェブサイトは何年も前から暗転していた。つい最近まで、ブラウザでdanielroth.comを検索しても、ブルガリのコーポレートサイトにリダイレクトされていたのだ。ダニエル・ロートブランドは2000年にブルガリに買収され、ダニエル・ロート銘の時計はその後まもなく製造中止となったからだ。
何かが変わったのだ。
リダイレクトされなくなり、ウェブサイトは独自のランディングページを持つようになったが、まだかなり質素で、ダークグレーの画面に大文字で“COMING SOON”と書かれたページが表示されている。
ダニエル・ロートブランドが復活しようとしているという、多くの時計愛好家が待ち望んでいた事実を裏付ける最新のニュースである。
ダニエル・ロートは何者か?
彼はあなたの好きな時計師であり、ウォッチメーカーかもしれない。
1970年代から80年代にかけてブレゲに14年間在籍し、同社の名声を回復させたロート氏は、1988年にスイスのル・サンティエに自身の会社を設立した。その後6年間、トゥールビヨン、クロノグラフ、パーペチュアルカレンダー、時間表示のみの腕時計を開発・制作・発表し、そのほとんどが非常に個性的で非常に奇抜なダブルエリプスケースを採用。最終的には自身の名前を冠した会社の株式を売却した。
ダニエル・ロートという男が、ダニエル・ロートというブランドと関わりを持ってから約30年が経った。ロート氏は、息子と妻、そして自身のファーストネームを冠したジャン・ダニエル・ニコラ(Jean Daniel Nicolas)という家族経営の時計メーカーを設立した。ジャン・ダニエル・ニコラの時計は非常に希少かつ高品質であり、年間平均で3本しか生産されない、顧客の希望に沿ったオーダーメイドウォッチだ。
なぜブランドが復活するのか?
2000年にブルガリがダニエル・ロートを買収し、2011年にLVMHがブルガリを買収した。ブルガリはロートを傘下に収めたのち、クラシックなダブルエリプスのケース形状を自社の時計に採用する試みを行ったが、ジェンタがデザインしたオクトほど流行はしなかった。
LVMHが新しいジェラルド・ジェンタウォッチをなかなか発表しないなか、ダニエル・ロートの名前を復活させ、実験的な試みを支援することはコングロマリットにとって十分に意味のあることだ。特にオリジナルのロート作品に対する関心とコレクターの評判がここ数年で大幅に高まっているため、このような取り組みが行われることになった。
ダニエル・ロートの復活劇には、LVMHのトップであるベルナール・アルノー一家における、思いがけず熱心な推進派が関与しているようで、ジャン・アルノー(24歳、ベルナールの息子のなかで最年少)氏が、この再生の原動力となったようだ。
彼は、今年の9月上旬にブランドの復活に取り組んでいることをフィナンシャル・タイムズに寄稿したニコラス・フォルケス(Nicholas Foulkes)氏に話し、何らかの公式発表(私がURLを振り返って見たこと以外の)が、2023年に行われると約束したのである。
そのほかにわかっていることは?
正直なところ、それほど多くはない。アルノー氏には、会社を発展させるためのさまざまな方向性がある。
そのひとつは、1980年代後半から90年代前半にかけて、ダニエル・ロートを特徴づけたオリジナルのデザインと複雑機構、つまりダブルエリプスケース、トゥールビヨン、クロノグラフに注力する戦略だろう。それがいちばん理に適っているような気がする。
別のアプローチとしては、これらの属性を進化させた上で、ケースデザインやムーブメントを一新し、新時代を切り開くというものだ。
またダニエル・ロート氏が、何らかの形でダニエル・ロート(ブランド)に復帰する可能性も否定できないと思っている。2010年代初頭のロジェ・デュブイとリシュモンがそうであったように、多くの人々がその復帰を歓迎し、また感謝することだろう。
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Daniel Rothブランドは、LVMHウォッチが所有しています。LVMHウォッチについては、オンラインで詳しく知ることができます。
LVMH Luxury VenturesはHODINKEEの少数株主ですが、編集の独立性を完全に保っています。