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一部の専門家が"史上最高のパテック フィリップ"と呼ぶ時計を販売したサザビーズが、時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタの遺産を中心としたオークションを2022年上旬の開催を発表。コンビのオーデマ ピゲ ロイヤル オーク Ref. 5402Aを筆頭に数々の品が出品される予定だ。
ジェラルド・ジェンタの妻でビジネスパートナーだったイヴリン・ジェンタ(Evelyne Genta)氏が、現在管理しているジェンタの遺産からオリジナルの時計デザイン、スケッチ、水彩画など100点が集められ、ジュネーブ(2月10~24日)、香港(3月10~24日)、そしてニューヨーク(4月13~27日)で行われるオークションで落札される予定だ。サザビーズは、これらをまとめて「Gérald Genta Icon of Time Sale」と呼んでいる。2022年5月、ジェンタの故郷ジュネーブで年2回開催されるサザビーズ「Important Watches Auction」で、ジェンタが個人所有していたロイヤル オーク(エスティメートは30万〜50万ドル、約3400万〜5700万円)の販売ですべてが締めくくられる。
偶然にも、この年はロイヤル オークにとって特別な年だ。1970年にジェンタによって考案されたロイヤル オークがリリースされたのは1972年のこと。つまり2022年は、現代の時計において最も人気のある重要なタイムピースのひとつが誕生から50周年を迎えるのである。もちろん、ジェンタはロイヤル オーク以外にも多くの作品で知られている。パテック フィリップのノーチラス、ユニバーサル・ジュネーブのポールルーター、オメガのコンステレーション、ブルガリのブルガリ・ブルガリ、カルティエのパシャの1985年版、そのほか、ヴァン クリーフ&アーペル、ハミルトン、セイコー、タイメックスといったメーカーのあまり知られていない数多くの時計に彼の痕跡を見ることができるのである。
また、彼は1969年には自身のブランドを立ち上げ、レトログラード表示や高度な複雑機構、ディズニーとのコラボレーションなど、さまざまなタイムピースを発表。今回の「Icon of Time Sale」では、ジェンタの多彩なキャリアからこれらの要素がすべて集約され、表現されている。2月にジュネーブで開催されるセールでは、ジェンタのロイヤル オークのオリジナルデザイン、そしてこれまで公開されていなかった非常にクールな6面体のデザイン原案を見ることができる。3月に香港で行われるセールでは、ノーチラスのオリジナルデザインに加え、1995年に発表され、世界で最も複雑な腕時計のひとつとされたジェンタのグラン・ソヌリのためのみっつのデザインも展示される。また、4月開催のニューヨークセールでは、ジェンタのディズニーウォッチ「ファンタジー」コレクションに使用されたデザインも展示される予定だ。どの時代のジェンタの作品であっても、あなたのお好みのものが見つかるだろう。
当然、2022年という時代性も反映して、ジェンタのデザインには、お揃いのNFT(Non-Fungible Token [非代替性トークン])が多く組み合わされている。HODINKEEでは、NFTが時計コレクターの市場やオークション界に与える潜在的な影響について、あまり時間をかけて検証してこなかったし、この記事でもその複雑さと傾向を説明するのに十分な時間とスペースはない。しかし、これは最終的に高級時計市場のあらゆる側面に影響を与えるであろう、より大きな話題の第一歩のような気がしてならない。ジャン-クロード・ビバーを含む多くの時計業界のベテランたちが、すでに時計の世界におけるNFTとその可能性を推進しており、多くの高級時計ブランドが自社製品の認証にブロックチェーンを使用しているのを我々は目にしてきた。
「ジェラルドは常に時代の最先端にいました。時計製造の限界を押し広げるという彼の遺志を継ぎ、この革命的なスケッチを今日の最も革新的なアートフォーム"NFT"で蘇らせることは、当然のことだと思いました」と、イヴリン・ジェンタ氏は今回の販売に関する公式リリースで述べている。
ジェンタの100点ものデザインは、時計愛好家にとって、時計業界で最も優れた芸術家である人物のオリジナル作品を入札する素晴らしい機会となっている(ロイヤル オークの最初のプロトタイプの手描きスケッチを所有することができたら、どんなに素晴らしいことだろう)。 しかし、最も注目を集めるのは、ジェンタ氏が個人所有していたロイヤル オークであることに疑いの余地はない。
今年初め、オーデマ ピゲのオークションで、ロイヤル オーク コンセプト“ブラックパンサー”フライング トゥールビヨンのユニークバージョンが520万ドル(約5.9億円)で落札され、同社の最高落札記録が更新されたことは、先日も触れた。これは巨額であり、チャリティが入札に与えた影響は計り知れないが、ジェンタが所有する5402もまた同様だ(チャリティを含む。収益の一部は、ヤング・タレントのジェラルド・ジェンタ賞の第1回目の立ち上げに充てられる)。
出どころも明確で、状態もよく(画像で見る限りでは、だが。来年どこかで実際に見てみたいと思っている)、そして何よりストーリーがある。
ロイヤル オークを世に送り出した男のロイヤル オーク。
これ以上のものは存在しないだろう。
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「Gérald Genta Icon of Time Sale」の詳細については、サザビーズの公式サイトへ。