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私はグランドセイコーのダイバーズウォッチが好きだ。それを誰が知っていても構わない。
グランドセイコーのハイエンドな時計は、一般にはあまり馴染みがないジャンルだ。一般的な時計コレクターは、グランドセイコーのドレッシーな腕時計やGMTを搭載した腕時計、例えば変わらぬクラシックを備えた雪白ことスノーフレークやSBGM221に引かれることだろう。しかし、私はグランドセイコーの軽視されがちなダイバーズウォッチも、もう一度見直す価値があると固く信じている。それを取り巻く第一の不満であるサイジングについては、賛否両論あることは承知している。しかし私は、この時計が特別なものであると伝えるためにここにいる。
そう - グランドセイコーのダイバーズウォッチについての、完全に主観的で、完全に偏った(そして完全に正しい)私の独白へようこそ。
グランドセイコーのダイバーズウォッチを愛する理由入門編
私の時計キャリアの初期 - グランドセイコーが国際部門を、強固で巨大な日本のセイコーホールディングス株式会社から分離し、独自の国際ブランドとする丸2年前の2015年だったと思う - 私は腕にグランドセイコー スプリングドライブ ダイバーSBGA029のサンプルをつけていた。その日、私はこの時計の虜になったのだ。当時自分の手首のサイズを正確に把握することができず、この44mmが「エクストララージ」であることも知らなかった。ただ、手首に非常によくなじむことだけは確かだった。そして、中央の秒針が文字盤の上を浮遊するように動き、今まで見たことのないようなシームレスなワルツを奏でていたのだ。私はこの時計の、そしてのちにスプリングドライブ全体の虜になった。
この7年間に、グランドセイコーはもちろんのこと、私にとっても多くの変化があったが、少しも変わらなかったのは、グランドセイコーのダイバーズウォッチが私の心を掴んでいることだった。今でも私の究極の時計はグランドセイコーのスプリングドライブ ダイバー、 SBGA143であり、これは鮮やかな青紫色の文字盤が特徴で、2016年に東京の和光で30本限定で発売されたものだ。
私はグランドセイコーのダイバーズウォッチについて世界一の専門家であると宣言するつもりはないが、臆面もない愛好家であり、だからこそこの場を借りて、私が愛するニッチな分野に対するよくある批判に反論したいと思っている。
グランドセイコーのダイバーズウォッチは、その大きさに意味がある
時計の装着感に比べると、時計の大きさはほとんど意味がないと私は信じている。それには、重要なラグ間の寸法も含まれる。誤解を恐れずに言えば、直径や厚み、ラグ間といった数値は比較対象として有用だが、すべての時計のケースや手首の形状は異なるという単純な事実は、寸法表からは読み取ることができない(そのため、私にはノモス グラスヒュッテの40mm以下の時計よりも55mm径のG-SHOCKの方がしっくりとくるということが起こる)。
ということは、グランドセイコーのダイバーズウォッチは完璧なサイズだと公言している私は、大の偽善者ということだろうか。ある意味そうだ。もちろん、フィットしない人もいるが、グランドセイコーのダイバーズウォッチが一般的な時計消費者にとって大きすぎるというのは、単なる誤解だと思っている。
では、今年の初めにWatches & Wondersで発表された43.8mm×13.8mmのSLGA015が、36mm×10mmのヴィンテージダイビングウォッチのように装着できるということを意味するだろうか。そんなことはない。しかし、なぜそうなるのだろう? グランドセイコーのダイバーズウォッチは、すべて完全に現代的なものなのだ。例えば、2000年代以前のグランドセイコーのダイバーズウォッチは存在しない。そのためグランドセイコーは、ケースの構造、そしてよく知られた「Grammar of Design」に関して、別次元でプレーすることができるのだ。
私が愛するSBGA413は、決してヴィンテージの44GSのようなダイバーズウォッチではない。覚えているだろうか。SBGA029のような初期のグランドセイコーのダイバーズウォッチは、グランドセイコー初のフラッグシップモデルとして、まったく新しい境地を切り開いたのだ。SBGA029のような時計が、やがてスプリングドライブ クロノグラフのチタンとセラミックのハイブリッドケースデザイン、そして最終的にはエボリューション9のケースフォーマットのような、より過激なプロファイルの先駆者となったことは、非常によくおわかりいただけると思う。
グランドセイコーがケースデザインのあらゆる側面を考慮せずにダイバーズウォッチを製造しているとお考えなら、それは間違いだ。SLGA015のケースは、グランドセイコーが現在製造しているほかのケースと同様に複雑であり、クリーンなライン、シャープなファセットを備え、精密なザラツ研磨が施されているのだ(グランドセイコーのダイバーズウォッチの設計原理についてもっと知りたい方は、コールが執筆したハイビートオートマチックSBGH255の飽和潜水体験をぜひ読んでみて欲しい)。
グランドセイコーは、ロレックスのサブマリーナーやオメガのシーマスター、ブランパンのフィフティ-ファゾムスのような成功例をダイバーズウォッチで再現しようとしているわけではない。アーカイブのヴィンテージ品に敬意を払う必要もなければ、時代遅れのデザインキューを見直す必要もないのだ。彼らは好きなようにダイバーズウォッチとスポーツウォッチのコレクションを開発・実験することができる。また、セイコーグループのなかでサイズを比較するにしても、最近のマリンマスターライン(セイコーの最高級ダイバーズウォッチ)は、グランドセイコーのほとんどのダイバーズウォッチと同じサイズだ。これらの時計の装着感に関する苦情はあまり聞かれない。
グランドセイコーの最新モデル(SLGA015)とロレックスのサブマリーナー(Ref.124060)のケースサイドを比較してみよう。グランドセイコーのケースは完全に角度をつけ、手首に向かってカーブしているのに対し、サブマリーナーの側面はほとんどが水平に残り、軽く下向きにアーチを描いているだけだ。参考までに、計測器の種類にもよるが、SLGA015はサブマリーナーに比べ、直径、厚さともに2.5mmから3mmほど大きい。上の写真のふたつの時計のケースバンドを見て、SLGA015のプロポーションは124060と同じような手首の感覚をもたらすと考えるのは、完全に合理的とは言えないのだろうか?
上記は単なる比較の一例だ。ロレックスはロレックス、グランドセイコーはグランドセイコーであり、どちらもほかのものになろうとしているわけではないし、これ以上の比較は無駄だろう(写真のグランドセイコーは、ケースの仕上げが格段によく、ケース素材もより高級で内部も高級ムーブメントを使用している。一方、サブマリーナーは、ブレスレットやクラスプシステムの改良に加えて、より高い防水性を実現している)。しかし、あなたの手首でのフィット感が重要だと理解することが大切なのだと私は思う。そして、私が知る唯一の解決策は、最終的な判断を下す前に、興味のある時計を実際に試着して、どうフィットするかを確認することだ。
今まで気づかなかったことに驚かされるかもしれない。