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Photos by Mark Kauzlarich
寒いのに“冬っぽい”とはいえないニューヨークの季節をだらだらと過ごしたあと、私は新しい時計を買うたびに夏の楽しみを思い描くという季節の摂理から抜け出せない状態に陥る。
今回はブルガリの最新リリースである、ブルガリ アルミニウム カプリ 限定モデルとブルガリ アルミニウム マッチポイント 限定モデルというふたつのエディションを紹介しよう。これらのタイム&デイトウォッチはここ数週間で徐々に展開されている、1990年代にインスパイアされたアルミニウム製ウォッチの一部として、5月上旬に発表された。
さて、そろそろジョークをいう時間だ。この時計は誰がつくっているのか? わからない、もっとはっきり教えて欲しい。そうだ、ブルガリがこのアルミニウムウォッチなどで、“BVLGARI”の名前を2倍、3倍、4倍、5倍にするのが好きだということは誰もが知っている。もしあなたが私のようにこのちょっとしたスタイリングにこだわり続けているのなら、チャンスを逃していることになる。実際この時計にはあなたが見逃しているであろう多くのものがあるからだ。
まず、最後にアルミニウムウォッチを身につけたのはいつか? チープなおもちゃみたいな時計のことではなく、非常にしっかりとしたケースデザイン、ムーブメント、全体的なデザインコードを持つ時計のことだ。私自身はポルシェデザインのコンパスウォッチを実際に目にしたのが、おそらく最後だったように思う。アルマイト処理されたアルミケースを持つその時計は、このブルガリに期待する以上の摩耗や損傷が見受けられた。その代わり、マットなサンドブラスト仕上げのグレーのアルミニウム製ミドルケース(それとストラップのバックル部分)を採用しており、ラバーベゼルに似た質感を備えていた。
DLCコーティングされたチタン製ケースバック(ひとつはカプリのイ・ファラリオニ、もう一方はテニスボールで、どっちがどっちかは予想できるだろう)と、それに合わせたリューズがコントラストを際立たせている。でも私が特に気に入っている部分は、ベゼルとブレスレットのあらゆる面に“ROLEX”と書かれたロレックス サブマリーナーを彷彿とさせる超スクエアなリューズガードかもしれない。どこか別の世界にその時計は存在するが、ブルガリはツール、ドレス、スポーツウォッチを年間100万本以上製造しているのだ。
これだけ軽量な素材を使っているのだから、手首への負担も同様に軽いというのは驚くべきことではない。確かにチタン製のオクトフィニッシモほど軽くはないが、40mm×9.4 mmというサイズを考えれば十分な軽さだ。スタンダードなクリームダイヤルは71gで、どちらも既存モデルで使われたものと同じB77ムーブメントを搭載しているため大きな違いは見込めない。もちろん驚くかもしれないが、プロポーションのバランスがちょうどよく、おもちゃを手首につけているような気分にはならない。ぜひ機会があれば手首につけてみて欲しい。
ここでもうひとつ質問がある。リンク付きのラバーストラップを最後に着用したのはいつだったか? ブルガリのアイテムをなにか身につけたことがないのであれば、その答えはおそらく“一度もない”だ。私はいつもこのストラップを見て、“これは一体どうなっているのだろう? 何の役に立つんだ?”と思っている。実際に自分の手首で試してみたところ、このブレスレットが非常に快適さを提供しいることが判明した。
リンクタイプだと、1枚の板でできたラバーストラップのようにしっかりと包み込むようなことはないため問題はない(ときに汗でベトベトの手首を絞めつけることになる)。100mの防水性、海をモチーフにしたブルーグラデーションダイヤル、さらにはハードな試合を数回こなしたあとにテニスをテーマにしたものをつけるなど、この時計が夏での着用に耐えうる欠かせないものだということはすぐにわかるだろう。私はベルクロストラップがあまり好きではないが、この状況においてはピッタリなスポーティさと、快適さを感じさせてくれる。
なんといってもカプリ 限定モデルは水をテーマにしているのがポイントだ。確かにこのブランドは、ロレックス ディープシー シリーズの“ジェームズ・キャメロン”モデルとはかなり異なる(それよりももっと遊び心のある)方法で、ブルーグラデーションダイヤルに取り組んでいる。これはこの時計が挑んでいる(グラデーションの)深さを反映しているのだ。ディープシーがより暗めのグラデーションであるのに対し、カプリ 限定モデルは水面(およびプールでの水泳)を想定したもので、まさに“ナポリ湾と、ティレニア海独特の魅惑的な青”を連想させる。まあ行ったことがないから想像の域だが。文字盤は、なんだか写真をプリントしたようにも感じるほど、プレス写真よりも実物のほうがずっと見栄えがいい。その代わりにブルーインデックスと針、そして“太陽”に見立てたイエローの秒針が持つ輝きで文字盤を区切ることで、グラデーションの美しさをより際立たせているようだ。
マッチポイント 限定モデルを実際に見たとき、テニスをテーマにした時計であることをすっかり忘れていて、“とてもカッコイイ、ミリタリーをテーマにした左利き用のブルガリ アルミニウムだ”と思ってしまった。ちょっと期待していたのだがなるほど、ほかのテーマ別の時計と異なりこのモデルは(中学時代に対戦したテニスサーブとは違って)顔に当たらないのか。ネオングリーンのテニスボールのような色をしたこの秒針は、本来なら決定的証拠になるはずだが、手首に装着すると思っていたよりも繊細な印象だ。9時位置のリューズは、ほかの部分で放つ強いビジュアルコードのためにほとんど気づかれず、着用時に手首に食い込むこともなかった。正直なところ、もし当時新しい時計を買いに市場を見ていたら、これは自分の財布に対する愛なのか、それともゲーム終了、セット終了、そして試合終了なのかと悩んでいたかもしれないほど、この時計をとても気にいった。ただ私の夢の夏では実際のテニスはあまりしないため、気分を切り替えるためにこの時計をカプリ島に持っていくことにしよう(少なくとも私の心のなかでは)。
ひどい冗談はさておき、これらの新商品は私が長いあいだ積極的に、そして間違って避けていたいくつかの時計を再考する素晴らしい理由となった。カプリ 限定モデルとマッチポイント 限定モデルは、比較的単調なラインナップにも若干の命を吹き込んでいる。カプリ 限定モデルの時刻表示のみの時計に興味がある方は(なおクロノグラフもある)、45万6500円(税込)で購入可能だ。ただし1000本しかつくられず、すでに販売を開始しているため早くチェックしたほうがいい。800本限定のマッチポイント 限定モデルは、6月12日から同価格で予約注文を申し込むことができる。
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