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2026年9月26日、ショパール ブティック 銀座本店を会場に「HODINKEE.jp × ショパール エクスクルーシブ イベント in 東京 2026」が開催された。ショパール マニュファクチュール創設30周年の節目に、時計づくりの背景を聞き、新作を実際に手に取って確かめる読者イベントだ。イベントを通じて見えてきたのは、高度な技術を時計を着ける人の喜びへと結びつけようとするショパールというメゾンの姿勢だった。
会場には事前応募で選ばれた12名の読者が集まり、イベントはショパールジャパン代表取締役のトーマス・ドベリ氏によるブランドプレゼンテーションからスタート。その後、ブティックでオートオルロジュリーを担当するスタッフとHODINKEE Japan編集長の関口 優によるトークセッションが実施された。
ショパールジャパン代表取締役、トーマス・ドベリ氏。
HODINKEE Japan編集長、関口 優
話題のひとつとなったのが、Watches & Wonders Genevaでのショパールの存在感だ。ジュエラーとして広く知られるメゾンが時計業界においてどのように受け止められているか。会場におけるショパールのブースポジションが示す業界における評価や、30周年の展示から感じた歴史の厚み、新作への期待が語られた。
その時計づくりの核にあるのが、1996年に始まったショパール マニュファクチュールの歩みだ。自分たちの技術で時計をつくり続けること。そして自らが理想とする最高の時計を生み出すこと。自社製造に踏み出した背景に、独立性を守る意志と時計そのものへの情熱があったことも紹介された。
初期のL.U.Cムーブメントを足掛かりに、複数の香箱を備えるクアトロやトゥールビヨン搭載モデル、音で時を知らせるストライク ワンやグランドストライクなどへと開発の幅を広げてきた。その積み重ねは、いまや多彩なコレクションを支えている。関口が評価したのも、出発点から高い完成度を目指し、その水準を保ちながら開発を続けてきた点だった。ケースの仕上げやダイヤルの装飾に至るまで、どこに手間をかけるかという判断にL.U.Cの考え方が表れる。
品質を巡っては、第三者機関による認定を重視する姿勢にも話が及んだ。カリテ フルリエにおける衝撃耐性試験など、精密な時計に課される厳しい条件を紹介。自分たちがつくったものの価値を外部の基準でも確かめる。こうした姿勢を知ることで、美しい仕上げや薄型の外装に加え、実用時計としての性能も追求するL.U.Cへの理解が深まった。
L.U.C 1860 “アリューズブルー”ダイヤル。Photographs by Kyosuke Sato
特に話題の中心となったのは、2026年の新作の中でもひと際高い注目を集めたアリューズブルーダイヤルを備えるL.U.C 1860だ。端正なプロポーションを持つ直径36.5mmのルーセントスティール™製ケースに、マイクロローターを備えた自動巻きCal.L.U.C 96.40-Lを収める。精緻な仕上げと高い精度を兼ね備えたムーブメントを小ぶりな外装で楽しめる一本だ。サーモンカラーの先行モデルが醸し出すヴィンテージ的な趣に対し、新作のアリューズブルーは日常の装いにもなじむ現代的な印象を与える。トークでも、同じ基本デザインを保ちながら、色によって時計の表情が変わるおもしろさが話題となった。クラシックな時計を、いまの生活のなかでどう楽しむか。その答えのひとつがこの新作にある。
Photo courtesy: Chopard
ダイヤルに施されたギヨシェについて、製作時間を来場者に問いかける場面も見られた。1枚のダイヤルにギヨシェを施すのに要する時間は約90分。途中で力加減が変わると、線の深さや模様の均一さに影響する。そのため作業を途中で止めることはできず、職人は集中力を保ちながら旋盤を操作し、一定の圧力をかけ続けるという。
整然と並ぶ細い線は、完成した文字盤だけを見れば、当然のことながら均一に見える。しかし、その揃った表情の背後には職人の手と集中力がある。製作の話を聞くことで、光を受けた文字盤の見え方にも一段深く目を向けたくなる。トークセッションでは、新作の紹介からつくり手の仕事へと自然に話が広がっていった。
L.U.C XPS プルシアンブルー。Photographs by Kyosuke Sato
同じ青でも異なる個性を見せたのが、L.U.C XPS プルシアンブルーだ。本作は、直径40mmのケースに、外周を区切ったセクターダイヤルを組み合わせている。トークセッションでは1930年代を思わせる意匠を用いながら、色や仕上げによって現代的にまとめたデザインが紹介された。カーフレザーのストラップも含め、ドレスウォッチをより日常的に楽しむための提案として、L.U.C 1860との違いも語られた。
アルパイン イーグル 41 XP CS ローズゴールド “シェード オブ ウッド”。Photographs by Kyosuke Sato
アルパイン イーグル 41 XPS “マウンテングロー”。Photographs by Kyosuke Sato
話題はさらにアルパイン イーグルへ。1980年に誕生したスポーツウォッチを起点に、ファミリー3世代の思いをつないで2019年に誕生したコレクションにはL.U.Cムーブメントを搭載するモデルもある。スポーティな外観と着けやすさを備えながら、繊細に仕上げられたムーブメントも楽しめるモデルとして紹介された。関口が着用したローズゴールドの“シェード オブ ウッド”では、12時位置だけをローマ数字とした余白のあるダイヤルが話題に。ゴールドの豊かさを感じさせながら、華美に傾きすぎない印象が魅力として語られ、薄さやダイヤルの構成によって素材から受ける印象まで変わることを実際の着用を通して伝える場面となった。
装着感に直結する改良として、一部の新作に採用されたブレスレットが取り上げられた。ケースからクラスプに向かって幅が細くなる形状に加え、長さを微調整できるエクステンション機構を備える。ブレスレットの開発にも大きな手間と時間がかかるという説明から、外観の一体感と、手首に合わせて調整しやすい使い勝手の両方を追求するメゾンの姿勢がうかがえた。
トークセッションは、終始和やかなムードで進んだ。
機能と形の関係は、この日のトークを通じて繰り返し語られたテーマでもあった。薄い時計をつくること、美しく仕上げること、快適に着けられること。それぞれの工夫が、日々の使い心地にどうつながるのか。ブティックスタッフの説明には、顧客の反応を日々見ているからこその具体性があった。
L.U.C ストライク ワン チタン。Photographs by Kyosuke Sato
音という切り口から時計の魅力を伝えたのが、L.U.C ストライク ワンだ。毎正時に1回音を鳴らす仕組みを備え、サファイアクリスタルの風防とモノブロック構造のゴングによって時を知らせる。会場では音を鳴らす実演も行われ、トークセッションで語られた透き通った響きを実際に確かめる機会が設けられた。
L.U.C ストライク ワン チタンの独特の音色に興味津々の参加者の皆さん。
構造の独自性に加えて、人が心地よいと感じる音を目指した開発エピソードも併せて紹介された。暗い場所でも時刻を知るために生まれたチャイミング機構が、現代では音によって時の移ろいを感じる楽しみをもたらしている。必要な情報を瞬時に得られる時代だからこそ、機械が奏でる一音を待つことに腕時計ならではの豊かさがある。
トークセッション終了後は、新作のタッチ&トライへ。手仕事を経て生まれるギヨシェ、小径ケースに収まる機械、腕に沿うブレスレットなど、参加者はトークで知ったその魅力を実物に触れながら確かめていた。時計づくりの背景を聞き、自分の感覚で確かめる。そのふたつを通じて、仕上げの美しさや着用時の心地よさを生む、つくり手の判断が見えてくる。今回のイベントは、マニュファクチュール創設30周年を迎えたショパールが何を大切にし、その考えを一本の時計にどう表してきたのかを、参加者が実物を通して知る機会となった。
希少なハンターケース仕様となる16/1860/1のブラックダイヤル(左)、シースルーバックとなった後年の16/1860/2のシルバーダイヤル(右)、そして現行の“アリューズブルー”ダイヤルのL.U.C 1860が並ぶ奇跡の3ショット。
参加者が所有する、初代L.U.C 1860のなかでも最初期にあたる希少な16/1860/1。
最初期の16/1860/1はハンターケース(オフィサーズケースバック)仕様が採用されていた。
参加者が身に着けていたのは、手に入れて間もないというアルパイン イーグルのパイングリーンダイヤル仕様だ。
アイスキューブのリングと合わせて時計を楽しむ参加者も。時計は日付表示のないL.U.C XPSのシルバーダイヤルモデル。
シルバーダイヤルのL.U.C 1860(16/1860/2)
ブラックダイヤルのL.U.C 1860(16/1860/1)
使い込まれて味わいが増した、ミッレ ミリア ロッソ クロノグラフ デイト。
イベント参加者のなかには、なんとユニークピースであるパーペチュアルカレンダークロノグラフ バイレトログラード(1996年製)のオーナーもいた。この時計がいかに希少なものかについてはHODINKEEでも取り上げているので、こちらの記事も併せてご覧いただきたい。
詳細はショパール公式サイトへ
特に表記のない画像は、Photographs by Cedric Diradourian
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