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Business News 独立系時計リテーラーのコレクティブ・オロロジーが、新たな関税をめぐりトランプ政権を提訴

カリフォルニア州の時計リテーラーが香辛料輸入業者と共同で提訴し、新たに課された関税が“違法”であり、事業に“深刻な”悪影響を与えていると主張している。

独立系時計リテーラーのコレクティブ・オロロジー LLCは、ドナルド・トランプ大統領やジェイミソン・グリア米通商代表、そのほか多数の政府関係者および政府機関を相手取り提訴した。政権による新たな関税措置は「違法」であり、議会の承認を得ておらず、米国企業に損害を与えていると主張している。

 カリフォルニア州ベンチュラに拠点を置く同社は、7月24日に米国国際貿易裁判所へ提出した訴状で、トランプ大統領とその政権幹部が通商法301条に基づき、米国への輸入品に対して10%および12.5%の関税を課したことについて、大統領の権限を逸脱していると主張している。この訴訟は、時計業界によるものとしてはこれまでで最も踏み込んだ対応となる。業界はこれまでスイスフラン高や、高級時計製造に欠かせない貴金属価格の高騰という逆風に加え、これらの関税措置によって大きな経済的打撃を受けている。こうした状況を受け、多くの有名時計ブランドは価格改定を実施し、小売店は利益率の低下を余儀なくされた。

コレクティブ・オロロジーの共同創業者兼CEO、アッシャー・ラプキン(Asher Rapkin)氏。Photo courtesy Collective Horology

 コレクティブ・オロロジーは2018年に設立された独立系時計リテーラーで、アーミン・シュトローム、チャペック、フェアーズ、米国ブランドのJ.N.シャピロ、ミンなどのインディペンデントブランドを取り扱っている。共同創業者兼CEOのアッシャー・ラプキン氏によれば、同社はトランプ政権と米通商代表部のグリア氏が課したさまざまな関税措置の下で、これまでに16万ドル(日本円で約2600万円)以上を支払ってきたという。2月に米国最高裁判所が、トランプ大統領には当初導入した関税措置を課す権限がなかったとの判断を下したにもかかわらず、政権は別の法律や制度を利用して関税を維持しており、コレクティブ・オロロジーは未だに払い戻しを受けていないと述べている。

 7月24日に発効した通商法301条に基づく最新の関税措置は、対象国で強制労働が行われていることを理由としている。これには高級時計産業の中心地であり、ヨーロッパでも有数の高賃金国であるスイスも含まれている。訴訟によると、コレクティブ・オロロジーは今後数週間で約6万9000ドル(日本円で約1100万円)相当の時計を輸入する予定で、約8280ドル(日本円で約130万円)の関税を支払うことになる。この訴訟は、経済的自由や言論の自由など、憲法上の自由を擁護する米国の非営利訴訟団体、リバティ・ジャスティス・センターの支援を受けて提起されたものである。同センターはトランプ政権による当初の関税措置を違法性を争う訴訟を主導し、最終的に米国最高裁で違法との判決を勝ち取っている。

 原告団にはニューヨークを拠点とする香辛料輸入業者Burlap & Barrel(バーラップ&バレル)も名を連ねており、「限られた資本しか持たず、多国籍ラグジュアリー企業のような規模や交渉力を持たない、高度に専門化された製品を輸入する小規模な米国小売業者にとって、10%または12.5%の追加関税は即座に、かつ重大な影響を及ぼします」と主張している。

スイスのビール/ビエンヌにある時計ブランド、アーミン・シュトロームの時計師たち。同ブランドはコレクティブ・オロロジーが販売しており、同社は輸入関税をめぐってドナルド・トランプ氏を提訴している。

 コレクティブ・オロロジーの共同創業者兼CEOであるラプキン氏は、輸入関税によって同社が「数十万ドル(日本円で数千万円)」規模の資金を拘束されたと推定している。「私たちはそれをなんとか乗り切ることができましたが、そういう幸運に恵まれたいわけではありません。一方で、こうした状況でも生き残り、成長できたことには感謝していますが、本来ならこのような戦いを強いられるべきではありません」とインタビューで語った。

 関税とは政府の貿易政策における手段であり、他国が製造業で持つ優位性を相殺または緩和するために用いられる。例えば自動車輸入に課される関税は、人件費が安かったり、政府補助金を受けていたりする海外メーカーに対し、国内の自動車メーカーが競争しやすくなるのに役立つ。しかし時計製造業界は特殊で、ムーブメントや部品の大半は一般的に日本、中国、スイスなど限られた国と地域で大量生産されている。かつて1世紀以上前には世界をリードしていた現在の米国時計産業には、大規模生産を行える製造基盤が存在しない。

左からラプキン氏、そしてコレクティブ・オロロジーの共同創設者兼クリエイティブディレクターのゲイブ・ライリー氏。Photo courtesy Collective

 「正直なところ、このようなことに自分の時間や労力、エネルギーを費やすべきでないと思っています。私としては貿易法の細かい点について話すよりも、私が信頼する時計師たちや、人生を捧げてきた時計という芸術について、あなたと語っていたいのです」と、ラプキン氏は付け加えた。

 この訴訟は今後数カ月にわたり米国国際貿易裁判所で審理される見込みで、関税に対するほかの法的異議申し立ても同時に進展する見込みだ。トランプ政権は現時点で、この訴訟に対する正式な答弁を行っていない。なお、原告側の主張はいずれも現時点では裁判所で立証されていない。