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オーデマ ピゲの元CEOであるフランソワ-アンリ・ベナミアス氏は、2027年後半にローンチ予定の新たな時計ブランド “N3W5”の詳細を発表した。このブランドでは、デザインや製造、職人技の各分野でスイス時計業界を代表する人材が結集するという。
“N3W5”は“North、East、West、South”を表す名称で、“NEWS”と発音する。ベナミアス氏率いるラグジュアリーブランドグループ、ザ・オナラブル・マーチャンツ・グループの声明によれば、同ブランドは来年開催のドバイウォッチウィークでデビューする予定だ。最初のモデルは2万スイスフラン(日本円で約400万円)前後から展開され、初年度は“数千本規模”で生産を開始する予定。また同社の計画では、2028年に第2のコレクションを発表する予定だ。
フランソワ-アンリ・ベナミアス氏がスイスのクリシエで開催されたイベントで、ザ・オナラブル・マーチャンツ・グループを紹介。
N3W5の発表は、オーデマ ピゲを10年以上率い、家族経営である同ブランドの売上高を23億スイスフラン(当時のレートで約3450億円)超という飛躍的な成長を実現したフランソワ-アンリ・ベナミアス氏が、時計業界で次に何を手がけるのかという憶測や期待が高まるなかでもたらされた。彼は昨年、ローザンヌ近郊で開催された華やかなイベントで、民間投資家の支援を受ける新たなマルチブランドのラグジュアリーグループ、ザ・オナラブル・マーチャンツ・グループ(THMG、The Honourable Merchants Group)の構想を披露した。同グループはラグジュアリー業界における働き方やイノベーション、製品づくり、そしてサステナビリティに新たな哲学をもたらすことを掲げている。カリスマ的な経営者として知られるベナミアス氏は当時、「新グループは利益だけを追求するものではありません。THMGで私たちはビジネスの世界を変えたい。それが使命です」と語っていた。
当時は4つの異なる時計ブランドを展開する計画があり、その詳細は2025年のドバイウォッチウィークで発表される予定だった。しかし同年11月の時点では、いずれの案件も正式な合意には至っていなかった。関係者によると、THMGとベナミアス氏はスイスの独立系ブランド、ドゥ・ベトゥーンへの出資、あるいは経営権取得に向けて最終段階の交渉を進めていたという。しかしフランス人時計師であるドニ・フラジョレ(Denis Flageollet)氏が創業し、米国のヴィンテージおよび新品時計販売会社であるThe 1916 Companyが所有する同ブランドとのあいだで合意には至らなかった。なおドゥ・ベトゥーンは最近、創業25周年を迎えるにあたり、タグ・ホイヤーの前CEOであるアントワーヌ・パン(Antoine Pin)氏がCEOに就任することを発表している。
アントワーヌ・パン氏(左)はドゥ・ベトゥーンの創業者であるドニ・フラジョレ氏(右)と共に、インディペンデントブランドのCEOに就任した。このベテラン経営者は以前、タグ・ホイヤーやブルガリの時計部門を率いており、その他多くのブランドでも勤務経験がある。
N3W5の発表声明では、この新たな時計ブランドのプロジェクトに携わる著名なデザイナーや職人、アーティスト、そして企業の名前も明らかにされた。
ゼイヴィアー・カラス(Xavier Calas)氏は、ベナミアス氏が率いるN3W5で活動するデザイナーのひとりだ。Image courtesy THMG
その顔ぶれにはエナメル職人のアニタ・ポルシェ(Anita Porchet)氏、ギヨシェ彫り職人のヤン・フォン・カネル(Yann von Kaenel)氏に加え、デザイナーのセバスチャン・ペレ(Sébastien Perret)氏、ゼイヴィアー・カラス(Xavier Calas)氏、そして自身のLinkedInプロフィール欄でオーデマ ピゲのリードデザイナーと記載しているダリボル・クラス(Dalibor Klas)氏らが名を連ねる。またスイスの部品サプライヤーであるBiwiや、ダイヤルメーカーのメタレム、LM Cadranも同ブランドのサプライヤーおよびパートナー企業として挙げられている。
N3W5とTHMGによれば、この時計ブランドは、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry)の“本当に大切なものは、目には見えない(原文: On ne voit bien qu'avec le cœur. L'essentiel est invisible pour les yeux)”という言葉に着想を得たものだという。異なる分野で活躍する時計製造の才能や製造パートナーとの協働を通じて、コラボレーションと共通のビジョンを称えるブランドを目指すとしている。
「ロゴやトレンドばかりが重視されるようになった業界において、私たちは本質に焦点を当てたいと考えています。本質とは、しばしば見過ごされがちな、静かに培われた専門知識や創造的な意思決定、そして卓越した作品を形づくる人々の貢献です」と、長年オーデマ ピゲを率いてきたフランソワ-アンリ・ベナミアス氏は声明で述べた。
「彼らがいなければ、今日の時計業界は存在しなかったでしょう。そして今、彼らが当然受けるべき評価を得る時が来たのです」と付け加えた。
もうひとりのデザイナー、セバスチャン・ペレ氏もこの新ブランドと協働している。Image courtesy THMG
同ブランドによると今後、2種類の新しい専用キャリバーを搭載したふたつのコレクションを展開する予定で、そのうちひとつのムーブメントについては複数の特許を取得しているという。またムーブメントのパートナーおよびサプライヤーとして、アルパイン・プレシジョン(Alpine Précision)、レジャンス・プロダクション(Régence Production)、タイムフォージ(TimeForge)などの名を挙げている。
最初のコレクションはラウンドケースを採用し、2028年に発表予定の第2弾コレクションはクッションケースを採用するとN3W5は述べている。
THMGは設立時に、支援・投資を予定する2社を発表していた。そのうちの1社は、顧客の美術品、宝飾品、時計、ワイン、そのほかのコレクションの管理、保護、保管、配送、さらには資産活用までを含むオーダーメイドのサービスを提供する企業、アヴァロン(Avalon)だ。同社が提供するサービスのひとつとして、顧客が所有するコレクションの価値を担保に融資を受けられる仕組みがあるが、その担保となるのはアヴァロンが実際に保管する資産だ。
またベナミアス氏は、ヴィアラ(Viiala)という新しい電動自転車ブランドおよび企業も紹介した。同社はサイクリングと交通手段に新たな技術、デザイン、コンセプトをもたらすことを目指している。
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