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Photos by Alex Teuscher
ジネディーヌ・ジダン(Zinédine Zidaneは)氏は、フランスではまさにサッカー界のレジェンドだ。母国代表としてワールドカップに3度出場し、1998年には“レ・ブルー”ことフランス代表を優勝へ導いた。2006年大会でも決勝進出を果たし、大会最優秀選手に贈られるゴールデンボールを受賞している。
Photo credit: Alex Teuscher
レアル・マドリードで監督を務める以前、“ジズー”の愛称で知られるジダン氏は、ユヴェントスをはじめとする欧州の名門クラブで攻撃的ミッドフィールダーとして輝かしいキャリアを築いた。史上最高の選手のひとりと広く評価される彼は、キャリア初期にジロンダン・ボルドーで頭角を現し、そのボルドー時代に初めて本格的な時計として購入したのが、カルティエのパシャだった。
その時計は11月9日にジュネーブでクリスティーズが開催するWatches For ELAオークションにおいて、ELAインターナショナル(欧州白質ジストロフィー協会)のチャリティーオークションへ出品される予定だ。
ジダン氏は、25年以上にわたり、欧州白質ジストロフィー協会を支援してきた。同団体は、白質ジストロフィーと総称される、中枢神経系を侵す希少な遺伝性疾患の克服を目指す非営利団体だ。医学研究への資金提供をはじめ、患者家族への支援、社会への啓発活動、新生児スクリーニングの普及促進などを行っている。
2026年ワールドカップが北米で開催され、盛り上がるなか、私たちはジダン氏に時計への情熱、ELAインターナショナルへの支援、そしてこのカルティエの時計がフランスサッカー界のレジェンドにとって特別な意味を持つ理由について尋ねた。
ジダン氏のカルティエ パシャ ドゥ カルティエ。Photo credit: Alex Teuscher
HODINKEE:Watches for ELAの取り組みに参加するようになった経緯と、欧州白質ジストロフィー協会を通じて支援を続ける理由を教えてください。この活動が重要だと考えるのはなぜでしょうか。
ジネディーヌ・ジダン氏:「ELAには25年以上関わっています。当時は特定の活動に関わっていたわけではなく、サッカーにすべてを捧げていました。そんな時、ある出会いがありました。それは人生に大きな影響を与え、重要な決断へと導いてくれるような出会いでした。ギー・アルバ氏(Guy Alba/欧州白質ジストロフィー協会の会長兼創設者)が、アルド・プラティニ氏(Aldo Platini/フランスの著名なサッカー選手)と共に、当時ユベントスでプレーしていたトリノに私を訪ねてきたのです。2000年のことでした。彼らはELAのこと、その活動内容、そして病と向き合う家族のことを話してくれました。彼らには支援が必要だと感じましたが、何よりも認知度を高めることが重要だと感じました」
「当時ELAは重い病気と闘う親たちが設立した、まだ小さな組織でした。彼らの決意は揺るぎないものでしたが、その存在を世の中に伝えてくれる人が必要だったのです。あの出会いが転機となり、私は彼らと共に活動することを決意し、それ以来、この大家族の一員となりました。今回のWatches for ELAオークションで私ができることは、とてもシンプルなものです。35年間愛用してきた腕時計を寄贈することです。私にとって大切なもので、歴史と真の感傷的な価値を持つものを捧げることが重要だと感じたのです。実は、この時計を取り出したのは偶然で、ちょうどギーと協会について電話で話していた日にたまたま目に留まったのです。そのとき、この時計の物語が再び浮かび上がり、それを誰かへ託すことの意味を強く感じました」
Photo credit: Alex Teuscher
HODINKEE:今年のオークションに寄贈される時計について教えてください。この時計にはどのような歴史があり、あなたにとってどのような意味を持つのでしょうか。
ジネディーヌ・ジダン氏:「何よりもまず、これはボルドーに住んでいたころに初めて買った時計なんです。ずっと大切に保管していて、35年ぶりに手に取りました。今改めて見てみると、本当に特別な時計だと実感します。35年前と同じ感動が今も蘇ります」
「私にとって、時計は芸術作品です。時計は偶然買うものではなく、心から愛せるものを選ぶものです。私は毎日時計を着けるタイプではありませんが、美しいものを所有することに喜びを感じます。そしてこの時計はまるでボールのように丸く、それもまた特別な意味を持っています。プッシャーも丸く、あの小さな石があしらわれていて、素晴らしい。ブレスレットも、当時としてはとてもモダンなものでした。そしてどこか“ジュビリー”のような雰囲気も漂わせています。私にとって、とても大切な時計です。これ以上多くを語ることはできませんが、購入した時も今も、この時計は私の心を揺さぶる存在です。もちろん手放すことになるので、特別な思いもあります。しかし私は正当な理由があって手放すことにしました。この時計を手に入れることを選んだ人は、私にとって大切なものを手に入れたのだということを知っていて欲しいですね」
Photo credit: Alex Teuscher
HODINKEE:時計との付き合い方や、時計を集め、身に着ける理由について教えてください。あなたにとって時計はなぜ重要なのでしょうか。
ジネディーヌ・ジダン氏:「私はただ“買う”ためだけに時計を手にするわけではありません。出かけた先で美しいもの、例えば美しい時計が欲しくなった時、それは本当に私の心に響くものでなければなりません。私を惹きつけ、語りかけてくる何かが必要なのです。そんな出会いはそう多くありません。私はこれまでの人生で、15〜20本ほどの時計を手にしてきました。つまり、おそらく年に1本ほどということになります。しかし毎回同じで、最後に決めるのは直感なのです」
「私は物事を深く考えすぎません。私は常に直感に従って行動してきました。人生においても、そして今日の監督としてのキャリアにおいてもです。もちろん準備は必要ですし、そのためには素晴らしいチームに支えられていますが、最終的には私の直感がとても重要なのです。何かを買う時も同じで、気に入ったものを見つけたら、それは一目惚れです。一目惚れでなければなりません。計算したり、考えすぎたりすることはなく、何よりも大切なのは感覚です。そしてこうしたものに関しては、基本的にすべて手元に置いておき、あまり人に譲りません。現役時代は、ユニフォームやシューズ、そのほか多くの記念品をできるだけ人に譲るようにしていました。そういう意味では、私はコレクターではありませんが、このように希少なものは手元に残しています」
(注:本インタビューはフランス語から翻訳したものです)
欧州白質ジストロフィー協会および11月9日に開催されるWatches For ELAオークションの詳細はこちらから。
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