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我々が知っていること
オーデマ ピゲは、ポップカルチャーのコンセプトを自社の超高級ラインであるロイヤル オーク コンセプトに取り入れることに余念がない。過去数年で登場した最も有名(あるいは悪名高い)な例に、マーベルコラボレーションの“親愛なる隣人”スパイダーマンや、ワカンダの王がコンセプト トゥールビヨンのダイヤルを飾ったことがある。今回のオーデマ ピゲは、ブルックリンを拠点に活動するアーティスト、KAWS(カウズ)とタッグを組み、彼の象徴的なキャラクターデザインを取り入れた新たなコンセプト トゥールビヨンを発表した。
ブライアン・ドネリー(Brian Donnelly、本名)を名乗るKAWSは、1990年代後半にニューヨークでのグラフィティ活動を通じて注目を集めた。その後ストリートアートの美学を反映したトイデザインをきっかけに、現代ポップアートシーンで一躍その名を轟かせる存在となった。
KAWSの代表作といえば“コンパニオン”というキャラクターだろう。これは頭蓋骨とクロスボーンをモチーフにした、有名なラバーホーススタイルのカートゥーンマウスを思わせるデザインである。ビニール製トイから、ナイキやユニクロといったブランドとのアパレルコラボレーションに至るまで幅広く展開されているため、多くの形態で目にしたことがあるはずだ。
本日、オーデマ ピゲはコンパニオンのフィギュアをロイヤル オーク コンセプト トゥールビヨンに取り入れた。このモデルは象徴的な頭蓋骨型の顔、手袋、そしてX字型の目が特徴となっている。サファイアクリスタル越しにのぞき込むコンパニオンは、手袋や顔がまるでガラスに押し付けられているようなデザインになっている。このフィギュアはすべてサテンとサンドブラスト仕上げを施したチタンで構成されており、それがサンブラッシュ仕上げのチタン製ダイヤルプレートの上に配置されている。胸元にはトゥールビヨンケージが露出しており、時計の動きを大胆に見せる。また頭蓋骨のX字型の目にはグレーのラッカーが塗布されている。
これまでのキャラクターを中心に据えたコンセプト トゥールビヨンとは異なり、今回のモデルではダイヤル中央のフィギュアが時・分針によってさえぎられることはない。このモデルでは、オーデマ ピゲがローラーガイド付き歯車を用いたチタン製の時・分針を特徴とする、新しいペリフェラル時刻表示を採用している。さらにチタン製のインナー見返しリングには5分刻みの目盛りを配置。その目盛りと針の両方に夜光塗料があしらわれているため、暗所でも視認性が確保できる。
この新しいペリフェラル時刻表示を駆動するのは、手巻きムーブメントのCal.2979である。2万1600振動/時(3Hz)で動作するワンミニッツトゥールビヨンを搭載し、精度と動力効率を実現している。ムーブメントのブリッジにはブラックPVDコーティングが施されており、さらにアーティストへのオマージュとしてラチェットホイールはKAWSの象徴的な“X”モチーフを取り入れたスケルトンデザインだ。またオーデマ ピゲのロゴやその他のテキストはレーザーで刻印し、ホワイトラッカーで埋め込むことで、コントラストを際立たせる仕上がりとなっている。
このコンセプト トゥールビヨンのケースは、シルエットは似ているものの、42mmのスパイダーマンやブラックパンサーのコンセプト トゥールビヨンよりやや大きい43mmだ。ほかの43mmのロイヤル オーク コンセプトモデルと同様、ケースには新たに角度のついたインサートが加えられ、もともと複雑な形状のチタンケースにさらに異なる仕上げのコントラストが生まれている。リューズはブラックセラミック製で、裏蓋にはKAWSのサインと“Limited Edition of 250 pieces(250本限定)”の文字が刻まれている。ケース全体を固定する8本の六角形の“ネジ”には、KAWSの象徴的な“X”モチーフがあしらわれている。
本作にはテキスタイルパターンが型押しされたダークグレーのカーフスキンレザーストラップと、スレートグレーのカーフスキンストラップの2種類が付属する。
また裏蓋の刻印からお察しのとおり、ロイヤル オーク コンセプト トゥールビヨン “コンパニオン”は世界限定250本。価格は20万スイスフラン(日本円で約3500万円)となっている。
我々の考え
正直に言おう。私は毎年コミコン(アメリカを中心に開催される大規模なポップカルチャーイベント)に行く人間で、必ずKAWSフィギュアがぎっしり並んだブースを見つけ出し、その前で30分くらい立ち尽くして“ロレックスと同じくらいの値段を中古のカートゥーンフィギュアに出すなんて世界があり得るだろうか”と真剣に考えてしまう人間だ。答えはノーだが、夢を見ることはできる。今回のコラボレーションを見て思わず笑みがこぼれたとしても、それは誰にとっても驚くことではないだろう。
もしKAWSのような現代の消費主義に根差したアートに興味がないなら、この時計はおそらくあなた向きではないだろう。しかし時計コレクターやトイコレクターのように、自身の収入に不釣り合いな額を費やしてまで人気のあるアイテムを集める世界では、そしてKAWSの作品がオークションで数百万ドルに達する例もあるような現状を考えれば、今回の250本限定の時計も確実に買い手を見つけるだろう。かつてのマーベルコラボレーションの時計がそうだったように。熱狂的なKAWSコレクターにとって、自宅にはアートや彫刻作品が並んでいることは間違いない。そしてアーティストのタッチが加えられた時計を手にすることは、まさに最後のフロンティアといえるだろう。どこへ行っても身につけられるレアなエディションがついに登場したのだから。
コンセプチュアルな観点から見ると、今回のコラボレーションは非常に完成度が高いと感じる。マーベルとのコラボレーションではあまり感じられなかったが、今回はKAWSのアートとオーデマ ピゲのウォッチメイキング技術がうまく融合し、互いを引き立て合っているように思える。特に時計のフォルムと巧みに調和する形でデザインされたチタン製コンパニオンは、自己認識に満ち、非常に細部まで意識された造形となっている。また金属で表現されたフィギュアというのも新鮮だ。通常、コンパニオンといえばビニールや木製のイメージが強い。さらにこの時計ではサテンとサンドブラスト仕上げの質感やコントラストがうまく調和し、新しい感覚をもたらしている。
オーデマ ピゲがこのペリフェラル時刻表示を採用した新ムーブメントを開発したのは、間違いなく、今回のKAWSに限らず今後のキャラクター中心のコラボレーションのプラットフォームとして活用する意図があるのだろう。この仕組みは従来の時・分針方式よりも、こうしたデザインにはるかに適している。今後どのアーティストやポップカルチャーとコラボレーションを展開するのか、非常に興味深いところだ。とはいえ、現時点ではこのル・ブラッシュとブルックリンが生み出した時計が注目すべき1本であることは間違いない。
基本情報
ブランド: オーデマ ピゲ(Audemars Piguet)
モデル名: ロイヤル オーク コンセプト トゥールビヨン “コンパニオン”(Royal Oak Concept Tourbillon "Companion")
型番: 26656TI.GG.D019VE.01
直径: 43mm
厚さ: 17.4mm
ケース素材: チタン
文字盤: グレー
インデックス: インナーベゼルに5分刻みの目盛り
夜光: あり
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: 交換可能なライトグレーおよびスレートグレーのカーフスキンレザーストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: 2979
機能: 時・分表示、ワンミニッツトゥールビヨン
直径: 32.3mm
厚さ: 10.4mm
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 39
価格 & 発売時期
価格: 20万スイスフラン(日本円で約3500万円。日本定価は要問い合わせ)
発売時期: オーデマ ピゲ ブティック限定
限定: あり、世界限定250本
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