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Introducing MB&Fから、HM8 Mark 2が新登場

クルマにインスパイアされた時計らしく、動いていないときでも速そうに見える。

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我々が知っていること

マックス・ブッサー(Max Büsser)氏による自由な発想から生み出されたMB&Fが、またもや自動車産業にインスパイアされた魅力的なオロロジカル・マシンを作りだした。これはクルマからトリビュートした既存のHM8を改良したもので、現在の名称はHM8 Mark 2となっている。そして名車と同じように、じっと座っていてもその時計が速そうに見えるのだ。

MB&F HM8 Mark 2

 ブッサー氏はカーデザイナーになることを常に夢見ていた。その後別の道へと進んだものの、これまでアイコニックなカーデザインを落とし込んだ数々の時計を製造している。HM5には、開閉可能なスラット(羽根板)を備え、リアウィンドウのルーバーが未来的なベルトーネのランボルギーニ・ミウラを想起させる。またHMXはツーリング スーパーレッジェーラからインスピレーションを得ている。そして(今回の)HM8は“カンナム”だ。新作HM8 Mark 2は、ジラール・ペルゴのものをベースにしたオリジナルのHM8と同じムーブメントを搭載しているが、デザインコードは地球上で最も速い車のひとつであるポルシェ 918スパイダーを意識した、より現代的なものになっている。

 HM8のカンナムをイメージしたクロム(メッキ)の“ロールバー”や、ホワイトゴールドまたはローズゴールドのケースの代わりに、MB&Fのために開発された新素材、“カーボンマクロロン®”を使用してケースを再構築。この素材はカーボンナノチューブを注入した高分子マトリックスからなる複合素材である。また着色、研磨、ビーズブラスト仕上げ、ラッカー塗装、サテン仕上げが可能であり、さらに重量はスティールの8分の1しかない。

MB&F HM8 Mark 2のリストショット
MB&F HM8 Mark 2
MB&F HM8 Mark 2の22Kローター

 HM8 Mark 2の“エンジン”を披露するには大変な労力を要した。MB&Fによると、このダブルドームサファイアをケースに合わせて製作するには、ドームサファイアの30倍から40倍のコストがかかり、しかも製造プロセスの最後に失敗するリスクが高いというのだ。ただ完成したサファイアは、ほかのサファイアと同様に耐久性があるらしい。22Kゴールドでできた“バトルアックス”ローターも、(刻印も含む)スタンプを入れなければならないほどの薄さだ。ディスプレイはご存じのとおり旧式のスピードメーター風で、これはケースサイドのプリズム(角柱)を使い、ジャンピングアワーとトレーリングミニッツを表示する方式を採用している。

 さらにリューズには、新システムの“ダブルデクラッチ”を搭載。これはリューズを押し込み、4分の3回転させることで解除して使用するというものだ。カラーはホワイトとブリティッシュレーシンググリーンの2色で、ストラップの色がそれぞれ対照になっている。どちらも7万8000ドル(日本円で約1096万2000円)であり、グリーンモデルのみ33本の限定品だ。

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我々の考え

もしMB&Fが好きな人なら、ほとんどの場合、レガシー・マシン派かオロロジカル・マシン派かのどちらかにわかれると思う。LM(レガシー・マシン)は大きくて、ドーム型のクリスタルが手首を支配するが、少なくとも(一方より)もう少し見やすくて、私の個人的な“ホーム”と伝統的な時計製造への愛に近いと感じる。

 ただMB&Fのオロロジカル・マシンは、アバンギャルドな時計デザインをかなりスチームパンキーにアレンジしたものが多いといつも思っている。(HM7のような)エイリアン系、(HM10の“ブルドッグ”のような)動物的なものがあるなど、近未来的なデザインが話題になるなか、私にとっては次のふたつがほかのなにより際立っていた。HM5もHMXも、MB&Fが腕時計に採用しようとしていたクルマのフレームワークに収まっていたが、HM8よりもスマートでモダンな印象なのだ。また丈夫でがっしりしているHM5は、私が子どものころにカンナムカーが好きだったことも影響していたが、HMXはより洗練されていて現代的に感じられる。もし前作の時計が私のために歌ってくれなかったとしたら、この時計がヒット曲を奏でていることになる。

MB&F HM8 Mark 2のブリティッシュレーシンググリーン(左)とホワイト(右)

 ポルシェ 918スパイダーの形を瞬時に思い起こさせる、ブッサー氏と彼のチームの手法は驚異的であり、私にとって最高のものとなる。チームが時計を覆っていた布を取り去ると、すぐに918の象徴であるふたつの後部排気機構が運転席と助手席の後ろに、ふたつの“こぶ”としてロールバーに鎮座しているように見えた。しかし今回はサファイアクリスタルから、自社開発のジャンピングアワーとトレーリングミニッツを搭載したジラール・ペルゴのベースムーブメントを見ることができる。

 このデザインとカーボンマクロロン®素材の選択により、この時計はクルマと同様に21世紀に突入した。HM5と同様、この時計には独立した防水筐体に“ボディパネル”が追加されている。このモデルは信じられないほど軽く、幻想的なまでにスポーティ(当然のことだが)で、カーボンマクロロン®のケース、ストラップ、ムーブメント、ローターの色の組み合わせは、MB&Fがリリースする時計のなかで最も“伝統的な”モダンウォッチであり、(ほかと比べて)簡単に着用できる可能性を秘めている。実際のところ、この時計の最大のセールスポイントのひとつは装着性かもと思っている。

MB&F HM8 Mark 2のリストショット

 当たり前のことに目をつぶってみると、ほかにも評価すべき点はたくさんあるが主にMB&Fから評価されるようになった、創造的な技術的判断にあると思う。例えばムーブメントの上にあるサファイアは、見ているぶんにはほとんど気にならないが、プレス資料ではザガートのダブルバブルを連想させる形状のサファイアを製造するのがいかに難しいか、多くの時間を割いて説明している。プリズムについてもあまり考えたことがなかったのだが、それだけこの時計が好きになった今では、この工夫には頭が上がらない。なお知らない人のために説明すると、HM8 Mark 2(またはHM5、HM8、HMX)のプリズムは、平らな円盤(ムーブメントの平面上を走っている) を90°屈折させることで、自動車のステアリングを持つとき(手首を横にしたとき)に時刻がわかるようになっているのだ。確かに、それがドライバーズウォッチであることは明らかだが、時計のスペースと高さを抑えながら、これほどシンプルな解決策を考えたことはなかったのだ。

MB&F HM8 Mark 2のケースサイド

 唯一の欠点は(価格が予算外であることを除き)、私の好きな色であるブリティッシュレーシンググリーンモデルが33本に限定されているというところだろうか。だからHM8 Mark 2のためにお金を貯めていたとしても、918スパイダーが0-60mph(時速約160km)で走るよりも早くすべて消えてしまうのだ。


基本情報

ブランド: MB&F
モデル名: HM8 Mark 2

直径: 47×41.5mm
厚さ: 19mm
ケース素材: グレード5チタンとグリーンまたはホワイトのカーボンマクロロン®
文字盤: ブラック
インデックス: 双方向のジャンピングアワーとトレーリングミニッツを、拡大レンズ内蔵の反射型サファイアクリスタルプリズムで表示
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: カーフスキンストラップ(ブリティッシュグリーンモデルはホワイト、ホワイトモデルはグリーン)、チタン製ピンバックル

MB&F HM8 Mark 2の裏蓋

ムーブメント情報

キャリバー: MB&Fが自社開発したジャンピングアワーとトレーリングミニッツのモジュールで構成された、ジラール・ペルゴのベースムーブメント、3次元オロロジカルエンジン
機能: ジャンピングアワー、トレーリングミニッツモジュール
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き(22Kローター搭載)
振動数: 2万8800振動/時
石数: 30
追加情報: ムーブメントに247の部品、ケースに40の部品、トップ、フロント、ディスプレイバックともに無反射コーティングを施したサファイアクリスタル、拡大レンズを内蔵した二重反射サファイアクリスタルプリズム


価格 & 発売時期

価格: 各7万8000ドル(日本円で約1096万2000円)
発売時期: すぐに
限定: あり、ブリティッシュレーシンググリーンは33本限定

詳しくは、こちらをご覧ください。

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詳しくはMB&Fの公式ウェブサイトをご覧ください。