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Introducing トレダノ&チャン B/1 ダズル―これまでで最も奇妙なカモフラージュパターンのひとつを完璧に解釈した1本

今なら見えるだろう。ええ、間違いなく見える。でもこの迷彩の目的は隠れることではないのだ。

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我々が知っていること

皆さんは“hide a World War I battleship(第1次世界大戦の戦艦を隠せ)”という遊びをしたことはあるだろうか? というか、ない人なんていないだろう。アメリカ中西部やグレートプレーンズでは、巨大な水域が広がるネブラスカ州やサウスダコタ州などを舞台に、ティーンエイジャーが夢中になる遊びとして2番目に人気がある。…そんなことはない? 冗談はさておき、第1次世界大戦や第2次世界大戦の時代、艦船を敵の目から隠すことは文字どおり生死を分ける問題だった。そして1917年から1918年ごろの短い期間、その解決策として採用されたのは、船を隠そうとすること自体をやめるという意外な発想だった。トレダノ&チャンが新作B/1 ダズルの着想を得たのも、まさにそこからだ。隠すのではなく、見えていても認識しにくくする。姿を消すのではなく、見る者の目を惑わせるのだ。

Toledano & Chan b/1

 “ダズル迷彩”というコンセプトに聞き覚えがあるなら、それはほんの数カ月前にブルガリが、同じように視覚を攪乱するパターン素材(業界ではDPMと呼ばれている)を独自に採用していたからかもしれない。トレダノ&チャンからも同様の時計が登場することは、GPHGにノミネートされた際に紹介していた。ここで、以前お伝えした内容を改めて振り返っておこう。

 1914年、イギリスの動物学者ジョン・グラハム・カーは、シマウマが捕食者に群れの数や距離を悟られないようにする仕組みを応用し、海上の艦船の輪郭や大きさ、距離、進行方向を実際とは違って見せるDPMを、のちの首相ウィンストン・チャーチルに提案した。このアイデアは一定の説得力を持ち、多数の艦船に迷彩塗装が施された。ドイツのUボート艦長のなかには、このパターンに効果があったと証言した者もいるが、実際にどれほど有効だったのかは、今なおはっきりしていない。いずれにせよ、レーダーの登場によって、この手法はほぼ役目を終えた。現在では、自動車の走行試験の分野を除けば、ちょっと風変わりな存在として知られるにとどまっている。

Toledano & Chan
Toledano & Chan b/1
Toledano & Chan b/1

 とはいえ、やはりこれは驚くほどクールなデザインだ。ケースとダイヤルにはグレード5チタンを採用し、フロスト仕上げとサテンブラッシュ仕上げを不規則に組み合わせたストライプ模様を施している。このパターンはCNC加工で彫り込み、その後ダイヤモンドフロスト仕上げとサテン仕上げを加えることで生み出されている。ケースは初代B/1のデザイン言語を受け継ぎ、デストロクラウンとファセットクリスタル、そしてニューヨークのブロイヤービル(現在はサザビーズの本拠地だが、以前はメトロポリタン美術館、さらにその前はホイットニー美術館の所有だった)から着想を得たものだ。独立したパターンを配するのではなく、ケースに刻まれたラインをそのままダイヤルへとつなげている点も特徴だ。独特な形状のため寸法を正確に測るのは難しいものの、幅は約33.5mm、厚さは測定位置によって9.10〜10.40mmとなっている。

Toledano & Chan b/1
Toledano Chan
Toledano Chan

 仕様の詳細は下記のとおりだが、内部にはセリタSW100を搭載している。通常のダイヤルでも十分に目を引くが、天然ダイヤモンド350石をパヴェセッティングした“ダブル ダズル”も用意されている。標準モデルは188本限定で7700ドル(約120万円)、ダイヤモンド仕様はわずか12本限定で9700ドル(約150万円)だ。10月24日よりブランド公式サイトで販売が始まるほか、パリのAntoine de Macedo、カリフォルニアのCollective Horology、イスタンブールのThe Turkish Watch Guy、ミラノのBernardini、フロリダのExquisite Timepiecesでも取り扱われる。


我々の考え

私自身、古着店や軍放出品を扱う店で手に入れた、比較的オーソドックスな迷彩柄のアイテムをいくつか持っているが、少し珍しい迷彩柄には以前から強く引かれてきた(ここでもう一度、オマーンのきわめてインパクトのある赤い砂漠迷彩に注目しておきたい)。ハーディ・ブレックマンの著書『DPM: Disruptive Pattern Material – An Encyclopedia of Camouflage』も、今では素敵な時計が買えてしまうほどの価格にもかかわらず、何度も購入を考えてきた。つまり、迷彩をテーマにした時計には一家言ある。そして、これまで見てきたなかで、本作が最もよくできていると思う。仕上がりが、とにかく完璧なのだ。

Toledano & Chan b/1

 ファッションとして迷彩を取り入れるのは、なかなか難しいものだ。その起点は、ベトナム戦争後の時代にさかのぼると考えている。当時、兵士たち(多くは戦争体験に不満を抱いていた)は、M-1965フィールドジャケットやトロピカルコンバットジャケット(通称“ジャングルジャケット”)を普段着として着用していた。今では、どちらのジャケットも、特にジャングルジャケットはメンズファッションフォーラムの読者のワードローブに欠かせない定番アイテムとなっている。しかしミリタリーアイテムに傾倒しすぎたり、あまりに近年の軍装品を身に着けたりすると、コスプレのように見えてしまう。だからこそあまり目立たず、露骨すぎない迷彩柄のほうが良いのだ。ダズル迷彩は実用的とは言えないし、この時計を着けて、手首がどれくらい離れているか、どの方向を向いているかを人に推測させようとする人もいないだろう。しかしこれは自己主張であり、そして実にユニークな主張なのだ。実際、私自身もこの時計を手に入れたとして、果たして十分な頻度で着けるだろうかと、ずっと悩んでいる。これを自分なりの“迷彩による自責の念”と呼ぶことにしよう。


基本情報

ブランド: トレダノ&チャン(Toledano & Chan)
モデル名: b/1 “ダズル”/“ダブル ダズル”(b/1 "Dazzle" and "Double Dazzle"

幅: 33.5mm
厚さ: 9.10–10.40mm(斜めに傾斜したケース)
ケース素材: グレード5チタン
文字盤: チタン(ダイヤモンドの有無を選択可能)
インデックス:  なし
夜光: なし
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: チタン製の一体型ブレスレット

Toledano & Chan b/1

ムーブメント情報

キャリバー: セリタ SW100
機能: 時・分表示
パワーリザーブ: 42時間
巻き上げ方式: 自動巻き


価格&発売時期

価格: 標準モデルが7700ドル(約120万円)、ダイヤモンド仕様が9700ドル(約150万円)
発売: 10月24日より販売中
限定: あり、標準モデルは188本、ダブル ダズルは12本限定

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