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オメガと007の31年。ジェームズ・ボンドが着用した歴代シーマスターを振り返る

オメガの新作シーマスター ダイバー300M ジェームズ・ボンド&スペクターが、ジェームズ・ボンドの日である10月5日(月)に発表された。銀座では、歴代の劇中着用モデルを中心としたアーカイブ5本に加え、記念モデルやゲームに登場する時計、新作が1日限りで展示された。1995年から続くオメガと007の関係を、歴代の時計とともに振り返る。

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銀座に集まったジェームズ・ボンドのオメガ

オメガと007シリーズの関係は1995年に始まり、2026年で31年を迎えた。今回の新作発表に合わせ、ニコラス・G・ハイエック センター14階のシテ・デュ・タン・ギンザには、スイスから取り寄せたアーカイブ5本が並んだ。記念モデル2本とゲームモデル1本は、それらと向き合う配置で展示されていた。青いシーマスターから、ブラックダイヤルのプラネットオーシャン、チタン製の007 エディションを見渡すと、ダイヤルの色だけでなく、ケースのサイズや素材、ストラップの変化も見えてくる。

『007/ゴールデンアイ』(1995年)

Ref.2541.80.00。

 オメガとジェームズ・ボンドの関係は、1995年公開のシリーズ第17作『007/ゴールデンアイ』から始まった。同作で第5代ジェームズ・ボンドとしてデビューしたピアース・ブロスナンが劇中で着用したのは、クォーツ式のシーマスター プロフェッショナル 300M Ref.2541.80.00だった。

 オメガの採用を提案したのは、衣装デザイナーのリンディ・ヘミング。英国海軍中佐であるボンドには、海軍と関わりのあるオメガのシーマスターがふさわしいと考えたのだ。ブルーのベゼルと波模様のダイヤル、5連リンクのSSブレスレットは、以後のボンドウォッチを代表する外観となった。

 劇中では時計に内蔵されたレーザーで装甲列車の床を切り抜き、爆発直前に脱出する。こうしたギミックは映画の演出であり、市販モデルの機能ではない。

Ref.2531.80.00。Courtesy of Omega

 なお『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)、『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』(1999年)、『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002年)では、同じ青い外観を受け継ぐ自動巻きのシーマスター プロフェッショナル 300M Ref.2531.80.00を着用。ワイヤーとフックを射出する仕掛けやレーザーなど、作品ごとに異なるギミックも加わった。

『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)

Ref.2900.50.91。

Courtesy of Omega

 2006年公開の『007/カジノ・ロワイヤル』では、ダニエル・クレイグが第6代ジェームズ・ボンドとして登場した。彼が着用したシーマスター プラネットオーシャン 600M Ref.2900.50.91は、ブラックダイヤルにブロードアロー針、45.5mm径のケース、ブラックのラバーストラップを備える。ブロスナン時代の青いダイヤルとSSブレスレットから、腕元の印象は大きく変わった。

Ref.2220.80.00。Courtesy of Omega

 銀座に展示されたアーカイブは、クレイグが実際の撮影で使用した個体だ。ケースには汚れや傷が残されており、製品写真では見られない撮影時の痕跡を確認できた。同作では、ブルーダイヤルのシーマスター ダイバー300M コーアクシャル Ref.2220.80.00も着用している。こちらはブロスナン時代のモデルをベースにコーアクシャル脱進機を採用した自動巻きモデル。クレイグの初登場作では、青いシーマスターも引き続きボンドの腕にあった。

『007/慰めの報酬』(2008年)

Ref.2201.50.00。

Courtesy of Omega

 『007/慰めの報酬』(2008年)の物語は、前作のラストから始まる。時計もブラックダイヤルのシーマスター プラネットオーシャン 600Mが続けて登場するが、着用モデルはRef.2201.50.00へ変わった。ケース径は45.5mmから42mmへ小さくなり、ラバーストラップに代わってSSブレスレットが組み合わされている。ブラックのベゼルとダイヤル、ブロードアロー針は、前作の時計と共通する特徴だ。

 冒頭のカーチェイスでは、アストンマーティンDBSを操るボンドの左手首には、この時計が映っている。レーザーや爆弾といった秘密のギミックを備えない時計だが、作中では激しいアクションのなか使われている。同じプラネットオーシャンでも、ケースのサイズとストラップの変更によって、2作品の腕元には違いがある。

『007/スカイフォール』(2012年)

Ref.232.30.42.21.01.004。

Courtesy of Omega

 2012年公開の『007/スカイフォール』でも、ボンドはシーマスター プラネットオーシャン 600Mを着用する。市販モデルに相当するのはRef.232.30.42.21.01.001で、42mmのSSケースとブレスレット、ブラックダイヤルを備えたモデルだ。同作の公開を記念して5007本限定で発売された“スカイフォール” リミテッド エディション Ref.232.30.42.21.01.004とは区別したい。この記念モデルは7時位置に007のロゴ、ローターに“Skyfall 007”の刻印を加えた仕様である。

Ref.231.10.39.21.03.001。Courtesy of Omega

 また、劇中ではブルーダイヤルのシーマスター アクアテラ Ref.231.10.39.21.03.001も着用している。プラネットオーシャンと異なり回転ベゼルを持たないアクアテラは、ダイバーズウォッチに限らないボンドの時計選びを示す1本だ。

『007/スペクター』(2015年)

Ref.233.32.41.21.01.001。

Courtesy of Omega

 2015年公開の『007/スペクター』では、ボンドの時計に再び変化があった。クレイグが着用したのは、ブラックとグレーのNATOストラップを合わせたシーマスター 300 “スペクター” リミテッド エディション Ref.233.32.41.21.01.001。41mm径のケース、ロリポップ秒針、12時間表示の両方向回転ベゼルが特徴だ。1995年からのダイバー300Mとは別系統で、1957年のシーマスター 300をもとにしたデザインを採用している。マスター コーアクシャル Cal.8400を搭載し、1万5000ガウスの耐磁性能を備えたこのモデルは、7007本限定で市販された。

 劇中では時計に仕込まれたギミックも復活する。拷問を受けるボンドが時計を外してリューズを回すと、赤い点滅とともにカウントダウンが始まり、爆発を起こして脱出につながる。これも市販モデルにはない仕掛けだ。加えて本作では、ブルーダイヤルのシーマスター アクアテラ Ref.231.10.42.21.03.001も着用された。

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)

Ref.210.90.42.20.01.001。

 クレイグがボンドを演じた最後の作品、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)では、俳優本人の意見が時計の開発に取り入れられた。シーマスター ダイバー300M 007 エディション Ref.210.90.42.20.01.001は、グレード2チタン製の42mm径ケースとメッシュブレスレットを採用。ダイヤルとベゼルは落ち着いたブラウントーンで、夜光もヴィンテージウォッチを思わせる色調に仕上げられている。

 オメガによれば、クレイグが求めたのは、アクションで使うための軽さと、ヴィンテージを思わせる外観だったという。それまでのSS製モデルに代わるチタンの採用は、撮影で時計を着けてきた本人の要望に応えたものだ。劇中では、Qが時計に仕込んだ電磁パルス装置が使われる。現実の007 エディションは限定生産ではなく、市販コレクションとして展開されている。映画に登場した時計をそのまま日常で着けたいファンにとっても、選択肢となる1本である。


スクリーンの外へ広がる007の時計

 映画着用モデルとは別に、会場には記念モデルとゲームに登場する時計も展示されていた。ここからは、007との関わり方が異なる3本を見ていこう。

Ref.210.93.42.20.01.001。

 2020年に発表されたシーマスター ダイバー300M ジェームズ・ボンド プラチナ ナンバード エディション Ref.210.93.42.20.01.001は、プラチナ製ケースを採用。ブラックエナメルダイヤルに18KWGでガンバレルのモチーフを描き、12時位置にはボンド家の紋章を配した。ブラックセラミックのベゼルやシリアルナンバーを刻んだプレート、グローブ・トロッターの専用ケースも含め、映画シリーズの意匠を細部に取り入れたモデルだ。

Ref.210.55.42.20.99.001。

 2022年には、ボンド映画60周年を記念したシーマスター ダイバー300Mのカノープスゴールド™製モデル、Ref.210.55.42.20.99.001が登場した。原作者イアン・フレミングが執筆の拠点とした、ジャマイカの邸宅「ゴールデンアイ」にちなんだ時計だ。天然グレーシリコンのダイヤルと、国旗の色をもとにしたグリーンとイエローの天然ダイヤモンドを採用。ベゼルにセットした石は、グリーンからイエローへとグラデーションをつくる。

Ref.210.32.44.51.01.002。

 2026年のシーマスター ダイバー300M クロノグラフ 007 ファースト・ライト Ref.210.32.44.51.01.002は、ゲーム『007 ファースト・ライト』のなかでボンドが着用するモデルだ。ボンドのシーマスター ダイバー300Mでは初のクロノグラフとなる。44mmのSSケースと波模様のブラックセラミックダイヤルに、ブロンズゴールド色のアクセントとストライプ入りNATOストラップを組み合わせた。映画を離れたゲームの世界でも、オメガはボンドの時計として登場する。

(左)Ref.210.30.42.20.03.004。(右)Ref.210.30.42.20.01.023。

 今回発表されたシーマスター ダイバー300M ジェームズ・ボンド&スペクターでは、SS製のボンドモデルとスペクターモデルの2本が発売される。ボンドモデルはブルーの波模様のダイヤルとグレード5チタン製ベゼルリングを備え、12時位置にボンド家の紋章を配す。スペクターモデルはブラックのグレイン仕上げダイヤルとブラックセラミック製ベゼルリングを採用。ローターにもそれぞれガンバレルとスペクターのロゴをあしらい、共通の42mmケースとメッシュブレスレットを採用し、それぞれ異なるデザインに仕上げている。また、ボンドとスペクターそれぞれに、SS製モデルとプラチナゴールド製モデルを1本ずつ収めたボックスセットも、各77セット限定で用意される。

 オメガがボンドと敵対組織スペクターを同じコレクションで扱うのは、今回が初めてである。ブランドが掲げるテーマは“二面性”。ボンドの義務や規律、忠誠心と、スペクターの独立心や自由、個人的な野心を、ひとりの人間のなかにも共存し得る資質として捉えている。新作2本は、映画でボンドが着用したモデルではなく、両者のシンボルを時計のデザインで表現したものだ。詳しい仕様と価格は、既報のIntroducing記事をご覧いただきたい。

 1995年に選ばれた青いシーマスターから、クレイグ本人の意見を反映したチタン製の007 エディションまで。歴代の時計を見比べると、ケースのサイズや素材、ストラップが作品ごとに変化してきたことがわかる。銀座の展示では、撮影で使われた個体の傷も含め、その違いを実物で確かめることができた。記念モデルやゲーム、今回のボンドとスペクターの新作へと、オメガと007の関係は映画の外へも広がっている。

Photos by Kyosuke Sato, Masaharu Wada