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Introducing カルト的人気を誇るクラシッククロノグラフ、タグ・ホイヤー スキッパーに新風が吹く(動画解説付き)

Hodinkee一味が、アメリカズカップで優勝したイントレピッド号の最新モデル“スキッパー”を携えて出航!

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Video Editor: Joe Wyatt

タグ・ホイヤーは、最も有名な時計のひとつ、スキッパーをまったく新しいパッケージで生まれ変わらせ、時計業界を驚かせている。2023年版のタグ・ホイヤー スキッパーは、新旧の融合を試みたわけだが、この斬新なモデルが特別である理由に触れる前に、過去にどのような経緯があったか追うことが重要だ。まずは本記事を読み終えたあとに、動画をご覧いただきたい。

 あなたがヨットに乗るタイプなら、間違いなくイントレピッド号をご存知に違いない。1967年に有名なアメリカズカップで優勝したことで知られる、当時としては革新的な船の名だ。重さ6000ポンド(約2.7t)を超えるこの船は、現在ロードアイランド州ニューポートの波止場に停泊しており、その甲板(デッキ)の独特なブルーが時計業界ではつとに有名である。私たち時計愛好家が半世紀以上前の船の色について知っている理由は、この船が地球上で最も象徴的なヴィンテージウォッチのひとつにインスピレーションを与えたからである。その時計とは、ホイヤー スキッパー Ref.7754、別名“スキッパレラ”である。1967年に開発が開始され、1968年に生産が始まったこの時計はサブダイヤルの色合いを一致させるために、イントレピッドのデッキから文字どおりペイントの破片が採取されたという。

 スキッパーは特異なデザインであり、ホイヤーで様々な“ボディスタイル”のスキッパーが製造されたが、中でも際立っているのはカレラ スキッパーだ。約10年間製造されたホイヤー スキッパーは、ポール・ニューマン デイトナと同じように認知度が高く、深いブルーのサンレイダイヤル、オレンジ、グリーン、イントレピッドブルーの3色のサブダイヤルなど、いくつかの視覚的要素が知られている。レーシング・クロノグラフと海を融合させた、擬似的ヨットウォッチなのだ。

1967年のアメリカズカップで優勝し、ロードアイランド州ニューポートのフォート・アダムスを通航する有名なイントレピッド号。

 2017年、本メディアの創設者ベン・クライマーは、タグ・ホイヤーとのコラボレーションにより、このヴィンテージレファレンスへの愛情をタグ・ホイヤー カレラ スキッパー Hodinkee限定モデルに昇華させた。当時、タグ・ホイヤーのカタログに掲載されていた39mmのヴィンテージとモダンを融合させたケースデザインを採用したこのモデルは、スキッパーの型を再考したものだった。オリジナルモデルの直径がおよそ36mmだったのに対し、このモデルは3mm大きかった。2つのサブダイヤルの代わりに、3色のサブレジスターと3時位置にデイト表示を備え、ダイヤルカラーは往年のブルーを維持した。また、この時計にはホイヤーのブランドロゴが単独(TAG抜きで)で表記され、スキッパーが12時位置に配置されていた(これについては後ほど詳しく説明する)。

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 この限定モデルは、完売から5年経った今でも、私たちが最も多くリクエストを受けるモデルだ。我々のこの時計への愛は言うまでもない。

時を経たスキッパーのトリオ。(左から)ホイヤー スキッパー Ref.7754、タグ・ホイヤー カレラ スキッパー Hodinkee限定モデル、そして新作のタグ・ホイヤー スキッパーだ。

初代ホイヤー スキッパレラ

Hodinkeeスキッパー限定モデル

 タグ・ホイヤーが2023年に発表した新作スキッパーには、実に興味深い変更が加わって復活することを知り、我々は興奮した。これらの変更は、今年初めにWatches & Wondersで発表されたタグ・ホイヤーのもうひとつの特徴的な時計に関わっているからである。39mm径の新作グラスボックスの採用により、カレラ クロノグラフのデザインが一新されたのだ。この時計は、その大きなクリスタル風防と傾斜したダイヤルによって、39mmでありながらラグからラグまでの全長が37mm径の時計に近い装着感を実現し、注目の的となった。

 この新しいスキッパーは、標準的なブルーのグラスボックスとデザインを共有し、デイト表示は6時位置に配置されている。このモデルでは、ダイヤル端の傾斜部分にはタキメーター表示の代わりに、数字でなく従来のマーカーを採用している。結局、これはヨットウォッチなのだ。

 今回の発表に先立ち、私たちは新型スキッパーを実際に、いや、むしろ夢の世界の中で見る機会を得た。というのも、ロードアイランド州ニューポートで、この時計とともにイントレピッド号で航海に出る機会を得たからだ。私はいつもの面々(ベン・クライマー、ジェームズ・ステイシー、ウィル・ホロウェイ、そして動画撮影チームのジョナサン・マクウォーターとジョー・ワイアットだ)と一緒に乗船した。

 時計が存在するきっかけとなった場所に回帰するのは、博物館を訪れるようなものだった。しかしここは生きた博物館だ。象徴的なブルーのデッキを歩きながら、手首から時計を外し、デッキの表面に当てて、色が完全一致していることを確かめずにはいられなかった。私はともかくも新型スキッパーはその場に非常に溶け込んで見えた(私はジブを上げ、帆をたたみ、一時的にイントレピッドのキャプテンを務めたが、決してヨットマンとはいえない)。

 古い木造船に乗って、波に揺られながら風に流される感覚は心地よかった。歴史的なつながりを意識して、我々は準備をしてきた。新型スキッパーだけでなく、Ref.7754(クライマー提供)、そしてスキッパーHodinkee限定モデルも用意した。このトリオは、このデザインのパワーをまざまざと見せつけた。それらを並べることで、この最新版スキッパーの新機能のすべてを簡単に検証することができた。さっそくその詳細を紹介しよう。

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 この新しいタグ・ホイヤー・スキッパーでまず目につくのは、全体的にモダンな外観だ。先に述べたように、このモデルは39mm径の新しいグラスボックスのデザインを踏襲している。しかし、これらのモダンな華やかさは、全体的な配色とヴィンテージ風タイポグラフィの採用により、控えめなものとなっている。スキッパーのデザインから大きく逸脱しているのは、カレラ表記を12時位置に配したことである。歴史的に、この位置はスキッパー表記のために確保されてきたからだ。その代わりに、9時位置の8と4の数字のすぐ下にあるオールブルーのサブダイヤルにスキッパー表記を見つけることができる。

 ある意味、この時計はオリジナルのスキッパーに非常に忠実である。というのも、3時位置と9時位置のサブダイヤルは、グリーン、オレンジ、ブルーの3色で表現されている。オリジナルモデルにデイト表示はなかったが、このモデルでは6時位置にきちんと日付が配置され、ホワイトとオレンジのマーカーが交互に配された非常に控えめなスモールセコンド表示が並んでいるのだ。

 ダイヤルは深みのあるブルーのサンレイ仕上げで、ダイヤルの主要部分にはアプライドマーカーを配している。各マーカーの上にはオレンジのペイントが施されたアクセントがあり、傾斜したエッジにはクロノグラフ機能用のふたつ目のマークが配置されている。そういえば、クロノグラフ針も時針と分針の先端と同様にオレンジ色で描かれている。

 39mmケースの厚みは13.9mmとまあまあスリムで、ラグからラグまでの全長は46mmと非常につけやすいサイズだ。また、100m防水を備えており、航海中にイントレピッド号の側面に波が当たっても安心だった。時計の内部は、トランスパレントケースバック越しに眺めることができ、タグ・ホイヤーの自動巻きCal.TH20-06は約80時間のパワーリザーブを誇る。

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 これは間違いなく派手なリリースになる(シャレのつもりだ)だろうが、タグ・ホイヤーがかつて“復刻”製品を扱っていた方法とは異なる、実に興味深いシフトチェンジだとも思う。新しいグラスボックスのモダンなボディに懐古趣味的なデザインキューを統合することで、このブランドは、過去の栄光を語るモデルであっても、自社のブランディングへの完璧な投資としているようだ。さようなら、ホイヤー。

 そのような考えのもと、スキッパーの表記の位置のような、ある種のデザインの逸脱はここでは許容される。これは再解釈ではなく、スキッパーの再誕生なのだ。ブランドはこれを限定版とは呼んでいないが、生産数は通常モデルよりも少なくなると思わざるを得ない。そして、これは単なるヨット遊びのための時計ではない。この時計は、この分野で重厚な歴史を持ち、実に多彩なバックストーリーを持つブランドが放つ、十分な性能を備えた現代のクロノグラフである。

 さて、この新作のコンテンツに飢えていて、Hodinkeeの仲間たちと歴史的なヨットで戯れる姿をもっと見たい方は、ぜひ上の動画をご覧いただきたい。それでは、出航!

タグ・ホイヤー カレラスキッパー。39mm径 ×13.9mm厚、ラグからラグまでの全長は46mm。ステンレススティール製ケース、裏側にレザーをあしらったテキスタイル製ストラップ、ディプロワイヤント・バックル、100m防水、ブルー、オレンジ、グリーンのアクセントが入ったブルーサンレイダイヤル。ムーブメントはCal.TH20-06、時・分・スモールセコンド、日付、クロノグラフ機能。2023年7月発売。価格は84万7000円(税込)。

Photos: James Stacey, Will Holloway, and Jonathan McWhorter
Video: Joe Wyatt and Jonathan McWhorter

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Hodinkeeショップはタグ・ホイヤーの正規販売店です。新しいスキッパーは、こちらでお求めいただけます。
 
タグ・ホイヤーはLVMHグループの一員です。LVMH Luxury VenturesはHODINKEEの少数株主《ですが、HODINKEEは完全な編集上の独立性を維持しています。