この記事は秋のモナコ・レジェンド・グループオークションのフォトレポートだと言いたいのだが、実際はそれほど単純な話ではない。これは友人たちが集まって近況を報告したり、お酒を飲んだり、素敵なディナーを楽しんだり、そしてもちろん時計の売買をする様子をお届けするフォトレポートなのだ。
ニューヨークやジュネーブでの人々は、真剣なビジネスの場という雰囲気でオークションに臨む傾向がある。これはモナコにも言えることである。もちろん、遊びで金が飛び交うような場ではないからだ。しかし、スーツやジャケット姿の大多数の人が、適切な価格を支払おうとするために品定めをする一方で、イタリア人を中心とする人々からは陽気さやコメディさ、 “ショー”を楽しんでいるといった空気を感じる。
例を挙げよう。非常に珍しい、おそらく唯一無二のプロトタイプデイトナが出品されたとき、会場にはふたりの入札者がいてお互い激しく競り合っていた。ふたりとも熱心なコレクターであり博識であったが、そのうちのひとりは、別の友人でありディーラーでもある人物に煽られて入札していたようだ。その時計はかなりの値打ちがあったが、入札者のひとりは競り負けるたびにホッとしているように見えた。それでも彼は再び入札を続ける。ついに彼は、完全に候補から外れたようだった。彼は立ち上がってもうひとりの入札者に歩み寄り、“お気をつけて、(競り落としてくれて)ありがとう”と言った。そして観客からは笑いが起こった。しかし彼が立ち去ると、指を立てて再び入札を行った。観客からはどよめきが起こり、そして彼は時計を持って去っていった。
以前にも書いたように、ヴィンテージウォッチが好きな人にとっては、いつか必ず参加すべき素晴らしいオークション(それと友人グループ)だ。ダヴィデ・パルメジャーニ(Davide Parmegiani)氏、クロード・コーエン(Claude Cohen)氏、そして彼らのチームは、素晴らしい時計のセレクションのもと素晴らしいイベントを行った。もしモナコに行くことができなくとも、この写真を見て会場にいたような気分になれればと思う。
モナコ・レジェンド・グループの詳細については、公式ウェブサイトをご覧ください。
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