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Interview ピアジェの超薄型時計作りについて、プロダクト&イノベーション ディレクターのレミ・ジョマール氏が語る

超薄型時計の先駆者ピアジェのウォッチメイキングへのスタンスとは。

1874年創業のピアジェのブランドイメージは、レディスのハイジュエリーが強くあるかもしれません。ですが、原点はあくまで時計製造にあり、特に超薄型のウォッチメイキングで知られています。同社の歴史的なタイムピースは先日、本サイトで公開した記事「ピアジェのモダンヒストリーを解き明かす9本の名作ウォッチ」に譲りますが、現在もそのスタンスは貫かれています。

 2018年から昨年まで、世界最薄の機械式時計の記録はピアジェのアルティプラノ アルティメート コンセプト(AUC)が保持していましたが、今年のWatches & Wonders 2022で厚さ1.8mmのブルガリ オクト フィニッシモ ウルトラがリリースされ、わずか0.2mmの差でその記録を塗り替えられました。また、先日もオーデマ ピゲからロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シン RD#3が発表されるなど、超薄型のカテゴリーはハイエンド・ウォッチメーカーたちが技術力をアピールする場として注目されています。

 AUCを手掛けたピアジェのプロダクト&イノベーション ディレクターであるレミ・ジョマード(Rémi Jomard)氏に、このカテゴリーに対する同社のスタンスや今後についてお話を伺いました。

和田 将治

 近年、超薄型時計のジャンルはとても注目されています。この分野におけるピアジェならではの強みは何でしょうか?

レミ・ジョマード

 ピアジェは、このニッチな分野にいち早く本格的に挑戦してきました。1957年に発表した厚さをわずか2mmに留めた手巻き式のCal.9Pを皮切りに、マイクロローターを搭載した2.3mmのCal.12Pを1960年に発表。その後も継続的にこの分野にチャレンジし続けてきました。超薄型時計というものが、DNAに組み込まれているのです。

 Cal.9Pを発表した当時も今も超薄型というジャンルは、ニッチで、薄いことそのものが個性です。超薄型時計は、通常の時計よりもはるかに制約のあるスペースのなかにすべての部品を収める必要があります。聞くだけだととてもシンプルに思えるかもしれませんが、実際ははるかに複雑なことを行っています。

 約6年の歳月を経て完成したAUCは、たった2mmの薄さのなかに167個の部品が組み込まれています。またそこに収めるだけでなく、腕時計としてつけられることも大前提。耐久性も必要になるのです。自社でムーブメントの設計、開発、そして製造を一貫して行うことができるマニュファクチュールであることは、非常に大きな強みだと考えています。

和田 将治

 ほかのブランドと比較して、設計思想や考え方、目指すものに違いはありますか?

レミ・ジョマード

 我々はこれからも時計メーカーであり続けなければならないと考えています。それはAUCにも表れています。もちろん、薄さの限界を破るために時計製造における基礎を根本から見直しました。ケースバックをムーブメントの地板とし、香箱をその上で組み立て、調速機構の構造も全面的に見直しました。

 ですが、時分針を重ねて表示し、リューズを使って時刻調整と巻き上げを行うことができるという、いわば伝統的な腕時計としてのアプローチをとっているのです。ただ薄くするのではなくユーザー体験としても腕時計であることにこだわっています。

アルティプラノ アルティメート コンセプト Ref.G0A47505

和田 将治

 AUCの新作がリリースされましたね。ユニークピースとのことですが、このモデルについて教えてください。

レミ・ジョマード

 ピアジェは、1874年にラ・コート・オ・フェ(スイスのジュラ山脈の山間に位置する小さな村)に創業して以来、時計製造の拠点をこの地に置き続けていますが、AUCもここで誕生しました。新作は、AUCが誕生した2017年2月7日に最初に時を刻んだ瞬間を祝したユニークピースです。

 その日付を2時30分位置に刻印し、最初の時刻午後7時47分をダイヤルのドットインデックスのふたつを白枠にすることで表しました。ダイヤル上部のブランドロゴは、ラ・コート・オ・フェのマニュファクチュールに記されている歴史ある書体と同じものを採用しています。

 サンドブラスト加工とダークスレートブルーPVDコーティングが施された地板の背景には、スーパールミノバでラ・コート・オ・フェのその日の星空を表現。また、ラチェットホイールには、その地名とその座標が刻印されています。ケースはコバルト合金製、厚さはご存知の通り2.0mmです。

和田 将治

 今後のピアジェのウォッチメイキングについて教えてください。今後も薄さを追求していきますか? ピアジェ ポロ コレクションもとても成功していると伺っています。

レミ・ジョマード

 ピアジェ ポロは商業的にとても好調です。今後も拡張していくつもりですが、最初は文字盤のカラー展開を行う予定です。ピアジェはカラフルなメゾンですからね。

 薄さへの挑戦はこれらも続けていきますが、我々が培ってきた薄型時計製造のノウハウをより多くのラインに展開していきたいと考えています。そして、それはすでに始まっています。例えばピアジェ ポロ スケルトンを見てみてください。厚さはわずか6.5mmです。薄さを追求し、それをマスターするということはピアジェに本当に多くの恩恵をもたらしているのです。

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ピアジェの薄型時計はずっと注目して見ている。設計思想や製造の技術など、もっと深い話も聞いてみたい。

1 いいね
H
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コメントありがとうございます! ピアジェは薄型ムーブメントの製造で、より部品を小さく、薄くしていくやり方を好むのだそうです。今後、工房などを訪れることがあったらよりテクニカルな内容も聞いてみようと思います!

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こちらこそ良い記事をありがとうございます。ピアジェは早い段階から2番車オフセットの輪列配置をしていたのが、フレデリックピゲやルクルトとの違いだと思います。その辺りの設計の妙について、特に詳しくお願いします!