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我々が知っていること
15年間にわたる時計製造の歴史のなかで、レッセンスは常に時計業界の一般的なトレンドとは一線を画してきた。それもそのはず、創業者ベノワ・ミンティエンス(Benoît Mintiens)氏は、同ブランドの時計に体系的かつ(少なくとも時計マニアにとっては)ひと目でわかるデザイン言語を与えてきたからである。では、そんなブランドが初めて一体化したブレスレットを備えたツール ウォッチを発表したらどうなるのか? それが、新作タイプ7である。
グレード5チタン製のタイプ7は、レッセンス流のトノー型ケースを採用しており、際立ってフラットな側面とポリッシュ仕上げの面取りが特徴である。ケース径は41mm、厚さは14mmで、一体化したブレスレットと直接接続されている。このブレスレットにはスクリュー固定式のリンクが用いられ、クラスプには5段階のマイクロアジャスト機構が備わっておりこれはクラスプ外側のスライダーで調整可能である。
レッセンスはタイプ7に、同ブランドのいくつかのモデルにおいて最も優れ、そして視覚的に印象的な特徴のひとつであるオイル充填式の凸型ダイヤルを取り入れている。オイルで満たされたダイヤルは通常クォーツモデルにしか見られず、機械式時計ではほとんど例がない。なぜなら、風防の下にある空間すべてがオイルで満たされているからである。さらに複雑なのは、このレッセンスのダイヤルには一般的な針が一切存在せず、時間とともに回転するインダイヤルによって表示が行われる点である。もしオイル充填式のダイヤルを実際に見たことがないなら、ぜひ一度見て欲しい。これは光学上、驚異的なもので、屈折がまったくなく、インデックスがまるで風防の一部であるかのような錯覚を与える。その美しさは現実世界に存在するOLEDディスプレイのようなものである。
しかし、レッセンスのシステムは実に巧妙である。ケース下部にはETA 2824ベースのキャリバーが搭載されており、ケースバック兼リューズとして機能するハイブリッド構造に接続されている。この空気で満たされた下部構造と、複雑なダイヤル機構(レッセンス・オービタル・コンベックス・システム、通称ROCS 7)が収められたオイルで満たされた上部構造とは、薄いチタン製の膜によって隔てられている。そして、この上下2層の構造は磁気伝達システムによって連結されており、これらの磁石がベースムーブメントの分針軸に対応してダイヤルの回転を駆動する仕組みとなっている。
レッセンスの現行モデルになじみのある人であれば、従来とは異なるオイル油温インジケーターの配置に気づくかもしれない。このインジケーターは、オイルの体積が温度変化によって変わる際に連動する内部ベローズ(弁体の気密を保つための金属製の蛇腹部分)システムに対応しており、これまでは独立したインダイヤルとして表示されていた。しかし今回は、時刻表示のインダイヤルの下部に控えめな小窓として組み込まれており、温度変化に応じて色が変化する仕組みとなっている。この独立したインジケーターの代わりに搭載されたのが、新たなGMTインダイヤルである。24時間表示の目盛りが備わっており、別のタイムゾーンを把握することができるのだ。裏蓋を反時計回りに回すことでGMT針の設定が行え、この際、ダイヤルが回転しながらGMT針が1時間ごとにジャンプして進む。目的のGMT時刻が設定された後は、裏蓋を時計回りに回すことでメインの時刻を調整することが可能である。
ダイバーズウォッチのタイプ5から採用されたのが、レッセンス・コンプレッション・ロック・システムである。これはふたつのポジションを持つケースバック機構で、ガスケットを圧縮/ロックする仕組みとなっている。オープン状態の“セット”モードでは、ケースバックを回して時刻合わせや巻き上げが可能。クローズ状態の“ロック”ポジションではガスケットが密閉され、タイプ7は50mの防水性能となる。
タイプ5に搭載されている回転ベゼルは新作に引き継がれていない。というのも、タイプ7のベゼルは固定式だからである。今回のリリースでは、ナイトブルーのカラーバリエーションと、ブランドの15周年を記念した限定モデルXV アクアマリンのより明るいカラーバリエーションが展開される。ナイトブルーのベゼルにはセラミックが使用されている一方で、XV アクアマリンにはアルミニウム製のベゼルが採用されているのが興味深い。おそらく、この色調をセラミックで再現するのが困難だったためだと考えられる。
レッセンス タイプ7の希望小売価格はそれぞれ673万2000 円(税込)で、2025年4月に発売予定だ。
我々の考え
新作タイプ7の最初のレンダリングを見たとき、思わず安堵のため息が漏れたのを覚えている。レッセンスが“ジェンタ風”デザインを採用するなんて心配する必要はなかった...そう思うべきだったのだろうが、同じようなことを実際にやってしまったブランドがあまりにも多いため確信を持てなかったのも事実だ。確かにこれは、レッセンス史上もっともブルータリズム的なケース形状かもしれない。それでもレッセンスらしさはしっかりと感じられる。
このユニークな時計を無理にカテゴライズするなら、フィールドウォッチというジャンルに当てはめてみたい。というのもレッセンス自身がこのモデルを、冒険者のためのツールウォッチと強調しているからだ。正直なところタイプ5にただブレスレットを取り付けただけの時計で終わらせなかったのは、本当にうれしい。これだけスポーティでタフなデザインを見ると、フルブレスレットと50m防水という安心感を備えた日常使いの1本になり得るのでは、とすら思えてくる。この新要素だけでも十分満足だったがGMT搭載といううれしいサプライズもあった。とはいえ設定のたびに時計を外して裏蓋を操作しなければならないとなると、実用性の面では疑問が残るのも事実だ。本作をジュネーブで実際に見られるのが楽しみでならない。時間が取れれば、じっくり触れてみたいと思っている。
基本情報
ブランド: レッセンス(Ressence)
モデル名: タイプ7(Type 7)
直径: 41mm
厚さ: 14mm
ケース素材: チタン
文字盤: ナイトブルー、XV アクアマリン
インデックス: プリント
夜光: あり、ダイヤルマークおよびインデックスにスーパールミノバ
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: チタンブレスレット
ムーブメント情報
キャリバー: ROCS 7
機能: 時・分表示、GMT、オイル温度インジケーター、ランニングインジケーター
パワーリザーブ: 約36時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 37
価格 & 発売時期
価格: 両モデルともに673万2000 円(税込)
発売時期: 2025年4月発売
限定: あり、XV アクアマリン カラーは世界限定80本
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