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我々が知っていること
Only Watchオークションは、新作時計のリリースに関してネタバレになりがちなものだが、タグ・ホイヤーのWatches & Wondersでの新作に関しても、昨年の延期されたオークションから1本が登場した。私たちは、2023年のオークションで発表されたユニークピースのモナコ スプリットセコンド クロノグラフを見たが、いまやその時計の通常生産モデルが現実のものとなったのだ。タグ・ホイヤーの新作モナコ スプリットセコンド クロノグラフは、誕生55周年を迎えたクラシックなクロノグラフを、同社の幅広いコレクションのなかで、よりアバンギャルドな位置づけへと進化させたモデルだ。
もちろん、これは伝説的なレーシングウォッチに新たな価格帯が設定されたことを意味するが、これについては後ほど説明しよう。まず、この時計に施されたスタイルと素材の変更を見てみることが重要である。一見したところ、この時計のメカニズムに注目させるオープンワークの美学に焦点が当てられていることに気づくだろうが、その理由はこのブランドが初めて製造した機械式スプリットセコンド・クロノグラフだからである。そのためには、ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエとのパートナーシップにより、まったく新しいムーブメントを開発する必要があった。そして、ここでのショー全体(時計のこと)は、新しいCal.TH81-00に注目してもらうためのものなのだ。ケースバックはすべてサファイアでできており、キャリバーの塊が自由に浮いているように見える。このローターは、タグ・ホイヤーロゴの盾の形をしており、時計のカラーウェイによって、赤または青のグラデーションでハンドペイントされている。
この技術の驚異的な部分、言ってみれば表面的な要素について説明しよう。本作はレッドとブルーの2色で展開される。レッドとブラックの2色のコンビネーションかつ、赤いテキスタイルのストラップが文字盤の赤いディテールを引き立て、より現代的な印象を与る。左側にあるサブダイヤルには、スプリットセコンドムーブメントにちなんで“ラトラパンテ”の文字を配置。これは、最近の新型スティール製スキッパーで見られた、サブダイヤルのひとつに名前の由来をプリントをするという、ブランドの新しいデザイン選択である。
このケースはグレード5チタン製であり、その結果信じられないほど軽いパッケージが実現した。文字盤はサファイアからつくられ、文字盤のアーチにはサテン仕上げとDLCコーティングが施されているのが特筆すべき点である。このデザインには、スティーブ・マックイーンの時代をほうふつとさせるレトロな雰囲気のブルーバリエーションがあり、現代のルックスと感触を損なうことなくその時代を呼び戻している。このモデルで注目すべき点は、文字盤アーチに施されたグラデーションブルーの仕上げである。
そして忘れてはならないのは、41mmという非常に着用しやすいサイズであることだ。しかし、これもまた特別なもので、それぞれのローターにシリアルナンバーが刻まれる。前にも述べたように、この技術革新には価格が伴い、この時計は現在1672万円(税込)で販売されている。この時計はリシャール・ミル(偶然にもヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエと提携している)と肩を並べることになるが、これは完全に意図的なものであるようだ。新しいタグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンドは、来たる6月に発売される予定だ。
我々の考え
今年の初め、私はこの時計をこっそりと見る機会があり、一般に知られていない状態で、価格も知らずに見た。まず驚いたのはそのデザインだ。ブランドがコレクション内の象徴的なプラットフォームに手を加えたり、変更したりすることはよくあるが、それは変化のための変更に過ぎない。タグ・ホイヤーからは、カレラコレクションの全面的な見直しの余波を受け、(新しいグラスボックスとともに)さまざまな形でチャンスが待ち受けていることを理解しているブランドの姿を見た。カレラ グラスボックスは、過去2年間で私が最も気に入った新作のひとつであり、このモナコはその思想的な兄弟のように感じられる。
もちろん、8000ドル以下のクロノグラフと15万ドル以上のクロノグラフのあいだには大きな違いがあることは承知しているが、それだけを見るのは大局を見誤ることになる。ラボで成長させたダイヤモンドのカレラから、サンドブラスト仕上げのチタンを使ったアクアレーサー ソーラグラフ、そして今回のこのモデルまで、タグ・ホイヤーはあらゆるカテゴリーで、さまざまなタイプのムーブメントを使って革新的な取り組みを行っている(ケニッシとパートナーシップを結んでいるほどだ)。自社製がすべてではなく、成功にはリスクが不可欠であることを理解しているブランドである。そして、Watches & Wonders 2024のフラッグシップ新作であるこの高価格帯のモナコで、私たちはリスクプレーを目の当たりにしている。昨年のカレラ プラズマの成功は、この時計が輝くための現実的な道を切り拓いたと思う。
ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエとの協力や、まったく新しいスプリットセコンド・クロノグラフの開発は、それ自体が新しいものだが技術的な革新だけに留まらない。タグ・ホイヤーは、モナコのフォーマットに新たな風を吹き込んだのだ。ほとんど重さを感じさせない外装(グレード5のチタンを使用していることは言うまでもない)。文字盤と裏蓋にサファイアを多用し、内部のムーブメントを余すところなくシースルー化。私はレッドのバリエーションが大好きなのだが、ブルーのバリエーションに施されたアーチのグラデーションも気に入っている。だが私が最も気に入っているのは、モナコを愛用したことで知られるマックイーンやスタンリー・キューブリックを彷彿とさせながら、モナコの歴史を語ることができる点だ。個人的には、ここから先が楽しみでならない。この時計に関する私たち(そして私)からのコメントは、これが最後ではないので、ご期待あれ。
基本情報
ブランド: タグ・ホイヤー(TAG Heuer)
モデル名: モナコ スプリット セコンドクロノグラフ(Monaco Split-Seconds Chronograph)
型番: CBW2181.FC8322 (レッド)、CBW2182.FC8339 (ブルー)
直径: 41mm
厚さ: 15.2mm
ケース素材: グレード5チタン
文字盤色: オープンワーク
インデックス: アプライド
夜光: あり
ストラップ/ブレスレット: レッドまたはブルーのテキスタイルストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: TH81-00
機能: 時、分、秒、スプリットセコンドクロノグラフ
パワーリザーブ: 65時間(クロノグラフ停止時)、55時間(クロノグラフ作動時)
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時(5Hz)
クロノメーター認定: なし
価格 & 発売時期
価格: 1672万円(税込)
発売時期: 2024年6月
限定: なし、シリアル入り
詳細はタグ・ホイヤー公式サイトへ。
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