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Hands-On タグ・ホイヤー ヴィンテージへの敬意を表した、カレラ60周年記念モデルが登場

60周年モデルである証拠として、新年最初の新作で、タグ・ホイヤーはパンダ文字盤を採用している。


かつて世界で最も危険な自動車レースといわれ、そして終わりを迎えたカレラ・パンアメリカーナ。このレースは、単にレースにまつわる伝説的な物語を残しただけではない。カレラという名前を、ジャック・ホイヤーが同じように素晴らしい時計に生まれ変わらせるきっかけともなったのだ。実際その時計は、カレラと聞いてオープンロードレースについて思い描く前に、クロノグラフを思い浮かべる人が多いほど伝説的な存在となっている。

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 タグ・ホイヤーは60年前に最初のホイヤー カレラを発表して以来、同モデルに関するアニバーサリーを欠かすことはなかった。実際、タグ・ホイヤーは600本限定のタグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ 60周年記念モデルをその皮切りとし、年間を通して記念モデルのリリース計画を立てている。私は以前、この時計の紹介記事を、実物がどのようなものであるかが判明する前に執筆した。そして詳細が発表された現在では、ご覧のようにリアルで美しい写真を見ることができるようになっている。

TAG Heuer Carrera 60th

 このタグ・ホイヤーのアニバーサリーモデルについては、皆さんもよく知っているはずだ。ご存じのとおり、39mmのケースサイズと、ハンサムでスローバックなデザインを取り入れた文字盤を特徴としている。一見するとヴィンテージウォッチのようにも見えるが、優れたムーブメントを搭載した現代的な時計なのだ。

 正直なところ、私はタグ・ホイヤーのこうした側面、つまりホイヤーとしてのアウトプットに絶えず引かれ続けてきた。私に言わせると、これはブランドにとってリスクが少ない方法だ。愛好家たちが待ち望むものを提供すると同時に、この新しいアニバーサリーピースを見て「どうかな……、古くさく見えるけど」という人たちに向けては、より大きくよりモダンなデザインの時計を提案することができる。この “普通"な人たちからの肩透かしこそが、実は我々が時計に求める隠し味となる。コンサバティブなサイズに、ヴィンテージ感溢れるシンプルなデザイン。タグ・ホイヤーのように、アーカイブに膨大な熱量を有するメゾンのデザインであれば、なおさらだ。

TAG Heuer Carrera 60th

 そのひとつが、これまで何度か紹介してきたカレラ 2447だ。カレラの原点ともいえる存在だが、タグは今回の記念モデルにパンダ文字盤をレイアウトした2447SNというややレアな1本を採用した。

 まさに“パンダの美学”であり、同モデルの実物は我々を熱狂させた。そしてそれは期待を裏切らないものであった(この手のものを台無しにするのは至難の業だろう)。39mmのサイジングは手首によくフィットし、シルバー文字盤に対する黒のインダイヤルのコントラストが、ヴィンテージ感を高めている。針とアワーマーカー上の夜光にはエイジング加工が施されているが、これはあくまでも武骨なデザインに温かみを与える装飾的な意味合いが強い。

TAG Heuer Carrera 60th
TAG Heuer Carrera 60th Crown
TAG Heuer Carrera 60th Flat Profile

 トリチウムを使用しないことで文字盤上の印字が少なくなり、よりすっきりとした印象に仕上がった(余談だが、トリチウムは本物のヴィンテージウォッチにしか使用されない)。6時位置のインダイヤルにはほとんど目立たない“SWISS”の文字があり、上部にはクラシックな“HEUER”のワードマークと“CARRERA”の名前が残されているのみである。さっぱりとしていて、クリーンなデザインだ。

 この『Let It Breathe』(ジョーイ・バッドアスによる楽曲)なレイアウトは、シルバー文字盤に施されたサンバースト仕上げをいっそう輝かせている。中心を同じくしてきらめくダイヤルにもゆっくりと目を向けると、その質感がよくわかるだろう。3時位置には30分積算計、6時位置にはスモールセコンド、そして9時位置にはクロノグラフの12時間積算計がある。クロノグラフ秒針は金属製で夜光塗料が塗布されていないため、ダイヤルに違和感なく溶け込んでいる。

TAG Heuer Carrera 60th On Wrist

 視認性を考慮した結果、インダイヤルの針は白としている。現代に生まれ変わったこのモデルを見ていると、ヴィンテージデザインを意識して作られていることが伝わってくるだろう。本作は、真のツールウォッチをベースとして今日に甦った、ラグジュアリークロノグラフなのだ。

 本作のケースバックからは自動巻きムーブメントであるホイヤー02オートマティックがのぞいているものの、オールドスクールなデザインの邪魔になってはいない。それは、ケースバックが手首の上にあるため、視界から隠れるという極めて明白な理由からだ。この時計は、あなたの目が届く範囲のためだけに(あるいは友人に見せ、中毒性の高い趣味に夢中にさせるために)用意されたものなのである。

TAG Heuer Carrera 60th On Wrist

 手首に装着すると、小振りなプッシャーと相まって、まさに“ジャストフィット”なつけ心地を実感できる。また、レーシングスタイルのブラックレザーストラップとの組み合わせは、パンダ文字盤のハイコントラストなデザインをいっそう引き立てている。私はもともとこの手のクロノグラフが大好物なのだが、タグ・ホイヤーはアーカイブの再現という意味で本当にいい仕事をしたと思う。600本限定ということで、この気持ちもあまり長持ちしないだろうなという気はしているが。

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HODINKEEは、タグ・ホイヤーの時計の正規販売店です。カレラ クロノグラフ 60周年記念モデルの詳細については、ブランドのウェブサイトをご覧ください。