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我々が知っていること
ウブロは、日本人アーティストの村上 隆氏とのコラボレーションによる新しいサファイアMP(これはマスターピースの略。正直に言うと、この言葉を先週末に知ったばかりだ。私たちは日々学習している)を発表した。完全に透明な花の形をしていて、厳密にいうと文字盤はない。スマイルフェイスのなかに鎮座するフライングトゥールビヨンだけがあり、そこから小さな針が突き出ていて、目を凝らすとインデックスが見えるようになっている。この時点で、この時計は時間を確認することが重要でないことは、誰もが理解したと思う。
村上氏はコラボレーションに飛びつくのが好きなタイプのように見えるかもしれないが、彼は文字どおり現代ファッションのコラボレーションの祖だ。ヴァージル(・アブロー)が話題になるずっと前から、彼は一般消費者とファインアート、ハイファッション、ストリートウェアの橋渡しをしていた。
村上氏による“スーパーフラット”(ここで美術史の授業をする暇はない)なポップアートは、現代の視覚文化に浸透し、MoMaのギフトショップの枕にまでなった。これはマーク・ジェイコブス氏が村上氏に、ルイ・ヴィトンのミックスメディアプリント(マルチカラーのムラカミスピーディ万歳!)を依頼してからずっとあとのことである。カニエ・ウェストのアルバムアートから、2021年のメットガラでキッド・カディが身につけたベン・バラーのダイヤモンドセットチェーン、シュプリームのボックスロゴコラボレーションまで、村上氏はすべてを手がけてきた。彼の商業主義に対する本能を責めることはできないが、彼のアプローチはステッカー、枕、シャツから始まり、1500万ドル(日本円で約22億7580万円)もの彫刻に至るまで、ユニークで民主的なものだ。本当に、誰でも村上氏の作品を持ち帰ることができるのだ。
時計の話に戻ろう。Only Watchを含めると、これは村上氏がウブロのために手掛けた5本目の作品である 。
文字盤がない、いや、文字盤はあるがコンセプチュアルなものだ。時計の中央に配置される文字盤の代わりに、上部ブリッジのないフライングトゥールビヨンがデザインされている(ウブロで初めて連続生産されたセンターフライングトゥールビヨン)。そのトゥールビヨンは12枚の花びらで囲まれており、そのすべてが透明なサファイアでできているため、本質的にはスケルトンウォッチである。このMP-15は、輝度を最大限に引き出すためにサファイアケース、サファイアケースバック、サファイアリューズ、半透明の見返しリングおよびストラップを採用。村上氏は“モノクロだけど、色の制限はない”と言っていた。ポイントは、光が結晶をとおして屈折し、虹を作り出すという完璧なまでの透明度にある。
このセンターフライングトゥールビヨンは約150時間のパワーリザーブを備えているが、これは純粋にタイプミスだと思っていた。ではこれはどうして実現したか? ウブロは巻き上げをサポートするために、充電可能なスタイラスを製作。これをリューズにセットすることで、センタートゥールビヨンを駆動する両方の香箱が完全に巻き上がるまでに100回転することを可能にしたのだ(普通の人間が指でこれだけの回転をかける労力は、想像に難くないだろう!)。
このクリアサファイアケースは50本の世界限定生産で、4367万円(税込)で販売される。
我々の考え
これを実際に見たことがあるのだが、完璧に近いと感じた。望むのであれば私やウブロを叩いてもいいが、今日も私は肯定的な意見にしがみつく。この時計は私のためのものではないが、私が時計のデザインに何度も求めているもの、つまり現代的なアプローチを満たしている。何でもかんでもヴィンテージの復刻版のようにはなりたくないのだ。いずれにしても、ウブロがそのためにあるのでないことは確かだ。
MP-15はセクシーなシルエットとポップな魅力を併せ持っている。これを達成するのは非常に難しいことだと認識しよう。徹底的にモダンだが、つけこなせる。それと同じように、私はしばしばRM(リシャール・ミル)にありがちな、時計デザインの枠を超えた発想を称賛している。それらは私たちに疑問を抱かせるほど先進的なのだ。私はウブロを熱心に崇拝しているわけではないが、RMが私を突き動かすのと同じように、自分が時計に何を求めているのかを問うようにウブロは問いかけてくる。私はいつも正統な華やかさを求めているわけではないし、すべてがクラシカルなデザインに包まれた複雑な過去へのオマージュである必要もない。伝統の重要性を誇張しすぎると、テクノロジーの皮肉の餌食になりやすいのだ。
パーペチュアルカレンダーは、スパイスのなかで最も愛されているバニラのように、美しく古典的でありながら最も退屈なものでもある。好みの二面性だ。どっちも好きでいい! またはどちらもナシか。どうすべきかは言えない。ここで私はAPのコンセプトモデルとスマイリーRMについて考えている。テクノロジーが物理的な領域への依存を減らしている今、これらのブランドが伝統的な時刻表示機能の外に出て行こうとしているのは偶然ではない。念のために言っておくが、私がこれを身につけるとは言わないが村上氏がこれをつけるのを想像してもいいし、リル・ウージーがこれを身につけるのを想像してもいいし、ファレル(・ウィリアムス)がこれを身につけるのを想像してもいい。どうかもう1度考えてみて欲しい。
この時計は宇宙船には見えないし、現代的なデザインを満足させる必要もない。それは彫刻的であり、冗談のようであり、花の形をしているが、ほとんど無定形だ。透明だが、光が屈折する。いろいろなことが起きている。私は村上氏自身が、この作品を独立したものとして完全に受け止めている印象を受けた。いままでのコラボレーションのときよりもはるかに。
私からのアドバイスは、1歩下がって、感情の熱に飲み込まれすぎないようにすること。誰かが変革の担い手となって、十分に水を満たさなければならないのだ!
基本情報
ブランド: ウブロ(Hublot)
モデル名: MP-15 タカシムラカミ トゥールビヨン サファイア(MP-15 Takashi Murakami Tourbillon Sapphire)
型番: 915.JX.4802.RT
直径: 42mm
厚さ: 13.4mm
ケース素材: ポリッシュ仕上げのサファイアクリスタル
文字盤: ポリッシュ仕上げの透明コンポジットレジン
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: 装飾付き透明ラバーストラップ、サファイアクリスタルとチタニウム製フォールディングバックル
ムーブメント情報
キャリバー: HUB9015
機能: 時・分、フライングトゥールビヨン
パワーリザーブ: 約150時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 25
価格 & 発売時期
価格: 4367万円(税込)
発売時期: ウブロブティックで販売
限定: あり、世界限定50本
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