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我々が知っていること
1952年7月8日、25人の乗組員がテムズ川の南岸にあるロンドンのデトフォードを出航し、20世紀で最も大胆な探検のひとつである英国北グリーンランド遠征探検(BNGE)のため、過酷で容赦ない北極の未知の地へと向かっていった。
2年間にわたり、科学者、医療関係者、軍人、そしてのちにミッションに参加することになる5人の隊員が、人里離れたグリーンランドで華氏-87℃(約摂氏-66℃)の気温に耐えながら、気象学、地質学、地震学、生理学の研究を行い、将来の北極探検と急成長する気候科学の基礎となるものを作り上げたのである。このミッションは非常に重要であったため、探検の数ヵ月前に即位したばかりのエリザベス女王2世が主な後援者となり、ウィンストン・チャーチル首相が副保護者になった。
同年、チューダーは同社初の自動巻き防水時計オイスター プリンスを発表し、Ref.7808を26本、BNGEが過ごす北極圏に送り込んだ。チューダーの広告には「このチューダー オイスター プ リンスを身につける勇敢な男たちは、このとてつもない危険に耐えることができるとゆるぎない信頼を寄せている 」とあった。この旅がどれほど危険なものかは誰も想像できなかったが、広告では探検家たちが「今後2年間、これらの腕時計は時計が受け継ぐべきあらゆる試練を乗り越える」ことを約束したのである。
今日、チューダーは、30人の探検隊員と彼らの科学への貢献に敬意を表し、70年前にBNGEが行った探検のためのシンプルなツールウォッチのような、39mmの新型チューダー レンジャーを発表した。
グリーンランド オイスター プリンスのノーデイトの系譜を受け継ぎ、1960年代後半のヴィンテージチューダー レンジャーのスタイリングを取り入れたのがニューレンジャーだ。幅39mm、厚さ12mmのスティールケースは、34mmのヴィンテージモデルよりもモダンでつけやすいサイズになり、100m防水を備える。ベゼルはスティール製の固定式で、マットブラックのドーム型ダイヤルにはレンジャーのアイコンである3-6-9-12のアワーマーカーがやや黄緑がかったスーパールミノバで描かれており、レンジャーのアイコニックなハンドセットとマッチしている。前作のレンジャーモデルからアップデートされ、ダイヤルにはバラの代わりにチューダーの盾のロゴが描かれている。
内部にはCOSC認定マニュファクチュールキャリバーMT5402(4Hz)を搭載し、時針、分針、ハッキングセコンド機能、約70時間のパワーリザーブを備えている。
この時計の見落とされがちな特徴のひとつは、オイスタースタイルのブレスレットに、ブレスレットのフィット感をその場で調整できる「T-fit」セーフティキャッチが(再び)登場したことだ。チューダーブティック限定モデルのブラックベイ 58 ブロンズと今年のブラックベイ プロに採用されたこのT-fitデザインは、今後すべてとは言わないまでも、このブランドのほとんどのモデルで見られるようになるのではないだろうか。そして、多くの人にとって嬉しいことに、このブレスレットにはフェイクリベットが見あたらない。
価格はストラップで31万1300円、スティールブレスレットで34万7600円(すべて税込)。新しいチューダー レンジャーは、ブラックベイ58に搭載されているのと同じマニュファクチュールキャリバーMT5402を搭載している。
我々が思うこと
昔からのチューダーファンにとって、新型レンジャーの発表はさほど驚きではなかっただろう。2020年に旧型の41mmレンジャーが、昨年にはノースフラッグが製造中止となり、チューダーは、ヴィンテージチューダーのコレクターやブランドにとってアイコニックとなった要素を見直すきっかけを得た。そのため、同社がBNGEの歴史に裏打ちされたデザインの時計を予告し始めたとき、多くの人が次に何が来るのかを予想したのだ。
しかし、チューダーはすでに今年の初めブラックベイ プロで我々を驚かせていたので、噂が飛び交うなか私はそれを聞き流し、信頼できるブランドからの「期待できる」時計はおそらく悪いものではない、という視点を持ち続けた。しかし実際に時計を見てみると、それは私の(控えめな)期待を大きく上回るものだった。
私の普段使いの時計はオリジナルのブラックベイ 58なので、幅39mm、厚さ12mmのケースサイズと内部のムーブメントはすぐに馴染めるものだ。サテン仕上げのケースは、無駄をそぎ落としたツールウォッチに最適で、屋外のアクティビティに持っていくのにぴったりな、瞬時の視認性とシンプルさを備えている。
ブレスレットのオプションはどれも素晴らしく、ブラックベイ 58のフェイクリベットが嫌だったことはないのだが、レンジャーのブレスレットデザインがとてもクリーンでT-fitクラスプが非常にスマートなのを見ると、私のBB58にもそれがつけられればとすぐに思ってしまった。そして、自分は「ブレスレット以外認めない」男であるにもかかわらず、ジャカード生地と、ジェームズ・ステイシー風モディファイドNATOが気に入ってしまったことに衝撃を受けたのだ。
最大の懸念は文字盤だった。チューダーは、レンジャーの名前は1920年代に遡るという。「エクスプローラーのコピー」と非難されるかもしれないが、3-6-9-12のエクスプローラースタイルのダイヤルは、オリジナルのオイスター プリンスRef.7808のダイヤルの一部を含め、チューダーの歴史とともに歩んでいると指摘した。オリジナルのレンジャーで私が好きでなかったのは、フォントとハンドセットだ(冒涜と言われるだろう)。ショベル針とフォントは、チューダーのアイコンであるメルセデスやスノーフレークのハンドセットに対して、常に少し時代錯誤で場違いな感じがしていたのだ。また、このようなシンプルな時計では、それが明暗を分けることもある。少しでも気に入らなければ、それを隠す場所がないからだ。
結局、この文字盤をどう感じるかは、もう少し時間が必要かもしれない。ヴィンテージレンジャーに非常に近いデザインなので、短時間の使用ではそれまでの偏見を捨てきれない可能性がある。チューダーが3-6-9-12の数字を少し大きくしたことで、たしかに文字盤のバランスがよくなったと思う。針はほんの少しシャープでモダンになった感じがするし、小さな赤いチップの秒針もいい感じだ。旧ダイヤルのファンにとってはこの変更は悪くないと思うが、このデザインについて結論が出せない人にとっては、時間が経ってみないとわからないことだろう。
イギリス北グリーンランド探検隊におけるチューダーの役割についてはジェイソン・ヒートン(Jason Heaton)の2016年の記事で詳しく知ることができる。探検家たちが直面した過酷な状況や、これらの時計がどうなったかについて書かれている。一方で、あなたがもし購入を検討しているなら、チューダーはこれらの時計がすでに世界中のディーラーに渡っていると教えてくれた。
基本情報
ブランド: チューダー(Tudor)
モデル名:レンジャー(Ranger)
型番: 79950
直径: 39mm
厚さ: 12mm
ケース素材: スティール
文字盤色:マットブラック
インデックス: 黄緑色を帯びたスーパールミノバ塗装
夜光: 針とマーカー
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: 316Lスティール製ブレスレット、赤とベージュのストライプが入ったオリーブグリーンのジャカードファブリック製ストラップ、またはラバーとレザーのハイブリッドストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: マニュファクチュール MT5402
機構: 時、分、秒
直径: 26mm
厚さ: 5mm
パワーリザーブ: 約70時間
巻き上げ方式: 両方向回転ローターシステムを搭載した自動巻きムーブメント
振動数: 2万8800振動/時(4Hz)
石数: 27
クロノメーター認定: COSC認定スイスクロノメーター
価格 & 発売時期
価格:31万1300円(ストラップ)、34万7600円(ブレスレット)すべて税込
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