新しいウィークエンドコラムへようこそ。このコラムは、1週間日々の暮らしに忙殺され、時計に関する細かな情報のすべてを追いかけることができなかった人たちのためのキャッチアップセッションであり、まだまだ満足していない熱心な友人たちにおかわりを提供するためのものでもあると思って欲しい。また、“ニューウォッチ・アラート(New Watch Alert)”では過去1週間に発売された新作時計を、“見逃した方のために(In Case You Missed It)”ではもう一度見るべきお気に入りの時計を、“カルチャー・オブ・タイム(Culture of Time)”ではHODINKEEコミュニティ外からの興味深い記事を、そして“ザ・カンバセーション(The Conversation)”では皆様からのコメントへの返答をお届けする。それでは、どうぞ!
グラウンドホッグが(巣穴から出て)自分の影を見たので、我々はまた6週間の冬を過ごすことになるが、少なくとも我々にはオーデマ ピゲの新作の数々と、マイケル・B・ジョーダン(Michael B. Jordan)がコートサイドでヴィンテージのピアジェ ポロを着用するという我々を熱くさせる素晴らしい光景を目の当たりにした。もちろん、APの新作も話題の中心だった(認定中古品プログラムの開始も間近)が、今週は、ある独立時計師が、コンピュータレンダリングによって時計界に旋風を巻き起こした。ここでは、我々が今週公開したすべてのビッグストーリーと、そうでないニュースのいくつかをご紹介。また、コメント欄のご要望にお応えして、ヴィンテージモバードへの愛を最後にお届けする。
ニューウォッチ・アラート(New Watch Alert)
オーデマ ピゲが新しいロイヤル オーク“ジャンボ”を発表し、50周年記念の1年を経た今、ロイヤル オークはもうお腹いっぱいかどうかは関係なく、この新作に関する見出しが立ち、ネット上で盛り上がっていることだろう。今週、APはブルーグレインダイヤルのスタンダードなジャンボを発表した。昨年、ロイヤル オーク トゥールビヨンの限定モデルにディンプル文字盤を投入したことで、我々はロイヤル オークのタペストリー後の世界をますます歩むようになったことは明らかだ。私もそのひとりであり、ブランドが聖域に手を出すことを恐れない点を高く評価している。 APは決して実験を恐れないのだ。このWeekend Editionでは、ネオヴィンテージAPのコレクターへのインタビューし、この時代のブランドがコレクションに適している理由のひとつとして、その種類の多さにあることを紹介している。一例を挙げると、80年代から90年代にかけての超薄型永久カレンダーには200以上のバリエーションが存在するのだ。
だが、そのなかでも最高のロイヤル オークを、まだ紹介できていないのかもしれない。そう、イエローゴールドの37mm、鮮やかなターコイズブルーの文字盤を持つモデルのことだ。APにはストーンダイヤルの歴史があるが、これのモデルはここ数年の明るいブルーダイヤルのトレンドに乗った、より正統な方法だと感じている。このダイヤルと、扱いやすい37mmのイエローゴールドケースを組み合わせることで、このロイヤル オークはどんな腕にも似合うモデルとなっているのだ(日本での希望小売価格は税込764万5000円)。
APの上半期のリリースは、ロイヤル オーク、Code 11.59、そして2023年に30周年を迎えるロイヤル オーク オフショアの3つのコレクションに集中している。ここでは、我々が見たリリースの要約を、全記事へのリンクとともに紹介する。
- ロイヤル オーク: オーデマ ピゲ オールチタンのロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー ウルトラシン 41mm
- Code 11.59: オーデマ ピゲのCODE 11.59 バイ オーデマ ピゲはもはやベイビーではなく、スティール製へと強化された | オーデマ ピゲの新作CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル RD#4はRDシリーズすべてを凌駕するような驚異的なモデルだ
- ロイヤル オーク オフショア(&コンセプト): オーデマ ピゲ ロイヤル オーク オフショアの30周年を記念し、オリジナルに敬意を表した黙示録的なセラミックウォッチを発表 | オーデマ ピゲの最新作は、コンセプトとオフショアのデザインを近づける
オーデマ ピゲが、2023年末までに認定中古品(CPO)プログラムを開始する。APといえば、CEOのフランソワ-アンリ・ベナミアス(François-Henry Bennahmias)氏が、2023年末までにブランド独自の認定中古品プログラムを立ち上げると公式に発表した。 この数カ月、ニューヨークのマテリアル・グッド(すでに全米で複数のAPブティックを運営している)のようなパートナーとともにテスト段階向けた準備を進めており、この発表によりAPは、昨年ロレックスが動いたのに続き、CPOプログラムに投資する2番目のメジャープレーヤーとなった。今週のビジネスニュースで紹介したように、一次市場の成長が鈍化しているため、ブランドは新たな機会を求めて二次市場に目を向けているのだ。ベナミアス氏は、このプログラムの発表のなかで、APにとってCPOビジネスが新品ビジネスよりも大きくなることを期待していると述べた。
「私は本格的な時計を手に入れたくなったのだ。ヴィンテージのオメガ デ・ヴィルは本格的な時計に近いと思うが、私が言う“本格的”とは、金銭的に負担になるものという意味だ」 。元新人のサラ・ミラーは、初めて“本格的な時計”を購入するというストーリーを、おそらく私がこれまで見たなかで最高の“本格的な時計”の定義を語り、話はそこからさらにいい方向へと進んでいく。彼女は、ヴィンテージのロレックスのオイスター 6426(私の記事のおかげだが、彼女が耳を貸さなくてよかった)、カルティエのタンク、パテック フィリップのエリプスなど、彼女の考える候補の時計を挙げ、最終的にグランドセイコーはのSBGW283に辿り着く。彼女の記事は、時計を購入する際のあらゆる共感できるステップ、すなわち時計が欲しくなり、次にとても高価な時計が欲しくなり、そして最後に、手頃な価格とあなたを幸せにする完璧なバランスを実現した時計を見つけることを我々に教えてくれた。
そして“この時計は自分を苦しめるようなものではない。あくまでも私の時計であって、私たちはともに平和を過ごしているのだ”と、サラは締めくくる。
ああ、ルーシーってなんてかわいい子なんだろう?
誇れる歴史を持つブランドが、そのストーリーを伝えるために投資するのは素晴らしいことだ。ジャガー・ルクルトは、完全に修理・修復されたJLCのヴィンテージウォッチのカプセルコレクションである“コレクタブルズ”を販売することで、それを実現した。17本のコレクションには、レベルソ、メモボックス・パーキング、トリプルカレンダー、ジオフィジックなどの美しいモデルが含まれている。さらに、JLCは歴史的なモデルを手引書にまとめ、ブランドとコレクターのための参考資料として提供することを目的としている。この時計は高価だが、それは重要ではない。JLCはこれまでで最も多産な時計メーカーだが、それにふさわしい敬意を払われていないことが多い。このようなプログラムは、その一助となるものだ。
“このように歴史を振り返るなかで、ジャガー社が20世紀前半から半ばに残したデザインのように大胆な飛躍を遂げることを私は期待している。彼らにはその手段があるのだから”と、マライカはコレクタブルズを紹介する際に語った。
ジェブデ・レジェピが、コンピュータレンダリングで時計の世界を席巻
少なくとも昨年11月以来、いや、それ以前から、時計界はジェブデ・レジェピ(Xhevdet Rexhepi)が自身の名を冠した初の腕時計を発表することを辛抱強く待ち望んでいたのだ。1月30日、時計師レジェップ・レジェピ(Rexhep Rexhepi)の弟であるレジェピ(私のように、彼のクロノメーター コンテンポラン IまたはRRCCIIが喉から手が出るほど欲しがる人はいるだろう)は、初の単独名義による腕時計、ミニッツ・イネルテを発表した。38mm×8.5mmという大きさのこの時計は、胸を躍らせる機能が特徴だ。秒針が58秒でインダイヤルを1周し、トップで2秒停止。そして、1分ごとに分針が次の分へ瞬時にジャンプし、秒針が再び動き出すのだ。有名なスイスの鉄道時計を彷彿とさせる。レジェピは発表のなかで、最初のデザインは彼の周りの建築やデザインからインスピレーションを得たと語っている。
ジェブデの発表に関する投稿は、時計のInstagramという狭い世界ですぐに広まった。そしてこの最初のリリースがどのようなものになるのかについて、我々はまだ詳細を調べているところだ。最初の情報によれば、ここに掲載されているプラチナモデルが50本、そしておそらくローズゴールドモデルも50本生産されるとのこと。価格は約8万スイスフラン(約1140万円)と噂されている。
ジェブデの最初の時計に関するニュースについては、近日中にお届けしたいと思う。それまでのあいだ、我々が2016年に先輩レジェップのアクリビアの工房を訪れ、パテック フィリップでの見習いを終えたばかりの若いジェブデに会った時の様子をご覧いただきたい。今週、時計界に旋風を巻き起こしたジェブデに祝福を送ろう。
私はいつもコレクターのインタビューを楽しんでいる。特に流行が始まる前からその流行に乗っていた人たちのインタビューを。シンガポール人のトム・チャン(Tom Chng)氏は、80年代と90年代のオーデマ ピゲを収集しており、現在のトレンドである“ネオヴィンテージ”時代の基盤だ。そして、今週リリースされたAPすべての新作は、ブランドの歴史に対するチャン氏の視点が、最新の発表に貴重な文脈を与えてくれている。
特にチャン氏は、この時代のAPの超薄型永久カレンダーのコレクターで、A Collected Manにて「現在のオーデマ ピゲと比較して、その違いに深く衝撃を受けました」と語っている。この永久カレンダーは、製造された約20年間、常にラウンドケースに収められた小型の超薄型時計という体裁をとっていた。ブランドのサインに至るまで、すべてがまったく新鮮に感じられた。逆に現行のオーデマ ピゲのパーペチュアルは、より大胆になっているように思う。ヴィンテージのような抑制された印象はない。
コメント:
(1) モバードにはもっと現代的な愛が必要だ。HODINKEEは、古いモバードの時計と古いカルティエの時計についても、同程度の愛情を持って語っている。–@Quartz
(2) 私はM95が好きだ。いつかFBケースのモデルを手に入れたい。–@SartoriallyCavalier
レスポンス: ヴィンテージモバードについて話すのに2回も聞く必要はないだろうが、HODINKEEのコメント欄の皆さん、そうしてくれてうれしい。私はヴィンテージモバードが大好きだ。私が夢中になった最初のヴィンテージブランドのひとつだ。比較的手頃な価格で、何年ものあいだ、時間表示のみのモバードをたくさん手に入れたし、私にとっては、多くのデザインがパテックのカラトラバと同じくらいいいのだ。クリーンなデザイン、シャープなケース、ブレゲ数字と、すべてが揃っている。
M95 クロノグラフは、ヴィンテージモバードの王冠の宝石のひとつだ。それは同時代のパテックやロンジンとは比較にならないかもしれないが、非常に近いものだった。昨年12月にフィリップスで販売されたこのカルティエネーム入りのスーパーサブシーは素晴らしかったし、2番目のコメントで言及されている“FBケース”のM95は、20世紀の最も多作のスイスのケースメーカーのひとつであるフランソワ・ボーゲルに言及したものだ。同社はあらゆる最高のためのケースを作った。パテック(1463、565などの名作に使用)や、ヴァシュロン、モバード、ミドーといった手頃な価格のブランドまで、あらゆる一流のケースを製造していた。私は、カレラ、ユニバーサル・ジュネーブ、デイトナの次にM95を選ぶでしょう(少なくとも価値観の観点から)。これらのブランドはすべて同じバルジュー72を使用しているが、モバードは独自のクロノグラフムーブメント(Frédéric Piguetの協力を得て開発されたCal.M95)を使用している。コラムホイールクロノグラフで、クロノグラフプッシャーの機能が一般的なものと反転していることが特徴だ。つまり、4時位置のプッシャーでクロノグラフをスタートさせ、2時位置のプッシャーでリセットするのだ。
ヴィンテージモバードのカタログをさらに調べると、オーバルのようなクレイジーな形や、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)が特に好んだモバード エルメト、さらには最高の1463に匹敵するタスティ・トンディ(Tasti Tondi)も見つけることができる。
デザインは時代を超越しており、これらのパンダとリバースパンダのM95は、1960年代にメーカーから出荷されたときと同じように、現在も現代的なデザインに見える。さて、少なくとも今のところ、古いモバードに対する愛情はこれで十分だ。よい週末をお過ごしください。–@tonytraina
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