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Hands-On ハミルトン カーキ アビエーション パイロット パイオニア メカ

イギリス空軍用に開発された、英国のクラシック時計をハミルトンが復刻した。

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 ハミルトンのカーキ フィールド メカは、そのさまざまな文字盤とケースの組み合わせのすべてのモデルが、愛好家コミュニティの間で大好評を得ている。そして、そのインスピレーションの源となった MIL-W-3818B(およびMIL-W-46374)が1962年以来、兵士たちによって支持されているのは当然といえるだろう。そしてハミルトンは今回、カーキ フィールド成功の方程式を過去に人気を博したもう一つの名高いミリタリーモデルであるW10へと応用したのだ。その名は、カーキ アビエーション パイロット パイオニア メカ。

 パイロット パイオニアを生み出した軍用規格は、1970年代に使用されていたものだった。そのためこの時計にトノー型のケースはふさわしいといえるだろう。そしてそれは、イギリス空軍のパイロット用に製造された時計でもあった。ハミルトンは米国支給の時計で有名だが、それらとこのモデルではこの理由によって、文字盤周囲のレイルロードトラックなどの細部に違いがある。本機に採用されたデザインは、女王陛下のためのものだった。その美学は、「ダーティダース」を構成する時計で最もよく見ることができる。

 33mm x 36mmというサイズもオリジナルに忠実なものだ。実際に真正面から見ると、新しくミネラルクリスタルが風防に採用され(以前はアクリル製)、ブロードアローのマークがないことを除いて、ほぼあらゆる面でこれが正確なレプリカであるといえる。この復刻モデルには、1970年代に使われたイタリック体のフォントまでもが採用されている。時代に忠実なフォントというのは、魅力を添えてくれるものである。
 ほとんどのMIL-W-3818Bには、独創性のない文字盤が使われていた。そのいくつかにはイタリック体のものもあったが、カーキ フィールドでは採用されなかった。そのためこの書体が使われているのは、嬉しいことなのだ。これはイントラマティック 68 オートクロノのような他の復刻モデルにも見られる。だが時計を裏返すと、ケースの構造はオリジナルとわずかに違っていることが分かる。このパイロット パイオニアには四角形のケースバックが用いられ、これが4つのネジで留められている。残念ながら、本物の軍用マークを見つけることもできない。1970年代のW10モデルには、ストック番号とID番号が刻印されていた。

 ハミルトンはこのモデルで、H-50ムーブメントを採用した。カーキ フィールドに使われているものと同じく、これは現代の平均的な性能を大きく上回る80時間のパワーリザーブを発揮する。カーキ フィールドが大成功している要因の一つは、その十分なパワーリザーブと頑丈なムーブメントだろう。H-50は、ETA 2801-2をベースとしている。

 国防軍の隊同士には、長年にわたる競争の歴史がある。どの隊も、最も秀でているのは自分たちであると信じていたのだ。空軍兵は、陸軍、水兵、そして海兵隊の厳しく質素な生活環境をネタにしている。陸軍、水兵、そして海兵隊は、(比較すれば)快適な暮らしをしていると言って空軍兵を非難し、手首に装着するものに関していえば、手荒く扱うのにより適した時計を使っていたのは伝統的に陸軍であった。
 第二次世界大戦時にパイロットたちが使った時計は、時間が分かるだけシンプルなのものだった。だが技術が進歩して航空学の需要が変わるに従い、「パイロットウォッチ」とはしばしば、クロノグラフの要素を含むものを意味するようになる。それは酷使によるダメージを受けやすい時計である。W10は初期のもので、パイロット時計が陸用時計と同じような一般仕様で作られていた頃の時計だ。それは陸軍兵の時計と同程度に丈夫な、空軍向けの時計なのだ。そして、パイロット パイオニア メカは、空軍に由来している。しかしカーキ フィールド メカと同様に実に使いやすい時計だ。W10と他の軍用支給時計との間にはわずかな違いしかないのだ。 

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 カーキ メカとパイロット パイオニアの違いは明らかだ。それぞれの時計の装着感の主な違いは、ラグに行き着く。カーキのラグはどちらかといえば長く突き出ており、特に細身の手首には合わないのだ。一方でパイロット パイオニアにはトノー型ケースが採用されており、ラグはこのケースに滑らかに一体化されている。そのため時計の位置が手首により近くなり、ラグが長めのカーキ フィールドよりも快適に着けることができるかもしれない。

 W10が製造されたのは、1973年から1976年にかけてのことだ。しかしハミルトンは、1970年にFAPD 5101を発表した。パイロット用に意図してデザインされた、大型のMIL-W-46374モデルだ。この2つは大西洋の両側で、同じ任務についていた兵たちによって同時期に使用された。そのため(FAPD 5101はプロペラ機パイロット用に設計されたと伝えられているようだが)、どちらの時計がコックピットで好まれたかを分析するには公正な機会だったと思う。

 いずれの時計も、視認性が極めて高い黒文字盤に白い数字、艶を抑えたケースという、軍用の統一フォーマットで製造された。私の予想では、トノー型ケースのW10がわずかに着け心地の面で上回ったのではないかと推測する。となると、私ならパイロット パイオニアを選択する。現実的には、これらの時計を着けていた兵士たちには、どの時計を選ぶかよりも深刻な悩みがあったことだろう。だがそれでも、時計はコックピットで欠かすことのできない道具だったのだ。

 視認性は最重要事項であり、パイロット パイオニアはこの点しっかりと結果を出している。文字盤上には、最近多いヴィンテージ風モデルと同様に経年変化したような加工を施した夜光が配されている。しかし、インデックスははっきりとした白で印字されている。夜光塗料は、白い印字の上に塗られているため、その周辺にはわずかに、オリジナルに見られるのとよく似た輪郭が残っている。そしてこの時計には、多くのヴィンテージ風の時計にはない特徴的な質感も備わっている。その質感とは、20世紀中頃にパイロットウォッチで使用された軟鉄製耐磁性文字盤と非常によく似ている。文字盤上には柔らかな光沢と、間近でじっくり観察しなければ分からない程の荒い粒子のテクスチャがある。

 パイロット パイオニアの価格はグレーのNATOで9万6000円、レザーのNATOで10万2000円だ。これはカーキ フィールドと比べてなかなか高いものの、公正なプライシングだろう。 
 とはいってもパイロット パイオニアとカーキ フィールドの両方にインスピレーションを与えた時計のどこにその価格差があったのかも気になるところだ。パイロットモデルは、陸軍モデルよりわずかに高い請求書が送られたのだろうというのが私の想像だ。なぜならハミルトンは、オリジナルのW10の忠実な復刻を目指したはずだからだ。

ハミルトン カーキ アビエーション パイロット パイオニア メカ:ケース径33mm x 36mm x 9.95mm、ステンレススティール製、10気圧/100m防水。ムーブメント、キャリバーH-50、手巻き式80時間パワーリザーブ。ストラップのオプションにより 9万6000円 または 10万2000円 。詳細は、hamiltonwatch.comへ。