Introducing ジャケ・ドロー　グラン・セコンド オフセンター クロノグラフ オニキス文字盤

　発表モデルと同様に、ムーブメントはCal.26M5R。フレデリック・ピゲ社製のブランパン・キャリバー1185をベースにしており、垂直クラッチで制御されるコラムホイールを搭載している。26M5Rはオリジナルのキャリバーからいくつかの改良が施されており、シリコン製のレバーとヒゲゼンマイを採用、フリースプラングで調整可能な慣性ウェイト付きテンプを搭載する。本ムーブメントのこの特定のバージョンでは、地板とブリッジの視界を遮るものがないようにするため、極めてオープンワークなローターが採用されている（これはいつだって良いことだ）。

　オニキスは玉髄（ぎょくずい）の一種であり、応用芸術や装飾芸術に使用されてきた非常に長い歴史をもつ。古代エジプト人が初めて使用していたとされ、第二王朝の初め（紀元前3000年頃）から使用されていたことが記録や考古学で確認されている。この石は、エナメルを焼成したような独特の高い光沢と視覚的な深みをもっている。貴重な鉱物やグラン・フー エナメルなどの素材を用いて、大型で装飾的な文字盤を製作してきた同社の長い歴史が合わさり、グラン・セコンド クロノグラフを非常にドラマチックな時計に昇華させている。
　ケースはSS製だが、時針と分針のサブダイヤルの周りにはホワイトゴールドのチャプターリングが配されている。このクロノグラフは、非常に大きなセンターセコンド針と小さな30分カウンターを備える。日付は実際には31日から1日にジャンプするのだが、文字盤のクリーンでミニマルなデザインに合わせて、やりすぎという感じは全くしない（実際、一見しただけでは見逃してしまうものだ）。文字盤上の唯一の色は、日付表示リングの31の赤い数字と、日付針の先端の赤い部分だけ。色の配置はまばらであるが、文字盤の構成を成功させるためには欠かせないものだと私は思う。

　グラン・セコンド コレクションは全般的に、スウォッチグループのラグジュアリーブランドの中で最も好きな時計の1つだ。私がいつも思うことの1つに、ジャケ・ドローが非常に上手だと思うのは、文字盤の大きなサイズをうまく利用して、余白を活用した構図や視覚効果を生み出していることだ。ジャケ・ドローは、パイヨンのような希少で難しい技術を用いたエナメル文字盤で知られている。しかし、同社のデザインの歴史のもう1つの側面は、よりシンプルなデザインの中に多くの斬新な複雑機構の実装を特徴とする点にある（Douze Villesは、これまでに作られた中で最も貴族的なデュアルタイムウォッチの1つであり、世界の37のタイムゾーンのうち25のタイムゾーンを省いていることでも知られている）。

　このグラン・セコンド オフセンター クロノグラフ オニキス文字盤も同様に、良い意味で貴族的な雰囲気を醸し出している。広々とした文字盤、モノプッシャー、余白に配置された数字とチャプターリングには何かとても爽やかなものがあり、また、12時間積算計がなく30分積算計のみのクロノグラフであるという事実もとても気に入っているポイントだ。スティールケースはともかく、この時計は控えめではあるが、確実に豊かさを感じさせてくれる時計だ。時間を伝えること、時間を記録することをよりリラックスした方法で行い、その控えめな贅沢さの中にも、時間がまた贅沢なものであることを思い出させてくれるのだ。

ブランド: ジャケ・ドロー（Jaquet Droz）
モデル名: グラン・セコンド オフセンター クロノグラフ（Grande Seconde Chronograph）

直径: 43mm
厚さ: 14.83mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: オニキス
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: 手縫いのブラックアリゲーターストラップ

キャリバー: ジャケ・ドロー Cal.26M5R、モノプッシャークロノグラフ
機能: 時、分、レトログラード式日付表示、クロノグラフ30分計
パワーリザーブ: 40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 34石
追加情報: シリコン製ヒゲゼンマイとアンクルの先端、シングルバレル、コラムホイール、18Kレッドゴールドローター

価格: 229万円（税抜）
発売時期: 発売中
限定: なし、通常生産モデル

詳細は、ジャケ・ドロー公式サイトへ。