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How To Wear It 史上最もスタイリッシュなプロゴルファー9人と彼らが選んだ腕時計

週末のマスターズに向け、服飾コラムニストと一緒に軽くスイングはいかが?

私が愛するゴルフ。その伝統はエチケットとスポーツマンシップの上に築かれ、何十年にもわたり、ゴルファー達(プロ、アマチュアを問わず)が実際にドレスアップしてラウンドしたという事実そのものを愛している。実は私自身はあまりゴルフをすることはないが(ハンディキャップは軍用時間表示と標準時間表示との差だ)、私自身がアーノルド パーマー社で一時期働いていたこともあって、オフィスには90年代半ばのアーノルド・パーマー氏の美しい写真集が飾ってある。彼はゴルファーであろうとなかろうと、歴史上最もスタイリッシュな男性の一人だと私は思っている。

 1年ほど前から、友人であり、顧客でもあるキース・ミッチェルのPGAツアーの服飾コーディネイトを担当するようになった。彼がワードローブの相談に来たとき、60年代後半から70年代前半のアーノルド・パーマーが、自分のスタイル的極北だと私に言ったものだから、それこそ断る理由がなかった。

 ちなみにパーマーは、1967年にロレックスと契約し、ゴルファーに腕時計の寄贈することを流行らせた人物でもある。現代では、有名プロゴルファー(ジョーダン、ローリー、タイガー)と言えば、時計とのパートナーシップの代名詞となっている。

 マスターズを目前に控え(記事執筆時)、私たちはスタイリッシュなゴルファーと彼らが身につけていた時計のリストを作成し、彼らがとても素敵に見えた理由を明らかにし、皆さんにも同じように楽しんでいただきたいと考えている。

ボビー・ジョーンズの懐中時計

ボビー・ジョーンズの懐中時計のレプリカ。写真はイーストレイクゴルフクラブより。

 1920年代を代表するスポーツマンであるボビー・ジョーンズは、1930年に4大メジャー(別名グランドスラム)を制覇したのち、引退し、マスターズトーナメントとオーガスタナショナルゴルフクラブを共同創設した。1920年代の多くの男性と同様、彼もコースではシャツにネクタイ、プラスフォーズという出で立ちであった。ジョーンズが懐中時計を持っていたのは有名な話だ。彼は、母親から贈られたシャムロックの花をあしらったチャームの付いたチェーンをつけていた(彼が聖パトリックの祝日に生まれたためだ)。母親の愛情には感謝しなければならない…。同時に、チェーンと時計を身につけたままクラブをスイングすることを可能だった。アトランタにある彼のホームクラブ(イーストレイクゴルフクラブ)には、彼の時計のレプリカが展示されている。オリジナルはオークランド墓地にあるジョーンズ本人と一緒に眠っていると考えられている。

ベン・ホーガン所有のタイメックス “ベン・ホーガン シグネチャーモデル”
Ben Hogan's Timex

 ミステリアスなホーガンは、1940年代から50年代にかけて伝説的な存在だった。史上最高のゴルファーであることに加え、映画スターのような甘いルックスと静かな佇まいというスタイリッシュな存在感を放っていた。青、白、グレーの3色を基調とし、靴は英国製のビスポークだ。彼は明らかに細部にこだわる男だったし(そこがまさに私が大好きなところだ)一流品を好む傾向があったことは間違いないが、だからこそ時計はタイメックスを愛用していたところに特に好感が持てるのだ。実際、彼は1950年代に自分専用のタイメックス“スポーツマン”を持っていて、愛用するアスリートを紹介する広告キャンペーンに登場していた。(タイメックス “ベン・ホーガン”モデルは「10万回のスイングから生まれた」そうだが、凄いと思わないだろうか?!)。この時計は基本的にタイメックス マーリンをリブランドしたもので、彼のサインが刻印された。彼は大恐慌の時代に育ち、フォートワースでキャディとして働いていたため、タイメックスのスローガン“It takes a licking and keeps on ticking(衝撃を与えても時を刻み続ける)”時計を選んだとしても不思議はないだろう。それほどまでにこの時計の出来栄えは、ホーガンのこだわりと一致していた。

画像:GolfAuction.com

アーニー、ジャックとゲイリーのロレックス デイデイト
Three golf players

 ゴルフ界のビッグ・スリーであるアーノルド・パーマー、ゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニクラウスは、いずれもロレックスとパートナーシップを締結していた。しかし、パーマーこそが1967年にゴルファーとして初めてロレックスとパートナーシップを結び、スポーツマーケティングを次の次元へと昇華させた功績を持つ。パーマーは常にスタイリッシュだった:アーニーズ・アーミーのあだ名で知られる筋骨隆々としたプロゴルファーの草分け的存在であり、テレビでゴルフを普及させ、トーナメントの移動に自家用機を飛ばしていた。一方、南アフリカのゲーリー・プレーヤーは、ブラックナイトの異名からもわかるように、モノトーンを装いに最初に取り入れた一人で、マスターズで優勝した最初の外国人選手として、間違いなくゴルフ界最大のグローバルなアンバサダーだろう。そして、おそらく最も偉大なプレーヤーであるゴールデンベアことジャック・ニクラウスにも、スタイリッシュな(そして勝利の)瞬間があった。78年全英オープンでのアーガイルのセーター、86年マスターズでのチェック柄のパンツとイエローポロなどである。この3人は偶然にも同じ腕時計を愛用していた。ゴールド無垢のロレックス デイデイトは、このリストからもおわかりのとおり、プロツアーにおける時計のベンチマークとなっている。

Niklaus Day-Date

Talking Watches出演時、ジャック・ニクラウスが腕にしていたデイデイト

ペイン・スチュワートのエベル911
Payne Stewart

 膝をカットしたニッカボッカーズとベン・ホーガン風フラットキャップを着用するには、ある種の勇気が必要だ。しかし、スチュワートはそのルックを見事に着こなした。エベル 911を愛用し、ストラップは定期的に交換していたようだが、パステルカラー、NFLへのオマージュ、トールソックス、つま先がゴールドのゴルフシューズなど、他の装いに比べて控えめなのが印象的だった。1999年に飛行機事故で亡くなるまで、彼はみっつのメジャー大会と複数のライダーカップで優勝した。彼の死は今もなお、惜しまれている。

セベ・バレステロスのロレックス デイデイト
An advertisement for Rolex

 キース・ミッチェルにインスピレーション与えた人物を探していた私たちは、1980年代にメジャー5大会を制した豪胆なスペイン人、セベ・バレステロスに目を向けた。彼は、いつも素晴らしい表情をしていた。彼はホーガン流のベーシックなカラーパレットを基調としながらも、あちこちにポップな色を取り入れることに躊躇しなかった。そして、帽子を着用しないことが多く、着用してもハイクラウンのバイザーだったのが気に入った。彼は、ビッグ3ほどロレックスと深いつながりはないが、80年代初頭には、イエローゴールドのデイデイトを身につけ、ブラザーの輪に加わっていた。彼は、コース上でもオフでも、彼らの足跡をたどっていたのだ。

キース・ミッチェルのカルティエ タンク
A Cartier Tank

 ペイン・スチュワートと同様、他のスポーツ選手とまったく違うことをするには、それなりの自信が必要だ。頭からつま先まで合成繊維でできたパフォーマンスウェアを着ていたゴルファーが、ウールのドレスパンツ、カシミアのセーター、畝織(うねおり)のポロシャツを着るようになることは、ほとんどないだろう。しかし、それを見事やってしまったのが我らがキース・ミッチェルだ。ちなみに、彼が私たちのところに来たのは、装いのコラボレーションを考えてのことであり、その逆ではない(我々はスーツスタイルで知られている;スポーツ選手とのパートナーシップを求めていたわけではなかった)。クラシックなスタイルを好む彼がカルティエ タンクを身につけるのは、まさに自然な成り行きだった。さらに、彼と新妻は、結婚式のプレゼントにお互いのイニシャルと結婚式の日付を刻んだタンクを贈ったそうだ。彼にそのことを尋ねると、“100年以上も前から流行していて、しかも今のモダンなスポーツウォッチとはまったく違うから好きなんだ。”と語っていた。反駁する余地はない。


アダム・スコットのピンクゴールド無垢のロレックス デイデイト
Adam Scott holding a trophy

 オーストラリア人のアダム・スコットは、HODINKEE読者(HODINKEE Radioにも出演いただいたのでリスナーにも)にはおなじみだが、キース・ミッチェルにツアー参加者で最もスタイリッシュなウォッチガイは誰かと聞いたところ、アダムが筆頭に挙がった。なるほど、納得だ。かつてはバーバリーの顔、10年近くユニクロを着る唯一のゴルファーであり、全キャリアに渡りロレックスのアンバサダーを務めてきた。彼が集めたロレックスのリストは膨大だが、20歳でアンバサダーになったとき、初めて手にしたのはデイデイトだった(他に何がある?)しかも、彼の時計は、ピンクゴールドにブラックダイヤルという組み合わせ。おおっ。選んだ彼も好きだが…。その選択ができるのも、彼だけではないだろうか。

Scott Day-Date

アダム・スコットが着用している時計と同型のデイデイト。

本記事の執筆者であるシド・マッシュバーン氏は服飾デザイナーであり、アトランタ、ワシントンD.C.、ダラス、ヒューストン、ロサンゼルス、そしてオンラインにある5つの紳士服店のオーナーだ。彼のコラムの全アーカイブを読むには、こちらをクリック。

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