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バーゼルワールドの最高なところの一つは、プレスリリースが出てから実際の時計を見られるまでの時間が短いこと(場合によってはほんの一瞬) 。プレス用画像は実際の時計に劣る場合が多く、5212A カラトラバ ウィークリーカレンダーもその良い例だった。スティール時計が今とても人気なのは周知の事実だけれど、5711であれ、ノンデイトのサブマリーナーであれ、ペプシGMTであれ、皆さん方はスティール時計が本当に大好き! そこで今日は、スティールの5212をじっくり見てみたい。見たこともない文字盤を備えた全く新しいケースに、これまた全く新しいコンプリケーションを備えた一本である。
5212A カラトラバ ウィークリーカレンダー。
5212Aの仕様についてはジャック (JACK FOSTER) がかなり詳しく説明しているけれど、繰り返して言うと、この時計はウィークリーカレンダーウォッチだ。基本的に本機は、シンプルなカレンダームーブメントで、月と日、そして週を国際基準であるISA8610に則って示す。この基準を用いると、一年の正式な最初の週は1月4日の週の月曜から始まることになる。日付は3時の位置にある日付窓に表示され、曜日は赤い横棒の付いた短い針で指し、週と月は文字盤の外周に書かれていて、同様の計上の長い方の針で示す。昔からよくあるトリプルカレンダーを思い出させるが、少し焦点が異なっている。
日付、時間、曜日、月、週を告げる新しいコンプリケーション。
ステンレススティール製カラトラバのケースは直径40mm。
この複雑な機構の心臓部は、キャリバー324だ。
ムーブメントは (マーケティング上は新しいと謳われているが) 全面的に新しい訳ではなく、クラシックなキャリバー324が元になっている。でも、センター秒針を動かす4番車の改良や、時刻合わせを容易にするリューズを引いた際の「ストップセコンド」機能などに、いくつかの大きな技術的進歩が見られるのだ。これは小さな修正点に見えるかもしれないが、やっかいな秒針のズレを解決して、より正確を期することができる。これはパテックが今も、とても厳密なレベルで、真剣に時計作りをしていることの現れでもある。それは、既にわたしたちも知っていることだけれども。
タイポグラフィは手書きで、伝統ある会社にしてはずいぶん前衛的だ。
ケースは直径40mmで厚さ10.79mm。だが圧倒的に話題を集めているのは本機がスティール製だということ。パテックがスティールのカラトラバを作ったのは、2017年に限定版のカラトラバ パイロット 5522A以来で、その前は1970年代の96や570だ(1960年代後期に製造中止された565も存在したが、それはまた全く別の話) 。昔のヴィンテージ スティール時計時代に戻ったような2段デザインのラグのせいもあって、本機のケースは特に変わっているといえる。
でもわたしにとって、この時計の一番面白いところは、変わったタイポグラフィを使っている点で、手書きに見えるのだ。実際、手で書かれているからなのだが。このように伝統ある会社が、こんな滑稽な文字を使うのはとても珍しいことである。元々はもっとフォーマルなフォントを使った文字盤になる予定だったけれど、ティエリー・スターン (Thierry Stern) が無雑作に見えるこの感じを気に入ったので、それを採用することになったとのこと。なんでも彼は、これを見てかつての学校のカレンダーを思い出したと語ったそうだ。この文字のおかげで、更にはっきりとヴィンテージに想いを馳せる時計になっていて、若々しくて楽しい時計になっていると思う。そして、手に入れるのがほとんど不可能に近いノーチラスやアクアノートを欲しがっている熱心な若いパテックファンが多い中、あまり格式張らないパテック フィリップの時計がどうしても欲しい場合には、5212Aは良い選択肢なのだ。
5212Aの小売価格は365万円(税抜)。
この時計は腕に着けた時とても収まりがいい。40mmのケースは大きすぎず、全体的にとても着けやすい。ベルトがカーフ製なのは、ちょっとしたディテールではあるけれど、通常パテックの時計に付いてくるクロコダイルのベルトとは大きく違う。でも結局、全く必需品ではないということが、この時計の一番の魅力だと感じる。365円は、シンプルなカレンダーウォッチとしては安くない値段だが、総合的に考えて、ランゲの1815 アニュアルカレンダーはだいたい454万円(税抜)で、ノーチラスは325万円(税抜)するので、5212Aはパテック フィリップにしてはお買い得と言ってもいいのかもしれない。
パテック フィリップ 5212A カラトラバ ウィークリーカレンダー についてさらに知りたいなら、パテック フィリップ公式サイトへ。