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Introducing ユリス・ナルダン ブラスト

ユリス・ナルダンが、新しいケース、ムーブメント、フォールディングクラスプを与えた新作「ブラスト」をデビューさせた。

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クイック解説

 椅子に座ってユリス・ナルダンの新しい時計をながめるたびに今も、9年前に亡くなった故ロルフ・シュナイダーのことが頭に浮かぶ。彼は時計業界では伝説の人物であり、クォーツ危機後の数年間に機械式時計を復活させたキーパーソンの一人だ。シュナイダーは過去に行われたことにとらわれず、何世紀にもわたる保守的なデザインで知られる腕時計やマリンクロノメーターをもつブランドに、技術と前衛的なデザインをもって命を吹き込んだ人物である。そして、この独立系ブランドであるユリス・ナルダンは、スイス時計メーカーとして初めてシリコンを採用。他の多くの時計メーカーがすぐに後に続くが、その道を示したのはユリス・ナルダンだった。伝統的な時計づくりに重きを置く純血主義者たちは、その新しい素材は「本物の」時計製造にはふさわしくないと嘆きはしたが。私自身は、より保守的なスタイルの小さめの時計を好む傾向にあるが、シュナイダーが築いた印象的な土台があることにより、ユリス・ナルダンの時計に敬意をもっている。 

 私がこう思うのは、今日、ジュネーブ・ウォッチデイズのイベントに先立ち、ユリス・ナルダンの新しい時計が発表され、その大きなサイズ、珍しい素材の使用、そして異例の構造を見て、きっとシュナイダーが好んだに違いないと感じたからだ。このブラストという時計は、3日間のパワーリザーブを備えた45mm、スケルトン仕様の自動巻きトゥールビヨンで、4種類のバリエーションがある。4バージョンそれぞれ、ムーブメントが長方形のアッパーブリッジとバイカラーのダブル「X」で縁取られており、時計を裏返すとそこにもXと長方形が確認できる。ユリス・ナルダンは期待通り、ガンギ車、アンカー、ヒゲゼンマイには、耐摩擦性と耐磁性の両方の利点をもつシリコンを使っている。

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 ムーブメントは、手巻きの「UN-171」から派生した新しい自動巻きトゥールビヨン「UN-172」を自社開発。そして、新しい172は171よりもパワーリザーブが少ないが、自動巻きというメリットがある。このようなトゥールビヨンは日常的な時計ではないという意見もあるかもしれないが、それはなによりも誰が身に着けるかによる。3日間のリザーブが確保されているということは、2日ごとにリセットすることなく、好きなときに交換することができるということだ。日付がないため、ブラストの設定は至極簡単。それでも、より便利なパワーリザーブについては、2020年以降に登場する新しい機械式ムーブメントに期待することにしよう。

 自動巻きへの変更(12時位置に配置されたマイクロローターを介して行われる)とそれに伴うパワーリザーブの減少以外にも、いくつかのアップデートがある。例えば、トゥールビヨンケージは再設計され、内部のエスケープメントがよりオープンに見えるようになった。

 また、これらの時計は、ユリス・ナルダン独自の認証も取得。これは、ムーブメントの精度がC.O.S.C.の要求精度よりも厳格な基準にて、完成された時計でテストされている。

 4つのバージョンは、それぞれ対照的な仕上げのファセットラグを備えた4つのパーツからなるケースを採用しており、この部分のデザインは見ごたえ十分だ。ラグは、レーダーを回避するステルス機の極端な鋭角形を連想させる。また、マルチピース構成のため、ケースは異素材を取り入れることができた。多層構造のため「重なった」状態に見えるが、これはブ厚く見える時計とはならない。ブラストの厚さは13mmで、45mmのケース径とは非常に相性が良い。

 例えば、下の写真のローズゴールドモデルでは、ブラックのDLCコーティングが施されたチタン製のミドルケースがラグと共に、その上下のゴールドとマッチしている。上にはブラックセラミック製のベゼルがあり、ゴールドケースを保護するために傷がつきにくくなっている。ユリス・ナルダンによるとゴールドの表面の一部に見られるマットな縞模様は、レーザーで施されたもの。ブラックのチタンの表面加工はDLCが施されており、色がある場合にはPVDが施される。

 新しいケースデザインに加えて、ブラストには新しいフォールディングクラスプも付いている。ゴールドのバックルでその部分を閉じると、反対側も同時に動き出すため、両部分を掴んだり、下側を先に閉じたりする必要がない。留め具は簡単にワンタッチで閉じることができる。

ファースト・インプレッション

 時計の直径が42mm以上だといつでも、私はその着用性を疑問に思う傾向がある。ブラストは、45mmにしてユリス・ナルダンが近年やりたかったことを具現化した。控えめなサイズのドレスウォッチは、このブランドの今よりも過去を連想させるものだ。45mmは全ての人のためのものではないかもしれないが、このサイズの時計には熱狂的なファンがいる。

 これらの新しい時計を、私はより詳しく見てみたいと思う。角ばったラグは、ブラストに強い個性を与えているように見えるし、この時計をもっとシンプルで少し小さくしたものも、どんな風に見えるのだろうかと思ってしまう。いずれにしても、ラグやそれにともなうケースの厚さが欠点だとしても、この45mmの時計が7インチの私の手首に快適に装着できる可能性は十分にあると思う。


基本情報

ブランド : ユリス・ナルダン (Ulysse Nardin)
モデル名: ブラスト
型番:T-1723-400/03(ブルーブラスト)、T-1723-400/BLACK(ブラックブラスト)、 T-1723-400/00(ホワイトブラスト)、T-1725-400/02(ローズゴールドブラスト)

直径: 45mm
厚さ: 13mm
ケース素材: 次の素材の組み合わせからなる4部構成のケース 5Nゴールド、セラミック、PVDチタン(カラー用)、DLCチタン(ブラック用)
文字盤色: スケルトンの文字盤に様々なカラーのアクセント
夜光: あり。時・分針とインデックスにスーパールミノバ
防水性能: 50m


ムーブメント情報

キャリバー: UN-172
機能: 時・分表示、トゥールビヨン
パワーリザーブ: 72時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 1万8000振動/時
石数: 25
クロノメーター認定: ユリス・ナルダンの認証 
追加情報: ユリス・ナルダン初のスケルトン自動巻トゥールビヨン


価格・発売時期

価格: ブルーブラスト 510万円、ブラックブラスト 533万円、ホワイトブラスト 533万円、ローズゴールドブラスト 626万円(全て税抜価格)
販売時期: 発売中
限定版: 限定版ではないが、年間100本以下の生産に限られる見込み

詳細は、ユリス・ナルダン公式サイトをクリック