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90年代ウィークへようこそ。この特集では直近10年間で最も魅力的な(そして最も過小評価されている)時計と、20世紀末を特徴付けたトレンドとイノベーションを再考していく。ダイヤルアップ接続を行い、クリスタルペプシ(無色透明のコーラ)を用意だ。
スピードマスター リデュースドは、これまでにない少しオフセンターのレイアウトと好みの分かれる自動巻きムーブメントで酷評されている。長いあいだ(私も含めて)コレクターに無視されてきたため、比較的安価に手に入れることができた。私は、どうせスピードマスターを買うなら、プロフェッショナルモデルがいいと思っていた。
しかし、同スピードマスターシリーズのなかで、いつも私の目を引くものがあった。それは、F1界の伝説的存在であるミハエル・シューマッハに関連したモデルだ。シューマッハが参加したスピードマスター リデュースドは何十種類も作られ、そのどれもが少なくともひとつは派手か面白い、時にはその両方を兼ね備えたデザインディテールを誇っている。
ケースは通常のプロフェッショナルモデルの42mmから39mmに小型化されているが、オメガはこのシューマッハ・スピーディーたちのために個性を11倍くらい発揮している。これほどまでに偉大で伝説的な人物には、優れた時計がふさわしいのだ。
以下は、史上最も偉大なF1ドライバーのひとりにちなんだ、90年代のスピードマスター リデュースドの4リファレンスである。シューマッハとのつながりがなくても、これらの時計は視覚的に魅力的であり、忘れ去られたスピードマスターの輝かしい時代を表現している。そして、このモデルの最大の魅力といえば、価格が高すぎないこと。3000ドルから4500ドル(40万円〜60万円)の範囲内でこれらの時計を見つけることができるのだ。
グリッド
オメガ スピードマスターレーシング 3518.50.00
このシューマッハ・スピーディのルーツは、50年代後半のCal.321搭載のスピードマスターの時代まで遡ることができる。それは、文字盤のセカンドトラックに初めて赤を注入したRef.145.012-67モデルだ。その後、Cal.861の時代に移り変わった60年代以降には、セカンドトラックにマルーンとオレンジを配した145.022-69やスピードマスターMk II“レーシング”、そして2004年には70年代のMK IIのダイヤルを再現した日本限定のスピードマスター レーシングエディションを発表している。これらのエディションはいずれも高額で取引されているが、このRef.3518.50.00は手頃な価格でレーシングダイヤルの世界に参入することができるのだ。
オメガ スピードマスターレーシング 3510.61.00
シューマッハは1996年から2006年までフェラーリに在籍し、7度のワールドタイトルのうち5つを獲得した。当時、F1を見ていた人なら、シューマッハがいかに無敵であったかをご存じのことだろう。一時は世界最高額のアスリートとして活躍。このモデルは、フェラーリの代表的なロードカーやレーシングカーに使用されてきた“レースレッド”と呼ばれるロッソコルサカラーの文字盤を採用し、シューマッハがフェラーリで過ごした時代を讃えるモデルである。イエローのアクセントは、フェラーリの美意識の一部であり、このモデルを90年代のフェラーリの支配という大きなストーリーに結び付けている。
オメガ スピードマスターレーシング 3510.81.00
多くのF1ドライバーと同様、シューマッハもカートからスタートしたが、6時位置のサブダイヤルにある“CART”ロゴは、それを指しているのではない。1979年から2003年まで開催されたレースシリーズ、“Championship Auto Racing Teams”のロゴなのだ。文字盤は、鮮やかなブルーの色調で、このモデルの主役である。このリファレンスには6時位置のCARTロゴもないモデルも存在するが、このロゴこそが時計に個性を与えていると思う。
オメガ スピードマスターレーシング 3517.30.00
チェッカー柄のダイヤル? おいおい、これ以上キッチュなものはないだろう。そして、それは私がこの時計を好きな理由でもある。その時代を象徴するものだからだ。これはオメガの優れた限定モデルというのを体現している。ダイヤルには、3518.50.00のようなレーシングのアクセントとチェッカーフラッグが描かれ、まさにレースの伝統が息づいている。しかも、彩度が低いのもいい。このリファレンスは、視覚的にとても個性的で、愛さずにはいられないのである。
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