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本稿は2021年3月に執筆された本国版の翻訳です。
ハンター・ヘイズ氏は10年間のキャリアで5回もグラミー賞にノミネートされている。これは業界的にかなり高い評価を受けているといえるだろう。彼は『One Good Reason』や『Wanted』などのヒットシングルでカントリーアルバムチャートで1位、ビルボード200では7位を獲得している。先日には新曲『If You Change Your Mind』もリリースした(記事掲載時)。節目として特筆すべき機会が多いアーティストといえるだろう。そして、彼にとってその喜びを表現する手段のひとつが時計なのだ。
現在29歳(記事掲載時)のヘイズ氏は10年前、カントリー歌手を目指してルイジアナからナッシュビルに初めて移り住んだ。当時の彼はフォッシルの時計をいくつか所有しており、今でもそのころの製品に愛着を感じているというが、現在はキャリアのハイライトごとに増やしてきた成熟したコレクションを持っている。ヘイズ氏が時計を購入するのは節目や目標を達成した時だけで、彼のコレクションにはそれぞれの物語がある。ここに紹介する時計も例外ではない。
彼の4本
ベル&ロスのパイロットウォッチ
ヘイズ氏は2013年にデビューアルバムである『The Four』がグラミー賞3部門にノミネートされたあとで、初めて時計を購入した時のことをはっきり覚えている。時計に大金を費やすことに抵抗がなかったのは、これが初めてだった。そして結果的に、グラミー賞の獲得時にその時計を身につけることとなった。この時計を購入する際、彼はベル&ロスのふたつのモデルで迷っていたという。ひとつはもう片方より約400ドル高かった。
マネージャーと時計の購入について話していると、マネージャーは「5年後には400ドルの差額については忘れるが、時計は残る。妥協すればその事実ものちに残る。この先も常に妥協することになるからだ」と言った。
そのため値段が高くても本当に欲しいモデルを購入することにした。ヘイズ氏によると、このときの購入体験はすぐに報われ、その後に続く大きな物語の一部となったという。
「ジョン・メイヤー(John Mayer)が激励のためにグラミー賞の楽屋に駆け込んできたんだ。僕の時計に気付いてくれることを期待したけど気付かなかったから、自分から話題にしたんだよ。そしたら彼は『ああ、いや、確かに目の端で見ていたよ!』と言ったんだ」
メイヤー氏が続けて「その時計のことを聞こうと思っていたんだ。詳しく教えてくれ!」と言ったため、ふたりはグラミー賞の舞台裏でこの時計について約5分間ほど語り合った。
ロレックス チョコレートダイヤルのデイトナ Ref.116515
ヘイズ氏がロレックスに興味を持ち始めたのは、ロレックスの傘下ブランドであるチューダーが2014年に1日で10都市を巡る記録的なツアー用の時計をプレゼントしてくれたことがきっかけだった。その時計はツアー終了後にチャリティーオークションにかけられたが、この時を境に彼のロレックスへの関心が芽生えたのだという。「特別な機会につける時計を探していて、このローズゴールド(RG)製のデイトナにたどり着いたんだ。思い切って大きな夢を描いていたんだよ。そしてこの時計がどれだけ気に入ったかを友人に話したら、何の前触れもなく彼が突然プレゼントしてくれたのさ。彼とはいくつかのイベントで共演して知り合ったんだ」
ヘイズ氏は冗談混じりに「2年間警備員を雇っていたけど、それは僕のためじゃなくてデイトナのためだったんだよ!」と話してくれた。
ウブロ ビッグ・バン ジーンズ
履き古したジーンズほどカントリーっぽいものがあるだろうか? ただの常套句ではなく、ヘイズ氏は「ありとあらゆるデニムに夢中」だと語る。
「2013年ごろはジーンズとデニムジャケットばかり着ていたよ」と彼は言う。「僕にとってはそれが制服みたいなものだったんだ」
そこで、そのスタイルに合う時計を買ったのだという。
ブライトリング ヴィンテージ コスモノート
「昔から航空関係に興味があって、ナビタイマーが好きだったんだ」とヘイズは言う。「でもこの時計が気に入った理由は、ナビタイマーではないからなんだ。コスモノート独自の24時間表示のダイヤルなんだよ」
ヘイズ氏はシドニーでロストバゲージを経験してユニクロでステージ衣装を調達することなった。その際、時計を買う予定はなかったもののひときわ目に留まったのだという。「この時計やベル&ロスのことを話題にしてくれる人がいると、航空分野が好きな仲間と話しているんだなってわかるんです」と彼は言う。そしてその会話がパイロット免許を取るまでの励みになっているのだという。
もうひとつ
マーティン 1958年製Size-5
「ギターは僕の仕事道具だよ」とヘイズ氏は言う。「仕事に欠かせないものだから、ストーリーがあるとさらに魅力的なんだ」。彼のお気に入りは日本で入手した1958年製のマーティン Size-5だ。「壊れて修理されたギターを見つけるのが好きなんだ。そういったギターのほうが価値があって、弾きやすいことが多いからね」
ヘイズ氏がこのマーティンを特に気に入っている理由には、見た目だけでなくもちろんその音色も含まれている。「年月とともに木材のコーティングが剥がれて、音色がより豊かでエキサイティングなものになるんだ。弾いていてもっと楽しくなる」。彼は曲作りの旅に出る時にはこのマーティンを持って行く。ユニークなチューニングが強みなのだという。「昔はこれらのギターは“練習用”として作られていたんだ」と彼は言う。「だからほかのギターにはない特別な演奏ができるんだ」
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