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Four + One このキーボーディストのコレクションはすべてそつがない

モーション・シティ・サウンドトラックのジェシィ・ジョンソンは、時計マニア精神を象徴するようなコレクションを持っている。

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本稿は2022年8月に執筆された本国版の翻訳です。

Hero image by Day19

ミネアポリスのロックバンド、モーション・シティ・サウンドトラックには、『My Favorite Accident』というヒットシングルがある。おそらく、この曲を聴いたことがあるか、YouTubeで200万回近く再生されているビデオを見たことがあるかもしれない。このビデオは、ギタリストのジョシュ・ケイン(Josh Cain)氏による歯切れのよいリフが見ものだ。それはそうと、この曲のライブパフォーマンスでは、フロントマンのジャスティン・ピエール(Justin Pierre)氏が“Inside the times we never had right / Inside two years alone with you”と歌った直後、次の大きなドロップまでに一瞬の間がある。そのタイミングで、キーボード奏者のジェシィ・ジョンソン(Jesse Johnson)氏は逆さまになり、その状態からモーグ・シンセサイザーの上でキックを放つ。さらに曲が盛り上がり、観客が熱狂するちょうどその瞬間に着地する。

 “モーグスタンド”はジョンソン氏のトレードマークだが、我々の興味がそそられたのは彼の時計だ。ベテランコレクターである彼は、時計のリファレンスナンバーから自分の私生活との数秘術的なつながりを見つけるという不思議な才能を持っている。

 彼の時計へのこだわりと音楽のキャリアは、どちらも小さなところから始まり、まったく予想もしなかった形で大きく成長した。

concert scene

Photo by Nicole DiBenedetto

 「ミネアポリスのピザ・ルーチェという店でジョシュと一緒に働いていた。そのとき、僕が演奏していたバンドがちょうど解散したばかりだったんだ」とジョンソン氏は語る。「ジョシュは、そのとき結成間もなかった彼のバンドに加わらないかと僕を誘ってきた」。だが小さな問題がひとつあった。そのバンドはキーボード奏者を必要としていたが、ジョンソン氏はキーボードを触ったことすらなかったのだ。しかしそれは大した問題ではなかった。メンバーはキーボードを持っていて、ジョンソン氏にやらせる気満々であったのだ。

 彼らはお金を出し合って、カンザス州ユードラにあるThe Get Up Kidsが所有するスタジオをレコーディングの場所として借りた。「自分のコンピュータで何時間もかけてCDを焼いたよ。400枚くらいかな。その年は300回ほどライブをしたね」とジョンソン氏。そして、ついに大きなチャンスが訪れた。

keyboard man

Photo by Doug Garfield

 「誰かがインターネットのレビューで、僕たちのサウンドを“フガジとザ・カーズがバーで喧嘩して、ウィーザーがそれを座って見ている”みたいだと言っていた。これはかなり的を射た表現だったよ」

 そのレビューがきっかけで、バッド・レリジョンのギタリストでエピタフ・レコードのオーナーでもあるブレット・ガーヴィッツ(Brett Gurewitz)氏が、彼らのことをチェックするようになった。「ブレットが見に来たライブでは、たぶん10人くらいしか観客がいなかった」とジョンソン氏は言う。「父がグッズを売っていたんだ。僕たちは青二才で、ライブをやるためにできることは何でもしていたね」

 気づいたときにはエピタフとの契約が決まり、ブリンク182のマーク・ホッパスがアルバムのプロデュースを手がけることになっていた。

 ジョンソン氏の時計コレクションも同じような軌跡をたどっている。2000年代初頭にショッピングモールで人気だった時計から始まり、徐々にマイクロブランド、さらにはセイコー、そして一流ブランドへと移り、最終的にはこれらすべてをミックスしたコレクションになった。

watch man

Photo by Day19

watch man

Photo by Day19

 私はジョンソン氏と長年の知り合いだが、聞いたことがないような時計について、いつも私に教えてくれる。彼はeBayで偶然見つけた掘り出し物の時計を購入し、それについて本を書くほどの知識を蓄えるようなコレクターだ。そしてヴィンテージウォッチに夢中なコレクター集団のクラシックウォッチクラブや、地元ニュージャージー北部のコレクティンググループに所属している。

 ここではそのコレクションの一部に加え、逆立ちなどを駆使した演奏を愛する、彼の大切なシンセサイザーを紹介しよう。

Photo by Megan Thompson


彼の4本
ロレックス サブマリーナーの金無垢モデル Ref.16808
solid gold rolex

 「ゴールドの時計はなかなか手に入らないものだと思っていたが、同時にとても好きな時計でもあった」とジョンソン氏は話す。あるとき、彼が所属するウォッチクラブの友人が引っ越しをすることになり、時計を何本か手放すことになった。その友人は、まさにこの時計を彼にすすめたが、そのためには何本かやり繰りする必要があった。そしてジョンソン氏は時計を5本手放し、この時計を手に入れた。

 これは今やジョンソン氏のものだ。この時計は1983年製で、すべての金無垢サブマリーナーのなかで最も魅力的な“ニップルダイヤル”仕様となっている。ジーンズとTシャツ姿でこの時計を身につける彼を目にすることだろう。

ウォルサムの懐中時計
pocket watch
pocket watch

 この懐中時計は、ジョンソン氏の曽祖父がかつて所有していたものだ。ダストカバーの内側には、次の銘が刻まれている。

Elmer L. Meinerd
October 6th 1909

 では、その日に何が起こったのだろうか? ジョンソン氏には見当もつかない。それがまた興味をそそる。この懐中時計は、彼が家族の歴史を調べるきっかけになった。彼の母親が、その母親の引き出しからこの懐中時計を見つけたのだが、家族のなかで唯一時計にこだわるジョンソン氏の手に自然に渡った。彼は今でも、家族の西海岸のルーツを掘り下げている。

ジン 244ti
sinn watch

 ジンはすでに筋金入りの時計愛好家に愛用されているブランドだが、このモデル、244tiは、おそらくジンのなかでも最もこだわりの深いモデルだろう。これは、ローター・シュミット(Lothar Schmidt)氏が1994年にヘルムート・ジン(Helmut Sinn)から会社を引き継いだ直後に登場したモデルである。チタン製であるだけでなく、耐磁時計のDIN規格を大幅に上回っている。言い換えれば、この時計は過剰設計であり、まさにコレクターがジンを愛するようになった理由を体現している。ジョンソン氏はこの時計に関してeBayアラートを設定していたのだが、眠れなかったある夜、午前3時にたまたまスマートフォンをチェックした。すると、たいへん魅力的な即決価格のアラートが表示されたのだ。迷う必要などなかった。

チューダー サブマリーナー“スノーフレーク”
tudor sub

 これはジョンソン氏が2019年のH Radioデビューで着用していた時計とは別物だ。そのためこれは2本目のサブマリーナーである。最初の時計を手放したあと、友人が1本手に入れた。そしてジョンソン氏はそれがいかに素晴らしい時計だったかを思い出した。「とにかく、“ああ、もう1度スノーフレークが欲しい”と思ったね。スノーフレークをどれだけ気に入っているかを忘れていたんだ」。今回手に入れたものは手放さないつもりだと言う。

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もうひとつ
モーグ・ミュージック リアリスティック MG-1 シンセサイザー
Moog keyboard

 これがすべての始まりとなったキーボードだ。モーグのリアリスティック MG-1 キーボードは、モーション・シティ・サウンドトラックの独特なサウンドを演出する主要コンポーネントだが、バンドの人気が高まるとおもしろいことが起きた。「もともとこのキーボードを使い始めたのは、ラジオシャック製で安かったからなんだ。ツアー中に何度も壊したよ」とジョンソン氏は話す。だが手に入れるのはそう簡単ではない。 「ツアー中に壊してしまったキーボードを交換するために、ファンより高い金額で入札してキーボードを手に入れたり、安く手に入れた古いキーボードを修理しなきゃならなかったんだ」