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Four + One ヴィンテージセイコーのディーラー、ニコラス・フェレルの常識にとらわれない生き方

クラシックウォッチ、ブルース・リー、そして超最高な1台のクルマ。

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本稿は2022年6月に執筆された本国版の翻訳です。

多くの人がそうであるように、ニコラス・フェレル(Nicholas Ferrell)氏も時計が好きだった。彼の祖父はふたりとも時計が好きで、アメリカの懐中時計やヴィンテージホイヤーを収集するようになった。祖父譲りの趣味で、高校生だった彼にも手が届くものがヴィンテージのセイコーだった。現在40代のフェレル氏は、国防総省の情報分析官として働き、のちに国務省の外交官として働いていた。そして10年前の6月、フェレル氏はセイコー、ホイヤー、オメガの魅力を発信する場として、DCヴィンテージ・ウォッチを設立。彼は自身のお気に入りリファレンスであるセイコー 6139を含む、わずか10本の時計でサイトを始めた。

nicholas ferrell

 このビジネスが副業として成功すると、フェレル氏のガールフレンド(現在は彼を支える奥さん)はそれをフルタイムの仕事にしようと提案し、彼はすぐに政府での仕事を辞め、外交の世界をヴィンテージウォッチの世界に変えた。今では本職の時計ディーラーとなったが、彼の活動の中心は無名の時計であり、古い写真やレコードを読みあさり、それらの素晴らしいバックストーリーについての知識を少しずつ増やしていった。

 2018年、テレビのエグゼクティブ・プロデューサーである彼の妻がハリウッドに本拠を構えることになったため、フェレル氏一家はLAに移り住み、DCヴィンテージ・ウォッチも移転した。西海岸に着くと、彼はこの地域の豊かな時計文化だけでなく、LAの素晴らしいクルマ文化との深いつながりを見出した。またフェレル氏の自慢とよろこびは、“もうひとつ(One)”で選んだ、毎日乗っているダッジ・チャレンジャーにある。

four watches

 今日、DCヴィンテージ・ウォッチはさまざまなヴィンテージウォッチのディーラーとしてだけでなく、専門的な研究の拠点として、また特定のマニアックなリファレンスの広範なハントリストを常に維持するソーシング組織としても機能している。もちろん、誕生年の時計は聞いたことがあるだろう。しかし、これはセイコーだ。誕生月の時計はどうだろう?

 ときに顧客は、粗くて古い写真や過去の記憶のなかで見た時計の痕跡をもとに、具体性と詳細を求めてフェレル氏のもとを訪れる。フェレル氏は、それを楽しんでいる。軍事史の学位、政治学の修士号(それに付随するすべての研究を含む)、画像分析の豊富な経験を持つ彼は、ヴィンテージウォッチという見つかる望みのないものを見つける同職種には適任だし、彼は現在本を執筆中である(ほのめかしておく)。

nicholas ferrell and an suv

 下記のピックアップでわかるように、フェレル氏の時計の趣味は多様に広がり、バックストーリーの細部に深く根ざしている。誰が、何を、どこで、ブルース・リーも(後述)、そのコンテキストがすべてだ。神秘的な儚さが彼のセレクションの結合組織であり、それは彼の“もうひとつ(One)”にも確実に及んでいる。


彼の4本
オメガ スピーディプロ 142.022

 スピーディー プロフェッショナルは、彼が長年愛用していた高級時計であり、ニコラス氏が国務省に在籍していた際、米国の外交政策における重要かつ微妙な時期(彼が関わっていたが詳しくは言えない)を記念して手に入れた。それにもかかわらず、この時計はずっとニコラス氏の手元にあり、いい具合に年を重ねてきている。

an omega speedmaster

 この時計には強い思い入れがあり、いつか子どもたちに渡すつもりだと彼は述べる。そして、この時計を手に入れた理由のすべてを話すかもしれない(もちろんある時期が経過したあとに)。センチメンタルな価値を蓄積し続けているため、今では彼の特別なイベントのための“定番”ウォッチとなっている。

メモセイル レガッタ

 ふたつの“生まれた年”ウォッチのうちのひとつは、どちらもニコラス自身の生年と一致しないため、クォーテーションを使用している。むしろ、この大胆にカラフルなメモセイル レガッタは、長女が生まれた日に彼が身につけていた時計なのだ。

memosail

 水上でレガッタのタイミングを計る複雑な機構を備えたメモセイルは、カジュアルだが70年代のファンキーなデザインで、レースの特定のスタート時間にボートが間に合うよう10分のカウントダウンが測れる。フェレルがメモセイルを選んだのは、長男の誕生に際して当時愛用していた時計であり、陣痛のタイミングを計るのに重宝していたからだ。

 メモセイルはやがて彼の娘に受け継がれるが、フェレル氏はこの時計がふたりの絆の強さを象徴するものであるという明確な意図とともに、ふたりの人生の重要な瞬間にそれを着用し続けている。またメモセイルは、父親になり、家族と過ごす時間を増やすためにワークライフバランスを調整する必要があった時期を象徴している。

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ホイヤー オータヴィア Cal.11 Ref.1163 ヴァイセロイ

 彼の祖父のお気に入りのブランドのひとつから、この1969年製ホイヤー 1163をチョイスした。これは息子が生まれた日にフェレル氏が身につけていた時計である。娘のためのメモセイルのように、このホイヤーはそのときのフェレル氏の好みを表しており、この時計は後年、彼の息子に受け継がれる。メモセイルと同様、彼は陣痛の時間を計るためにヴァイセロイを使用した。

heuer autavia

 ホイヤーとメモセイルには、それぞれのイニシャルと、ニコラス氏からのメッセージが刻まれており、彼は家族、特に息子との特別な体験(空手の帯の獲得時など)を祝うために、ホイヤーを着用し続けている。この時計は、彼が時計に熱中してきた歴史を直接物語るものであり、やがては彼の息子の腕に巻かれ、次の世代にインスピレーションを与えることだろう。

セイコー 6139-6010 “真のブルース・リー”モデル

 フェレル氏が愛好家として最初に選んだ時計は、セイコーの6139だったが、お察しのとおり、それは出発点に過ぎなかった。彼は4本目、偉大な故ブルース・リーが着用していたことで知られる6139を選び、深く追求した。

a seiko chronograph.

 これは1969年製の6139-6010で、ブラックダイヤル、プルーフダイヤルと裏蓋、2ピースクロノグラフ針、英語と北京語を交互に表示する曜日表示ディスクを備えている。フェレル氏は同リファレンスについて広範な記事を書いており、彼の時計への中核をなすものと考えている。もっと知りたい方は、ぜひ彼の研究をご覧いただきたい

 それは非常に珍しい6139の変わり種であり、映画と特異性に根ざしたバックストーリーを持っている。これをフェレル氏が選んだ1本であることに驚いただろうか?


もうひとつ
いすゞ トルーパー RS 1989

 これは意外かもしれないが、だからといってクールさが失われているわけではない。私と同じようにフェレル氏もクルマが大好きで、1996年に父親と一緒にこの日本製SUVを4000ドル(当時の相場で約43万円)で購入した。当時、JDM(日本国内市場のこと)車は米国で人気が高まっていたが、SUVへの関心はスープラやスカイライン、シルビアほどではなかった。

an isuzu tropper RS

 フェレル氏によると、1989年に発売されたトルーパーRS(ラリースポーツ)は、アップグレードされたオフロードパッケージが特徴で、アメリカには半年ほどしか輸入されず、米国に入ってきたのは800台にも満たなかったという。2代目オーナーであるニコラス氏は、オフロード走行や大規模なオーディオのアップグレード、子どもたちのLAでの空手や体操クラスのために家族を送ったりなど、このクルマに何度も命を吹き込んできた。

a trooper RS

 機械的には健全だが、トルーパーはショーカーではなく、まっとうな日常車であり、リフトアップ、大径ホイール、そのほかサスペンションのアップグレードが施されている。バンプシステムは、SUVのオーバーランダー(クルマを快適な空間に変えて旅をすること)のアップグレードに取って代わられて久しいが、トルーパーはニコラス氏のお気に入りの1台であり、彼のお気に入りの時計に匹敵する特異性とバックストーリーを持っている。

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