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ジョルジオ・ガリ氏は、最近、世界の頂点にいる。裏方として活躍してきた彼の名前が、ついに腕時計の文字盤に刻まれたからだ。それもただの時計ではない。評判を呼んだタイメックスのジョルジオ・ガリ S1 オートマチックは、洗練されたデザイン言語と、一般的な量販ブランドのイメージよりも高級な素材を取り入れることで、450ドルという価格帯でタイメックスの新境地を開拓した。
我々HODINKEEは、ここ数年、ガリ氏と親交を深めてきた。最近発売されたタイメックス ウォーターベリー HODINKEE 限定モデル(我らがダニー・ミルトンのデザイン)を含め、ふたつの限定モデルで彼とコラボレーションしたのだ。この、ミラノ在住のデザイナーの技術と創造性は保証できる。
しかし、我々が他のブランドとのコラボレーションで復活させた1990年代の時計のオリジナルデザイナーが彼であると最近連絡を受けたときは驚いた。1990年代、ガリ氏はミラノにあるスウォッチのデザインラボのクリエイティブ担当として、数え切れないほどのスウォッチを手がけていたのだ。そのなかには、我々が注目し、システム51 HODINKEE ストップライト ネオン リミックスとしてよみがえらせたオリジナルのスウォッチ ストップライトも含まれていた。
先日、Zoomを通してガリ氏と会い、彼のキャリア、写真への情熱、そしてデザインプロセスが数十年の間にどのように進化してきたかについて話を聞く機会を持った。
HODINKEE : 時計業界におけるあなたの経歴を少し教えてください。タイメックス社以外では、どのような会社と仕事をしたことがありますか?
ジョルジオ・ガリ氏:私はイタリア人です。イタリア人は時計が大好きです。私は時計業界で働く前はコレクターでした。1980年代後半には、スウォッチのリリースを何度か手伝いました。1990年代初頭には、スウォッチのデザイン・ラボがスイスから私の会社があるミラノに移りました。当時は、さまざまなグラフィック、文化、デザイン、アーティストを探求し、非常に多くの製品をデザインしました。年にふたつの大きなコレクションをデザインし、当時はほとんどのスウォッチ製品がそうやって作られていましたね。私はすべてのデザイン、すべてのグラフィックをコーディネートしましたが、まだ若かったため、このような偉大で重要な仕事を実際にこなすのは大変な努力が必要でした。でも、私はスウォッチの社員ではなく、小さな事務所を持っていて、そこでは時計以外のプロジェクトに取り組んでいました。
スウォッチを離れたあと、シチズンやエベルからの相談を受けました。セイコーとはプロジェクトを立ち上げ、モバードとは、毎年いくつかのプロジェクトで仕事をしました。そして2000年代初頭に、タイメックス・グループとコンサルティング・プロジェクトを開始したのです。
デザインプロセスがどのように変化してきたかを教えてください。
全体的にはかなり似たようなプロセスですが、それぞれのプランは違いますし異なった考え方が必要です。まずリサーチのプロセスがあり、次にそのブランドを知り、何が適切かを理解するためにスケッチを始めます。ブランドに応じて違ったものが必要ですから。そして、最終的にクライアントがフィードバックや承認をするためのレンダリングを作成します。
オリジナルのスウォッチ ストップライトの背景は?
実は、あれは私の好きな時計のひとつだったのです。あのような形で日付を表示したのは初めてでした。クラシックな3針時計を、少し違った、よりテクニカルなものにする方法だったのです。小さな窓の外側に日付を表示する方法です。そうすることで、時間を別の角度から見ることができるのです。あなた方がそれを取り上げてくれたのは、とても楽しいことでした。
タイメックスには膨大なカタログがありますが、会社のデザインに対する考え方はどのようなものでしょうか。
私がタイメックスで心がけているのは、基本的なものをリフレッシュし、過去に同社が生み出したデザインのオーセンティシティを取り戻すことです。私は、タイメックスの歴史に残る素晴らしいクリエイティビティを蘇らせるために、多くの時間をかけてアーカイブを調査しています。タイメックスは大衆向けのアプローチをとっていますが、私はこのブランドをもう少し高い位置に持っていき、どれだけの歴史があるのかを人々に思い出させるように努めています。
タイメックスは明らかにアメリカ生まれの会社ですが、国際的に大きな存在感を示しています。親会社の本社は北欧にあり、あなたはイタリアに拠点を置いています。デザインプロセスにおいて、アメリカのルーツと国際的な戦略や視点とのあいだに緊張が生じることはありませんか?
ブランドのことを本当に理解する必要があります。タイメックスは、さまざまなレベルのテイストをカバーしています。さまざまな国、あらゆる視点にアプローチすることは、とても大変なことです。タイメックスで新しいパートナーとプロジェクトに取り組むとき、私はこの点を重視しています。アメリカンブランドとその歴史に対する信頼性を維持しながら、どんな新しい人々にアプローチができるかを見極めなければならないのです。狭い世界なのです。
クォーツ時計と機械式時計のデザイン設計に違いはありますか?
かなり違いますね。オートマティックは価格帯が高いので、特にスイス製で高価格の場合、デザインの仕方や考え方も少し保守的になる傾向がありますね。より慎重にならざるを得ません。クォーツであれば、もう少し自由であってもよいでしょう。でも、それはブランドによるところが大きいですね。
インディグロの仕事はどのようなものでしょうか?
いつもそう簡単にはいかないです。文字盤はプリントしなければなりません。インディグロは基本的にランプですからね。だから、文字盤のデザインには限界があるんです。インデックスをアプライドにすることもできないので、インディグロには、より面白いプリント柄を使うようにしています。
タイメックスであなたの名前を冠したコレクションは、ブランドにとって高価格帯のものです。タイメックスが高級品として成長するためにはどうすればよいと思いますか? 消費者は、高価格帯のタイメックスに何を求めているのでしょうか?
タイメックスと言えば、マスマーケットというイメージがあります。しかし、S1はこれまでのところ、私たちにとって大きな成功でした。タイメックスがもう少し上を目指せるという証拠です。私たちは可能な限り最高の素材を使いたいと同時に、2000ドルの時計を作りたいわけではありません。私たちのカテゴリーを守りたいのです。しかし、タイメックスの時計には、よりよい素材を使って高価格帯に位置づけられる余地があると思うのです。
S1は、あなたの写真への愛にインスパイアされたものですが、どんなカメラを使っていますか?
ライカ Q2を愛用しています。
以前、ジェラルド・ジェンタが好きな時計デザイナーだとおっしゃいましたが、彼の作品のどこに引かれるのでしょうか?
私の好きな時計はノーチラスとロイヤル オークです。ジェンタのクリエイティビティはすごかった。生前に彼に連絡を取ったところ、タイメックスのためにプロジェクトを行ったと教えてくれました。でも、アーカイブでそれに関するものを見つけることができなかったんです。彼は、それがたしかデジタル時計だったと言っていました。それは素晴らしい復刻版が生まれるでしょう。いずれは見つけられると思います。
このインタビューは、わかりやすく編集されています。