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Hands-On チューダー ブラックベイ フィフティ-エイト 925 シルバーケースを実機レビュー

今シーズン、チューダーは最も珍しい素材を使ったダイバーズウォッチを作った。そのレビューをお届けしよう。

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2013年にアメリカ市場に戻って以来、チューダーは目覚ましい成長を遂げてきたが、その成功の多くはダイバーズウォッチと結びついていた。ブラックベイコレクションは、ヴィンテージテイストの時計が爆発的に売れている時期に、そして現行、ヴィンテージを問わずスティール製のロレックスに(その価値にも)注目が集まった時期に、絶好のタイミングで登場したのだ。

 まるでスイスの魔法のボールに導かれるかのように、チューダーはほぼ毎年、確実にヒット商品(または商品たち)を発表してきた。ブラックベイの新色の場合もあれば、ブラックベイ クロノや、最近では評判の39mmのブラックベイ フィフティ‐エイトなどの新モデルの場合もある。

 現在、ブラックベイには、ブロンズ、フィフティ-エイト、クロノを除いても約36のモデルがある。構成はシンプルだが、2021年春に発表されたモデルを見ても分かるように、まだまだサプライズの余地がある。ブラックベイコレクションの消費者が手軽に使える中核モデルが強いおかげで、チューダーは少し変わったことをしたり、ニッチなモデルに投資することができた。

 今回のケースでは、保守的で明快なブラックベイ フィフティ-エイト“ネイビーブルー” をSS製で発表してから1年も経たないうちに、チューダーは金無垢のフィフティ-エイト 18Kと銀無垢のフィフティ-エイト 925という2つの貴金属製モデルを発表したのだ。

 近日中にゴールドモデルについて紹介するが、この記事ではチューダー史上最も奇抜なダイバーズウォッチの1つに焦点を当てたい。僕は変わったダイバーズウォッチが大好きで、文章の中で“奇抜な”という言葉を多用するが、チューダーを説明するときにはあまり使わない言葉だ(ファンキーなP01は別として)。とはいえ、この時計は200m防水のダイバーズウォッチであり、ソフトレザーストラップと、そしてなんと925シルバー製の頑丈なケースを備えている。

 シルバーとは奇抜で特殊な選択だ。この金属は変色しやすく比較的柔らかい合金のため、時計製造にはあまり使われない。シルバーはスティールよりも高価だが、ホワイトゴールドやプラチナほどの価値はない。シルバーが時計の、少なくともスポーツウォッチのケースにあまり使われないことは理解できる。

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 確かに奇抜だ。そして、それが楽しい。

 僕は昔から、時計の展示会で何が発表されるかを予測するのが苦手だった。だから早朝パジャマ姿でチューダー ペラゴス GMTの新作発表を伝えるメールを家で座って待っている僕を想像してみてほしい(自信満々だったのだ...去年と同様に)。金と銀だって? 僕は確かに予想していなかった。

 まず簡単に説明すると、ブラックベイ フィフティ-エイト 925は、幅39mm、ラグからラグまでが47mm、厚さ12.7mmだ。フィフティ-エイトに詳しい方なら、SSバージョンの厚さが11.9mmであることをご存じだろう。925の厚さは、もうひとつの珍しいデザイン要素であるサファイアクリスタルのシースルーケースバックに由来する。

 僕のノギスは12.5mmを示していたが(友達なら2、3mmなんて関係ないだろう?)、925が標準的なブラックベイよりも少し厚いことは確認できた。11.9mmと12.7mmの差はNATOストラップを装着したときに最も顕著になる。にもかかわらず(はい、コメントを読みました)、925は厚すぎるとは感じず、例えば標準的な41mmのブラックベイよりも、僕の約17.8cmの手首にはるかによくフィットしていた。

 ケースサイズは他のフィフティ- エイトと大きな違いはないが、シルバーケースにトープカラーのダイヤルとベゼルの色合いが、手首に独特の存在感を与えている。シルバーケースというのは、チューダーのような保守的なブランドにとっては特に奇抜なアイデアであり、ダイヤルやベゼルと相まって、非常に斬新に感じられる。

 この金属はスティールよりも暖かみのある色をしており、サテン仕上げによってさらなる温かさが加わったように感じられる。写真で捉えるのは難しいが、僕は通常、SSケースの彩度を下げて、画像に写る色の量を制限している。今回の写真では、ケースの彩度を落としたり色調補正をしたりしていないので、SSほどの反射はないものの、何となく光っているように見える。世間で言われている“光沢”とは、こういうものを言うのだろう。

 シルバーケースのダイバーズウォッチに抵抗がある人(それももっともだと思う)でも、これは実際に見てみる価値はある。SSにもWGにもPtにも見えない。さらにチューダーによると、この特別なシルバーは通常の方法では変色しないそうなので、その美しい輝きを維持できるかどうかは、時間が教えてくれるだろう。

 傷については、問題になるかもしれない。というのも、この新品のプレス用貸与品は、僕の手元に届くまでに、既にいくつかの擦り傷がついていたからだ。そのため、ショックというほどではないけれど、SSの硬さにシルバーが対抗できるとは思っていない。

 ファブリックストラップかレザーブレスレットで提供される925は、特に重くはない。レザーストラップで87gという重さは金無垢のような時計ほど重くなく、かといって一体型ブレスレットがないと全体がアンバランスになるほど重いわけでもない。

 ベゼルとダイヤルは、ケースの色調と驚くほどマッチしている。暖かい光の下では、ブラウン、グレーパープル、ダークチャコールのトーンが見えるが、フラッシュの光の下では、ダイヤルとベゼルはよくマッチしたミドルグレーに見える。グレーの時計が好きな僕は、美しいと思っている。付属のレザーストラップでも良いが、もし僕がこのドレッシーなフィフティ-エイトをもつとしたら、NATOかシンプルなタンレザーのストラップを合わせ、ケース、ベゼル、ダイヤルの明るいトーンとのコントラストを抑えたものにしたいと思う。

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 925は、シースルーバックを備えた兄弟モデルの18Kと共に、過去のフィフティ-エイトモデルで見られたMT5402ムーブメントの新バージョンを採用している。MT5400は、ケースバックに収まるように合わせて若干大きくなっているが、COSC認定の時刻表示のみの自動巻きムーブメントで、70時間パワーリザーブ、チューダーの5年保証を備えている。

 ムーブメント自体は特別な仕上げや構造ではないが、925モデルのデザインでもう一つの興味深い要素は、シースルーバックだ。これはダイバーズウォッチではそれほど珍しいものではないが、チューダーでは珍しく、925(および18K)を、他のブラックベイモデルの中でも際立ったものにしている。一方で、ソリッドケースバックのオプションもあったら良かったのにと思う。このお宝級のシルバーウォッチを、より自分らしくしたいとエングレービングを希望する僕のような人は、そちらを好むのだ。

 手首に装着すると、925シルバーが光る。日常的な実用性と引き換えに独自の魅力を備えているので、フィフティ- エイト ネイビーブルーと同じくらい気に入ってしまった。毎日使えるタフなダイバーズウォッチを探している友人に勧めるだろうか? それはない。しかし、ダイバーズウォッチにこだわりのある僕にとって、これが手に入れたい フィフティ-エイトになる可能性は大だ。

 最近では10万円以下で、どこへでも行けて何でもできる素晴らしいダイバーズウォッチが手に入る。だから、もし明らかにより高額な買い物をするのであれば、他のダイバーズウォッチとは明らかに異なる体験をしたいと思う。そして、925は本当にとても異なっているのだ。

  フィフティ-エイトがチューダーのルーツである頑丈な軍用ダイバーズウォッチへの回帰を意味していたのに対し、925はそのフォーマットを現代の高級時計の形で表現したものだ。このモデルはツールとしての必要性からではなく、魅力的なものとして存在しており、通常のダイバーズウォッチの概念にとらわれることなく作られている。このモデルは、ダイビングを愛する人のためのデスクダイバーなのだ。普段はドレスウォッチを好む人や、従来の型にはまったダイバーズウォッチを既にたくさんもっている人にオススメだ。

 自動車に例えるなら、多くの人が知っている車、ポルシェ911を考えてみよう。ブラックベイ 41は、911のように愛好家の信頼を得た、幅広い市場向けのオールラウンダーだ。フィフティ-エイトはそれとよく似ているが、よりドライブ好きにアピールする魅力とマニアックな体験を追求した、911 GT3 ツーリングのようなモデルだ。最後に、925は、フィフティ-エイトの大衆にアピールする魅力を受け継ぎながら、より個性的なものを求める人たちに向けて、ドラマチックな効果を純粋に高めたものなのだ。ポルシェで言えば、911 スピードスターのように、GT3をよりニッチに、よりラグジュアリーに表現したものなのだ。

 シルバーケースのダイバーズウォッチを嫌う人もいれば、シースルーバックを嫌う人もいるだろう。しかし実際のところ、ダイバーズウォッチにとって正統性という船はずいぶん前に出航してしまった。事情は変わったし、特に925のような高級ダイバーズウォッチには、魅力以上の価値はない。防水性や品質の面では申し分ないが(もっと具体的に知りたい方は、フィフティ-エイト ネイビーブルーのhands-onをお読みください)、925がダイバーズウォッチの伝統にどれだけ合致しているかということよりも、どのような気分にさせてくれるかということの方に魅力を感じるのだ。

 世界で最も人気のあるメーカーの製品であるにもかかわらず、シルバーケースのダイバーズウォッチは決して多くはないから、直接的な競争はちょっと的外れだ。同様に、シルバーは貴金属として認められるが、ビッグ3(YG、WG、Pt)に比べてはるかに安価であるため、この46万7500円の限定ではないフィフティ-エイトを他の貴金属製ダイバーズウォッチと比較してもあまり意味がない(例えば、兄弟モデルのフィフティ-エイト 18kの価格は、925の価格に140万円ほど上乗せされている)。

 SS製フィフティ- エイトにわずか10万円以下の価格プレミアム(SSブレスレットのバージョンと比較するプレミアムはさらに小さくなる)で、チューダーはブラックベイのオーナーのために、基本的なフォーマットを維持しつつも、ブランドの無数のダイバーズウォッチの選択肢の中に、何か特別なものを作りたかったのだと感じる。

 型破りでありながらどこか懐かしいこの時計は、発表時に僕を困惑させた。しかし、実際に925を手にしてみると、その印象は180°変わったのだ。楽しくて、軽快で、SS製のフィフティ- エイトよりもはるかにラグジュアリーな時計だ。ブラックベイコレクションの全般的な強さと、話題性のあるニューウォッチに対する長年のニーズを考えるとき、ブラックベイ フィフティ-エイト 925はまさにそれらを兼ね備えるものであり、斬新さそのものをシルバーのスプーンでたっぷりと提供してくれる。

チューダー ブラックベイ フィフティ-エイト 925は、厚さ12.7mm、ラグからラグまでが47mm、39mmのシルバーケースダイバーズウォッチ。200m防水、シースルーバック、トープカラーのダイヤルとベゼル。このモデルは、ハック機能を備えたチューダー製の自動巻きムーブメント MT5400を搭載しており、手巻き機能つきで、デイト表示はなく、COSC認定の精度、5年間の保証付き。限定生産ではなく、価格は 46万7500円(税込)で、ファブリックまたはレザーのストラップが付く。詳しくはチューダーの公式サイトをご覧ください。