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Auctions ポール・ニューマンが所有した2本のロレックス デイトナが、来週のニューヨーク・オークションに登場

サザビーズ・ニューヨークでは、ピンク・オン・ピンクのパテック 1518と宇宙飛行士に贈られたスピードマスターが注目を集めた。

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6月9日にニューヨークで開催されるサザビーズの“Important Watches”オークションでは、ポール・ニューマンが所有した2本のロレックス デイトナがヘッドラインを飾る。いや、それらは“ポール・ニューマン”デイトナではないが、サザビーズはこのモダンな時計にそれぞれ50万ドルから100万ドル(約6950万円〜約1億3900万円)の見積もりをつけている。

paul newman rolex zenith daytona 24 hours of daytona

 最初の時計は、いわゆる“ゼニス” デイトナ Ref.16520で、1995年のデイトナ 24時間レースでチームが優勝した際にニューマンに贈られたものだ。70歳のポールはレース最年長優勝者(編注;年齢制限のあるクラスで参加した)であり、デイトナのケースバックには“Rolex Daytona 24 Paul Newman Rolex Motorsport Man of the Year 1995”と刻まれている。ゼニス デイトナは、4年後の1999年にアンティコルムの“Famous Faces”オークションで実際に登場し、3万9000ドル(約450万円/このオークションで最もいい成績を収めたロット)で落札され、収益はすべて慈善事業に寄付された。1999年のオークションカタログはまさにタイムカプセルで、エルトン・ジョン、ジェリー・サインフェルド、マドンナの時計も掲載されていた。このオークションで2番目に売れたのは、ロバート・レッドフォードに代わって寄付した”マスター オブ コンプリケーション“を自称するフランク ミュラーのパーペチュアルカレンダー クロノグラフだった。

 サザビーズによると、そのオークション開催後のある時点で、近親者がデイトナをポールに返したという。その後、ニューマンの娘であるネル・ニューマン氏が、コネチカット州にあるニューマンの自宅の事務所を調べた際に発見した。現在、サザビーズは“ジョアン・ウッドワードとポール・ニューマンの世界(World of Joanne Woodward and Paul Newman)”と題し、今後数週間にわたり複数の部門にまたがるオークションを開催し、300点以上におよぶアイテムのひとつとして出品している。

white gold rolex daytona paul newman sotheby's
paul newman drive slowly joanne caseback engraving
white gold paul newman rolex daytona

 2本目のデイトナとなるホワイトゴールドのRef.116519は、ニューマンの妻であるジョアン・ウッドワード氏が2006年に贈ったもので、ケースバックには(時計愛好家にとっては)今や有名な“Drive Very Slowly Joanne”文字が刻まれている。この時計は、彼女が長年にわたってニューマンに贈った3つの時計のうちのひとつだ。ほかのふたつはここ数年でオークションに登場しており、彼の6263は2020年に547万5000ドル(約5億6780万円)で落札され、もちろんポール・ニューマンのポール・ニューマン 6239は2017年に当時の最高額となる1770万ドル(約20億円)で落札されている。サザビーズによると、これはニューマンが所有した唯一の貴金属製デイトナであり、2008年に亡くなる前にウッドワード氏から贈られた最後の時計だったそうだ。しかし、亡くなるわずか1カ月前、彼はライム・ロック・パークでGT1 コルベットに乗り、このデイトナを手首に装着して最後のレースラップを刻んだ。

 このふたつのデイトナは、ヴィンテージの6239や6263の実績には及ばないものの、50万ドルから100万ドル(約6950万円〜約1億3900万円)という見積もりは保守的だと思う。このふたつのうち、ウッドワード氏が贈ったホワイトゴールドのデイトナは、より望ましいと感じられるが、これは彼女が夫に贈った時計の系譜の一部で、最初のポール・ニューマンまで遡ることができる。確かに、この時計は現代のもので彼が所有していたのは2、3年にすぎず、古い時計のような思い出のパティーナは見あたらない。しかし20世紀におけるハリウッドの有名な関係のひとつであり、現代の時計収集市場を実質的に作り上げたひとつの証として、この時計はまだ特別な存在だ。

 2020年に落札されたラピス文字盤のユニークなプラチナモデルが達成した327万ドル(約3億4924万円)という、モダンなデイトナの高水準価格を上回ることができるかどうか、私は注目しているのだ。

 私のように、これらのデイトナが予算外である場合、このオークションにはほかにもいくつかのニューマンピースが出品されている。ポール・ニューマンの名前が底に刻まれたティファニーのアラームクロック(予約なし)、ジョアン・ウッドワード氏が所有していたホワイトゴールド製の豪華なパテック フィリップ クッションウォッチ(推定2000~5000ドル)、さらにニューマンが最後のレースで着用したスーツもある。

詳しくは、Lot27Lot30をご覧ください。

羨望のピンク
pink on pink patek philippe 1518 perpetual calendar chronograph

前回のピンク・オン・ピンクのパテック 1518は約1000万ドル(13億8870万円)で落札された。この時計はそこまではいかないだろうが、サザビーズのニューヨーク・オークションのハイライトだ。

 サザビーズのオークションは、ニューマンとウッドワードだけではない。上から下まで充実したカタログになっており、 先月ジュネーブで見た(そのときビッグハウスのなかで内容が最も乏しかったと私は言った)ものよりも、おそらく充実していると思う。

 今回のオークションで最も大きなロットは、市場に出たばかりのピンク・オン・ピンクのパテック 1518永久カレンダークロノグラフで、わずか15本しか存在を知られていない。この時計は、先月ジュネーブで少し見たが、とてもゴージャスな時計だった。サザビーズで2021年12月に約1000万ドル(13億8870万円)で落札された最後の個体ほど完璧ではないが、ほぼ同じようにエキサイティングだ。サザビーズのスペシャリスト、ジョナサン・バーフォード氏がこの1518を発見したのは、その最後の1518のモンスターセールのおかげだった。この時計の委託者は風防が付いていない状態で30年間引き出しのなかに眠らせていたのだ。そのため、この時計は文字盤の中央付近にほんの少し不均一な摩耗があるものの、とてもいい状態に見える。しかしケースは豪華に見え、このような古い時計ではしばしば見られる爪楊枝のように磨かれた太くてシャープなラグを備えている。サザビーズは、この1518に250万ドルから450万ドル(約3億4720万円〜約6億2495万円)の見積もりをつけている。先月ジュネーブで、ピンクゴールドの2499が320万スイスフラン(約4億9100万円)で落札されるなど、パテックのコンプリケーションが好調だったことから、私はこの1518がこの高い見積もり額の近くかそれ以上になると予想する。以前にも述べたように、このように鮮明でオリジナル、そして確かなコンディションを持つ市場に出たばかりの時計は、最も皮肉なコレクターでさえも興奮させるだろう。

Lot 38の詳細はこちら

もうひとつの宇宙飛行士が所有したスピードマスター
jack swigert omega speedmaster apollo xiii

 今回のオークションでは、ニューマンのデイトナをはじめ、多くの時計が“ケースバックウォッチ”だと思っている。裏返してケースバックの刻印を見ると、その時計が持つストーリーがよくわかるからだ。数週間前に、8人の宇宙飛行士の記念品であるオメガのアポロXI スピードマスターが、1年足らずのあいだにオークションに出品されることになった奇妙な宇宙の力について書いた。昨年秋にウォーリー・シラーのものが190万ドル(約2億6360万円)で落札されたあと、市場はかなり冷え込み、最近ではピーター・コンラッド船長のものが5月にフィリップス香港で約17万8000ドル(約2470万円)で落札された。サザビーズでは、アポロ13号の司令船パイロット、ジャック・スワイガート・ジュニアのものを彼の甥から直接入手し、この一連のスピーディの最後の1本であるとしている。

 オメガは、アポロ11号の月面着陸成功後の祝賀会で、この記念すべきゴールドのスピードマスターの最初の28本を宇宙飛行士に(そして辞退せざるを得なかったニクソン大統領とアグニュー副大統領に)贈っている。その後、アポロ17号までの宇宙飛行士と、この祝賀会後に初飛行した宇宙飛行士たちに10本が贈られた。オリジナルと同様、“To mark man's conquest of space with time, through time, on time.(時間とともに、時間を通して、時間通りに達成された人類の宇宙進出を記念して)”という刻印がある。

jack swigert gold omega speedmaster apollo xiii
jack swigert gold omega speedmaster apollo xiii

 サザビーズは、スワイガートのスピードマスターに12万ドルから18万ドル(約1665万円〜約2500万円)の見積もりを出している。この1年間、スピードマスターの落札価格がどのように上下してきたかを考えると、どうなるかはわからないが、もしこの見積もりの範囲内に入れば(先月のコンラッドのように)、長い目で見れば誰かが素晴らしい取引をしたことになるだろう。この1年でどれだけの数が登場したとしても、このような宇宙飛行士が所有したスピードマスターはあと40本もない。私にとっては、今でも最もクールで歴史的に興味深い時計のひとつだ。

Lot 104の詳細はこちら

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そのほか、私が注目しているもの
rolex daytona john player special 6241

 ロレックスは“ジョン・プレイヤー・スペシャル”デイトナに250万ドル(約3億4685万円)を支払わせるという記録を打ち立てたが、この時計はどうだろうか?

 このデイトナ、“ジョン・プレイヤー・スペシャル” 6241がロレックスによって市場が動かされたあと、どのようなパフォーマンスを発揮するのか興味深いところだ。 ロレックスは、ジュネーブのサザビーズで新品同様のこのモデルに223万スイスフラン(3億4255万円)を支払ったのだ。その記録的な例と同様に、このモデルもオリジナルオーナーの家族のものである(Lot 78、見積もりは40万~60ドル/約5550万円〜約8325万円)。もうひとつ興味深い出どころを持つロレックスは、このモダンなサブマリーナで、ケースバックにオールドスターとシークレットサービスの紋章が刻印されたアメリカ・シークレットサービスのための特別限定モデルだ(Lot 72、見積もりは4万ドル~6万ドル/約555万円〜約835万円)。

rolex comex 1665

 支給された時計としては、アメリカ海軍中尉に支給されたトルネク・レイヴィルのTR-900(これについては別記事を読んで欲しい)、そしてオリジナルオーナーの家族から出品されたコメックス シードゥエラー 1665もある。妻のジュディ氏によると、この時計はコメックスのエンジニア、ジェシー・サンダース氏に贈られ、いつも身につけていたそうだ。現在もロレックスのために製造している機器を見ることができ(こちらでご覧ください)、この長年のパートナーシップに少し感謝の念が湧いてきた。このコメックス シードゥエラーは、家族からの出品であるということだけでなく、付属品がすべて揃っているという点でも素晴らしい(Lot 74、見積もりは10万ドル~20万ドル/約1390万円〜約2780万円)。

サザビーズの“Important Watches”オークションは6月9日に開催されます。カタログはこちらでご覧いただけます。これら時計はポール・ニューマンのほかのアイテムとともに、6月8日までサザビーのニューヨーク本社で展示される予定です。