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VINTAGE WATCHES ヴィンテージウォッチトレンドレポート、2022年第一四半期の総括

ヴィンテージウォッチ部門からのメッセージ。最新トレンド情報と今後の注目株。

HODINKEE Vintageの2022年カレンダーも、第一四半期を迎えた。これまで以上に多くのヴィンテージウォッチを掲載することになる2022年、ちょっと一息ついてみるのもいいかもしれないと考え、筆をとった。HODINKEEコミュニティーの多くのメンバーから、ヴィンテージウォッチはすぐに売り切れてしまうという不満を声をいただいていたため、今年は品質を犠牲にすることなく、より多くの時計を提供することを目標に、デイトジャスト、サブマリーナー、デイトナ、パテックなど、最もよく耳にする時計をより多く掲載した。ヴィンテージチームとしては、サイトにログインすれば、水曜日だけでなく、いつでもヴィンテージスピードマスターを品切れさせない状態を目指してきた。

A 1966 Rolex Explorer Ref. 1016 with Glossy Dial

1966年製、ロレックス エクスプローラー Ref. 1016、ミラーダイヤル

 そのために、我々はこれまで以上に多くの時計を提供することにした。週に10本ではなく、15本から20本の新しい時計を掲載した。これまでと同様、HODINKEE Shopでご覧いただけるのは、クオリティの観点から見たトップレベルを厳選している。HODINKEE Shopでヴィンテージウォッチをご購入いただくと、アフターメンテナンスを受けられるだけでなく、コレクターズアイテムからデイリーユースまで、ご購入いただく時計は我々の説明書きどおりの、きちんと精査された時計だとご安心いただきたい。


ヴィンテージ市場の最新動向

 前回の記名記事で、ヴィンテージウォッチと現代の時計への関心度の違いに加え、2022年に向けてのヴィンテージウォッチの4つのトレンドについてご紹介した。その後、予想しなかったようなことがたくさん起きた。

 モダンウォッチ(現行世代の時計)の中古市場は、2021年後半の水準に戻るまで、2022年はやや不安定なスタートを切った。なぜ、ヴィンテージウォッチというタイトルの記事で、現行世代の時計市場についてトップレベルの分析をする必要があるのか? 差しあたっては、この市場の動きからヴィンテージウォッチと現行時計のあいだの緊張関係についての仮説が導かれるからだ。この四半期、ヴィンテージ市場は過去3年間と同じように、需要が着実に増加し、供給が着実に減少するという、まるで台風のなかのメトロノームのような動きを見せていた。つまり、ヴィンテージウォッチの大半はトップラインで見出しを飾るモダンウォッチ市場とは切り離されていることが証明されているのだ。不条理な熱狂に対するリスクヘッジと敢えて呼ぼう。

1980年代製、カルティエ サントス-デュモン ウルトラ・シン Ref.9605、18KYG

1984年製、ロレックス エクスプローラーⅡ Ref.16550、クリーム色の“レイル”ダイヤル

1970年代製、パテック フィリップ “バックウィンド” Ref.3569 Tiffany&Co.ネーム

1960年代製、ホイヤー カレラ Ref.2447S、エッグシェルダイヤル

 今後、さらに動きが活発化すれば、このマクロレベルのヴィンテージ対モダンの関係も流動的になるかもしれない。本稿では、昨年末に書いた私の考えをトレンドの観点から検証し、さらにいくつかの予測を提案する。


“再評価”のトレンド
1.) ゴールドのドレスウォッチ

…よく探せば必ず価値あるものを見つけられるヴィンテージウォッチ市場のバックボーンとなっていることに変わりはない。2022年、私はこれらのドレスピースを注視し、水曜日に提供できるよう積極的に入荷するつもりだ。

 そう、ゴールド、金無垢だ。このトレンドと金無垢への興味は、ますます高まっているようだ。IWC、AP、ヴァシュロンに加え、ロンジン、ユニバーサル・ジュネーブ、そしてショパールまでもが、この金無垢ドレスウォッチのカテゴリーで関心を高めている。実際、ロンジン コンクエストは現在ショップでも購入可能だ(本国記事掲載当時。現在は完売)。

A 1970s Chopard Dual Time In 18k Yellow Gold

1970年代製、ショパール デュアルタイム、18KYG

 このカテゴリーで驚かされたのは、ブレスレット一体型の時計だ。ショパールもそうだが、メッシュ状の一体型ブレスレットを持つ貴金属の時計は、なかなか提供できる個体がないようだ。率直に言って、この種の時計は半年前でも厳しい状況だった。スタイルとしては、ややクセが強いが、’80年代が再評価されるなか、特に若いコレクターを中心に人気だ。

2.) ホイヤーは復活したか?

我々の記事でほぼ毎週、このスペースでほかのセラーから提供されたものと同様に、“スタンダード”なカレラ、オータヴィア、モナコ、そしてモンツァなどが、一貫した熱狂的な需要に支えられていることが確認されている。

 これまでのところ、その答えは“イエス”だ。ようやく、コレクターたちはフィリップスが2017年に開催した“ホイヤーパレード”で被った痛みを乗り越え、ヴィンテージホイヤーをありのままに受け入れているようだ。ヴィンテージ界において、最高のデザインと優れた構造を持ち、多くのバリエーションに飛び込めるブランドのひとつであることが浸透されつつあるのだ。

A 1970s Heuer Carrera 'Ferrari' Ref. 1158CHN In 18k Yellow Gold

1970年代製、ホイヤー カレラ “フェラーリ” Ref. 1158CHN、18KYG

 我々のホイヤーを毎週少なくとも1本は提供するという約束は破られていない。そのなかには、初期および後期製造の“Dato(ダート)45”から、非常に希少な18KYG製の“フェラーリ” Ref.1158CHNまで、多くのカレラが含まれている。ホイヤーは一貫して毎週水曜日に最も早く売り切れる時計のひとつとなっている。私を驚かせたのは、ほぼ“未使用品”のホイヤー ビッグアイズ2本だ。どちらも、実際に見て吹き飛ぶほどの衝撃を受けた。すでに完売してしまったが、喉から手が出るほど欲しいと思う逸品だ。

 ホイヤーへの関心の高さに便乗して、ホイヤーを装ったヴィンテージクロノグラフの一群が登場した。ハミルトンブランドで売られた2本の個体もあった。また、ゾディアックブランドのブラック/ホワイトダイヤルの個体は、どちらも現在入手可能だ(本国記事掲載当時。現在は完売)。これらの4本の時計は、すべてホイヤーがOEM製造したものであることが確認されており、カレラと同じ魅力を持ちながら約半額で購入することができる。

3.) ロレックス デイトナ

特に現代のノーチラスやアクアノートが信じられないレベルに行っているのなら、10万ドル以下ですばらしいスティールのヴィンテージデイトナが買えるというのは実際にバリューある提案だろう。

– エリック・ウィンド

 我々は常にデイトナ市場、そしてヴィンテージスポーツロレックス市場全体を注視している。ここにヴィンテージ界の真の底堅さが見られる。2022年第一四半期までで明らかになったのは、非常に状態のいいコレクターズアイテム級の個体や、箱や保証書類などの付属品完備品に対するプレミアムが高まっていることだ。ロレックスの世界では、特に相場が大きく上がっている。

 それ以外では、“日常使い”できるロレックスに対する価格に対する価値は、これまでと同様に堅調だ。2022年には、より多くの購入可能な時計を提供するために、我々は幸運にもGMTサブマリーナー、そしてもちろんデイトナのすばらしい個体を、今まさにショップで提供できる立場にある。当店に入荷するロレックスの品質水準は、日常使いできる時計の上位10~15%ほどと見ている。我々が毎日購入するのを断念する多くの時計に比べ、これらは隠れた名品であり、多大な価値を提供するものだ。

4.) ミリタリーウォッチ

ダイヤルの色合いやケースの傷は、それぞれまったく同じになることはない。ヴィンテージ市場において、ミリタリーウォッチというニッチな分野ほどこの競争力を象徴するものはないだろう。

 軍官給品や軍にインスパイアされたデザインへの関心は、ニッチというレベルを超えて、相変わらず高いと私は見ている。我々のお気に入りは、ベンラス タイプⅡ クラスAセイコー MACV-SOGの派生モデル、そして世界中に拡散されているレマニアのクロノグラフなどだ。

A 1960s Lemania Single-Button Chronograph for the South African Air Force

1960年代に南アフリカ空軍のために製作されたレマニアのシングルプッシュクロノグラフ

 個人的には、1980年代のADANACのダイバーズを緩く狙っている。ADANACはクォーツを搭載し、ギャレット製で、通常1000ドル以下で手に入るが、我々が愛用しているベンラス社と同じようなケースを採用している。eBayで根気よく探せば見つかるかもしれない。


追記すべきトレンドについて
ヴィンテージオメガとムーンスウォッチ
A 1989 Omega Speedmaster Professional '20th Anniversary' Ref. 145.0022.101 with box and papers

1989年のオメガ スピードマスター プロフェッショナル “20周年記念モデル” Ref.145.0022.101、箱・保証書類完備

 2022年最大のウォッチストーリーであるムーンスウォッチの発売は、ヴィンテージ界に真のトリクルダウン効果をもたらした。ムーンウォッチの記念日やパンデミックの初期の影響からスピードマスターの市場は横ばいになったが、関心は確実に戻っている。ヴィンテージスピーディの売買は予想以上に増えている。個人的にもスピードマスターRef.145.022-69を日常的に身につけたい気持ちが芽生えてきた。

 HODINKEEコミュニティーからのリクエストは、スピードマスターとオメガの歴史のあらゆる分野に及んでいる。現在、すばらしい“トランジショナル” Ref. 145.022-68のアプライドロゴと “No NASA” Ref.145.022-71は、ペイントされたロゴとユニークな生産“不良”の裏話がある。1990年代のネオヴィンテージのスピードマスターも数本仕入れたが、これらは今最も回転率の高い時計のひとつだ。

 すばらしいオメガを入手するのにスウォッチの店頭に並ぶ必要はない。

カラフルなダイヤルと針

 現代の時計がヴィンテージ市場の一角に影響を与えたもうひとつの例だ。2022年は多彩なカラーが大流行するようだ。ロレックスが最もカラフルなオイスター パーペチュアルを終了させ、オメガがその流れに乗り、オリスがファンキーなDJとして一晩中カラフルチューンを回し続けたように、ダイヤルと針の色彩はかつてないほど重要なものとなっている。

 ロレックスの “フォード社エグゼクティブ”の深いブルートーンから、パテックのエリプスデイトジャストのメタリックなダイヤルまで、ブルーは常に人の目を引き付ける。ロンジンのノニウスに代表されるオレンジは、僅差で2位につけている。

 我々のショップではあまり扱っていないような、新しく、おもしろい、カラフルな時計を探すことはHODINKEEヴィンテージチームが最も力を入れている分野だ。興味を引かれれば“リスク”度外視でクールな時計たちに挑戦することは、とても価値のあることだと考えている。何かご提案があれば、ぜひお聞かせ願いたい。

質問はどのように送ればいいかって? 我々にメモを送るか、コメントで知らせてほしい。HODINKEE Shopであなたの大切なヴィンテージウォッチを売りたい時は? vintage@hodinkee.com まで写真を添えてメールしてほしい。中古の時計を売りたい時は? こちらをクリック。

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