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ヴァシュロン・コンスタンタンのオリジナル一体型スポーツウォッチである222が、先月のWatches & Wondersにおいてイエローゴールドで蘇り、これまで以上に素晴らしいものになったことは周知の通りだ。しかしそれ以来、私の頭にある疑問は、この復活がオリジナルのヴィンテージモデルに対するコレクターの関心にどのような影響を与えるかということだ。これから4日間(※本国記事公開時)で我々はそれを知ることになるのだが。フィリップスは今日と明日、Geneva Watch Auction XVで3種類のオリジナルメタルによる222を出品し、サザビーズは火曜日にイエローゴールドとステンレスのヴィンテージ222を出品する予定だ。
ジャック・フォースターがW&Wのリバイバル・リリースの取材で指摘したように、オリジナルの222はかなり希少性がある。最初の生産期間である7年間で、ステンレススティール製が500本、イエローゴールド製がおよそ150本、ツートンが100本と、1000本をはるかに下回る本数しか作られなかったのだ。たとえば、オーデマ ピゲの初代ロイヤル オーク Ref.5402やパテック フィリップのノーチラス Ref.3700よりずっと少ないということだ。
しかし歴史的に見ると、その数の少なさが222のヴィンテージウォッチとしてのニーズを高めることはなかった。その証拠に、HODINKEE Shopでは1981年製コンビの222 フルセットを3年弱前に1万9000ドル(約245万円)で販売している。これは、見積もり額を低く設定することで有名なオークションハウスのフィリップスが、明日オークションにかけるツートンの222に設定した低い見積もり額よりもさらに低い額だ。
222への関心は何年も低迷していたが、特にロイヤル オークやノーチラスといった時計の需要(と価格)の上昇に伴い、過去48ヵ月間にわたって徐々に注目が高まっている。現代での認知度は昨年11月にピークに達し、フィリップス・ジュネーブでSS製の222が15万7500スイスフラン(約2080万円)で落札された。これは当時のこのリファレンスにおける世界記録であり、エスティメート価格の5倍にもなる。これは、ロイヤル オーク5402とノーチラス 3711の同程度のモデルが同じセールでつけた価格よりも高い数字だ。
今日も、ジュネーブ時計オークションXVのセッションIにおいて、フィリップスはイエローゴールドの222を16万3800スイスフラン(約2160万円)で、SS製の222を18万9000スイスフラン(約2500万円)で売却し、オークションにおけるヴィンテージ222の記録を毎回更新している。フィリップスのセッションIIで、さらに希少なツートンカラーの222が出品される明日まで、その行方を見守る必要がありそうだ。
フィリップスのウォッチ部門のヨーロッパ大陸と中東の責任者であるアレクサンドル・ゴッビ氏は、「コレクターはそのデザインを評価し始めていると思います」と語る。「70年代のジェンタのようなルックスでありながら、ノーチラスやロイヤル オークとはまったく違う。確かに222には勢いがありますし、ヴァシュロンが新しいバージョンを出したことで、この時計にさらに注目が集まるようになるはずです」
時計メーカーがヴィンテージにインスパイアされた新作を発表すると、オリジナルへの欲求が高まることはよくあることだ。過去10年以上に渡ってそのような例はたくさんあるが、今年初めに発表されたジラール・ペルゴのキャスケットは、まさにその典型と言える。現在独立したスイスの時計メーカーが、長いあいだ忘れ去られていたデジタル時計を復活させると、1970年代製の不人気だった一風変わったクオーツ時計への関心は一気に高まった。
ここ数週間、コレクターたちは、ヴィンテージ時計や中古時計の価格が徐々に安定しつつあるように見えることについて、声を大にして疑問を口にする。この点については、オークション終了後の取材でもう少し詳しく説明する予定だ。しかし、今言えることは、サザビーズとフィリップスの222のロットは、潜在的な価値の下振れから安全な位置にいるだろうということだ。希少性を演出することはできないし、222のヴィンテージは本当に珍しく、ヴァシュロンがその過去に光を当てる数ヵ月前から、すでに人気が高まっていたのだ。
スポットライトが当たった今、それがすぐに消えるとは思えない。