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ブラックベイ プロが発表されたとき、予想通りさまざまな反応や意見が出たが、そのうちのひとつが、チューダー製のGMTウォッチであるブラックベイ プロが、ロレックス製のエクスプローラー IIに似通っているのはよくないというものだった。つまり、少なくとも一部の愛好家にとっては、チューダーが自社のヴィンテージモデルではなく、親密な関係にある他社のヴィンテージモデルをコピーし、BB(ブラックベイ)プロは借り物の栄光を自ら着飾ろうとしているように感じられたのである。この「Point/Counterpoint」の最新版で、ダニー・ミルトンは、確かに似すぎていて違和感があると論じている。私はこの見解に反対で、いつものようにドン・コルレオーネがヴァージル・ソロッツォを断るように、私の理由を説明しよう。
まず最初に、ブラックベイ プロを見て最初に思い浮かべるのはエクスプローラー IIであることは否定できない。しかも、その類似性は一般的なものではなく、エクスプローラー IIの初代モデル、Ref.1655を思い浮かべるのだ。
1971年から1984年まで生産された1655は、エクスプローラー IIの全モデルのなかで、ヴィンテージ・エクスプローラー IIといえばこのモデルを思い浮かべる方も多いのではないだろうか。1655は、24時間スケールが刻まれたスティール製ベゼルと、非常に大きな24時間針(独立して設定することはできない。エクスプローラー IIが独立した24時間針を持つようになるのは、1984年の16550の導入以降である)を備えていた。また、針と文字盤(5分と2分半のマーカーを含む)には核融合炉を起動させるのに十分な量のトリチウムが使用されていた。1655はデュアルタイムゾーン対応モデルではなく、24時間針は独立して設定できず、ベゼルも回転しない(現在のエクスプローラー IIは、もちろん独立して設定できる24時間針を備えており、オリジナルの固定ベゼルを引き継いでいる)。
エクスプローラー IIは、洞窟探検家、つまり洞窟学者のために開発された時計として販売されたことは、多くのマニアにとって記憶に新しいと思う。とてもニッチなマーケットだ。ロレックスはこのことにかなり早くから気づいていたようで、この時計の広告は洞窟探検家のための時計から、探検家および探検全般のための時計に変わった。広告では、熱気球乗りや火山学者、もっと平凡なスキーヤーなど、あらゆる人にこの時計が使われていることが紹介された。しかし、1655はその生産期間中、ニッチなステータスを揺るがすことはなかったが、近年、ヴィンテージ・ロレックスのほぼすべての製品と同様に、コレクション性が高くなってきている。光源へあてて畜光する必要がないので、1655のトリチウム夜光は、実際にはスーパールミノバ/クロマライトよりも地下に長時間潜るのに適していることは注目に値すると思う。
エクスプローラー IIの現代版は、他のロレックスの時計と同様に、最初の登場から大きく変化しているが、ほとんど変化していないところもある。ブラックのエングレービングされた数字を持つ24時間固定ベゼルや目立つ24時間針は、明らかにオリジナルから直接受け継がれている。ロレックスがやらないこと、そしてこれからもやらないであろうことは、ヴィンテージモデルの複製や復刻である。多くのブランドで採用されていることだが、クラウンでは違うのだ。
そこで登場するのが「シールド」だ。チューダーはヴィンテージのデザインをあからさまにアピールしてきた歴史がある。ブラックベイ プロのリベットスタイルのブレスレットはその一例で、プロが1655を直接的に連想させるということが、まさにこの時計のポイントなのだ。しかし、1655で採用され、そのままブラックベイ プロに搭載された機能は、実はそれほど多くはないのは注目すべきだ。スノーフレーク針、スノーフレーク24時間針、スノーフレーク風秒針、そして夜光プロットの形状や配分はすべて1655と異なっている。ベゼルのみが、直接的にわかるものとなっているのだ。24時間針の色も1655を意識していると言えるかもしれないが、1655にはもともとダークレッドの24時間針が採用されていた。
つまり、この時計は、実際に機能ごとに分解してみると、1655とはほとんど類似していないのだ。1655を思い起こさせるのは、一部の機能と、1655の最もわかりやすい特徴であるインデックスに垂直方向の仕切りのついた24時間表示ベゼルを借用したことによるものだ。しかし、借りものだからといって、漫然と模倣したわけではない。テンガロンハットをかぶっていても、ローン・レンジャーにはなれない(あるいは、今日の読者には、『トイ・ストーリー』のウッディが馴染むかもしれない)ように。これはたしかにブラックベイ( プロ、である 。エクスプローラー IIの系譜は確かにプロの探検家を指向しているが、なぜ「プロ」なのかはよくわからない)で、1655のベゼルを搭載しているが、それだけのことだ。
もし、チューダーがロレックスや愛好家から、ヴィンテージチューダーのデザインキューではなく、ヴィンテージロレックスのそれで遊ぶことが許されるべきかどうかという質問であれば、答えは、チューダー以外のどこができる、ということになると思う。まず第一に、控えめに言っても姉妹ブランドであること、第二に、ロレックスは決してそれをするつもりはないこと(今年のGMTマスターにつづくものは、我々はもう少し予想外のことを期待したほうがいいかもしれないが)。そして、ブラックベイ プロが、1655を単に模倣することなく、1655を心地よく彷彿とさせる時計であり、しかもストラップ付きで45万5400円(税込)という、ほとんど途方もない低価格であれば、チューダーとその顧客にとってウィンウィンの状況になるのではないだろうか。
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