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このような友好的な議論になると、私はジャック・フォースターと対決することが多くなるようだ。私の主張の核心に触れる前に(というか、核心が何であるかを言う前に)これだけは言っておきたい。「Hey HODINKEE」に私がゲスト出演している(ゲスト出演は今日までで1回だけ)からといって、その司会者に敬意を表して、私がパンチをひかえるとは限らない。反論するときは反論する。それ以外のことをするのは、私の性分に反するからだ。
今日の話題の中心はチューダーから発売された話題の新作、ブラックベイ プロだ。長すぎるという方のための要約すると、39mmのブラックベイにGMT機能、スティール製の固定式24時間ベゼル、そして1970年代のあるロレックスモデルを彷彿とさせる全体的な美しさを備えている。それが今回の論点だ。フォースター氏は、この新モデルが、今や象徴的な存在となったロレックスのエクスプローラーⅡ Ref.1655とは、実際にはもっと違うということを、あらゆる角度から語るつもりであろう。Ref.1655、別名“Freccione”、そして“スティーブ・マックイーン”(彼が着用したことを裏付ける写真は皆無であるにもかかわらず)とは、一見したところより多くの違いがあることを彼は饒舌に語るはずだ。彼は、これほどまでにデザイン的に近い(あるいは近くない)時計を提供する資格があるとすれば、それはチューダーであるとさえ主張するかもしれない。
ロレックスとチューダーは、創業者であるハンス・ウィルスドルフの指揮のもと、ひとつの大きな時計組織の下にあるふたつのブランドである。映画的な言い方をすれば、このふたつのブランドのあいだには共有の宇宙があるのだ。言わば、ウィルスドルフの世界である。そのなかで両者のあいだには、ある種の共生が流れている。それは、一方が他方に反応するエコーのようなものだということだ。
ほぼ例外なく、ロレックスが先陣を切り、チューダーはより手頃なパッケージで同様のデザインの時計を発表して追随している。昔はチューダー プリンス(ロレックスのオイスター パーペチュアルのお手頃版)やチューダー サブマリーナー(これは各自で考えてください)のような時計があったと思う。これらの時計は、ロレックスのケース、ブレスレット、リューズを使用していた。実際のところ、唯一わかる違いはダイヤルのロゴと内部のムーブメントだけだった。
それから数十年が経ち、チューダーはアメリカ市場から姿を消したが、2012年、ブラックベイ(BB)が誕生した。ETAのムーブメントを持つこのヴィンテージ風ダイバーズウォッチは、かつてのチューダー サブマリーナーの精神を受け継ぎながら、がっしりとしたケース、ガードレスリューズ、アプライドインデックスによるややモダンなダイヤルレイアウトによって、独特の美学を表現している。つまり、チューダー サブマリーナーのカーボンコピーではないが、その系譜は明らかである。
そして2018年、赤と青のベゼル、スノーフレーク針、スノーフレークGMT針を備えたチューダー BB GMTが登場したのである。ここで、今日のトピックに近いところに誤りが生じる。チューダーの製造の歴史において、GMTウォッチは存在しなかった。この時計は明らかに、そして極めて意図的にセラクロムのバリエーションに取って代わられたアルミニウムベゼルのロレックス GMTマスターへのオマージュであったのだ。簡単に言えば、ブラックベイ GMTはロレックスのGMTマスターとまったく同じではないけれど、いやはや、十分に似ているのだ。
そして2022年、スイスのジュネーブでWatches & Wonders 2022を迎えた。そこでフォースターと私は初めて BB プロを目にしたのだ。まず目についたのはダイヤルの水深表示の文字と、スティールベゼルとGMT針の“オレンジなのか黄色なのかわからない”色褪せたモチーフの組み合わせだった。これは初代エクスプローラーⅡに存在したもので、私にとってはなじみのあるコンボだった。
この時計がRef.1655のエクスプローラーに似ていないと主張する意見には、深く頭を抱える。もちろんダイヤルの違いなど、いくつかの点については譲歩することができる。オリジナルのエクスプローラーⅡは、ポール・ニューマン デイトナ以外のロレックスの時計で見ることができるユニークなダイヤルデザインを採用していた。ブランド名とロゴを除けば、ロレックスの古典的な特徴はほとんど見受けられない。
しかし、ブラックベイとそのオマージュである時計とのダイヤルの違いについても同じことが言えるだろう。古いチューダーのサブにはペイントマーカーが採用されているが、BBはアプライドだ。また、BBはリューズガードがない。ヴィンテージのチューダーは比較的薄型だが、この新モデルは最高級の厚い時計だ。ヴィンテージに似ているかどうかは関係ないし、カーボンコピーだと言っているわけではないのだ。
BB プロは、すべてのBBが行っていること、つまり、古いものと新しいものを少しづつ取り入れているのだ。カラーパレット(たとえそれが色あせたオレンジイエローであっても)、マットなダイヤルの質感、ベゼルのレイアウトは疑いもなく、完全にRef.1655のものだ。ダイヤルマーカーは、より現行のエクスプローラーⅡの領域に近い。 私は実際には、現行のロレックス(それは非論理的である)よりもBB プロのセラミックマーカーのほうが好みだ。
たしかにこの時計は厚い。しかし、ドーム型サファイアクリスタルやわずかにパティーナを施したマーカーなど、ちょっとしたところが“この時計とは似て非なるもの”とフォースター氏が考えているロレックスのモデルを思い起こさせる。チューダーはBBのラインナップで、本当にいいものを作っている。私は、クラウンをかぶった兄弟モデルよりも価値があると思うのだ。BB プロがヴィンテージのエクスプローラーⅡに似ていると言ったが、それらの時計の価格を見たことがあるだろうか。私はただ、スペードはスペードと呼びたいだけなのだ。
結局のところ、こうしたことは主観的なものであり、もしHODINKEEの読者の皆さんが私のことをおかしいと思うのであれば、それはそれで構わない。コメントで遠慮なくお知らせ欲しい。でも本当は、私が正しいのだ。
悪いね、ジャック。
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