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釣りで実際に魚がかかるまでの時間は、人生における大きな問いに思いを巡らすのに最適な時間だ。水辺では、日常生活から切り離され、大きな視野で物事を見ることができる。そして、本当に重要な本質的な問題に対する答えが、より簡単に得られるようになる。例えば、「ゾディアック スーパーシーウルフ プロダイバーの新しい42mmモデルは、ステンレススティールとチタンモデルのどちらがいいだろうか 」ということ。私はこの2週間、両方を断続的に着用していたが、決めかねていた。
ある晴れた日の午後、私はミシシッピ海岸の汽水域に答えを見つけに行った。そして、そのあいだにじっくりと考え、結論を出そうと思ったのだ。私は両方の時計を持参し、半分の時間をステンレススティールモデルで、残りの半分をチタンモデルで過ごすつもりだった。
しかし、旅の前半はアタリが来なかった。
スーパーシーウルフ プロダイバー
きっと スーパーシーウルフはご存じだと思う。数年前からバリューカテゴリーの旗手として活躍している。そのモデルと最近登場したデュオを分けるのは、名称にプロダイバーが加わっていること。つまり、どういうことなのか。
ゾディアックがついにレベルアップしたということだ。この時計は300mの防水性能(200mからアップ)とISO 6425に準拠した性能を誇っている。これはダイバーズウォッチと呼ぶためには必要なものである。つまり、文字盤に十分な夜光が備わっていることを確認するための厳しいテストと、熱衝撃テストに合格するような、ほかのいくつかのことを意味する。ジャックは過去の記事でその詳細をすべて明らかにしている(詳しくは記事「腕時計の防水表示を正しく理解する2つのISO規格に関する逸話」参照)。
チタンとステンレススティールの両バージョンとも、これまでのどのモデルよりもソリッドな印象だ。ゾディアックは、最初の、そして最も人気のあるダイバーズウォッチのひとつであるシーウルフを販売したが、この時計はその歴史的意義のレベルに匹敵するものであると感じる。フォッシルが製造したゾディアックの“ダイバーズウォッチ”(と、正式な認定を受けていないことを承知の上で言うが)は、その鮮やかな色使いもあって非常に高い評価を得ているが、決して“本格派”や“プロフェッショナル”と言えるような位置づけではなかった。そして、それは決して悪いことではなく、ここではプロダイバーの名が実際に持つ意味を理解することが重要なのだ。先々週、ユタ州の地熱温泉でダイビングをしたとき、バディにこの時計を貸した。彼はこの時計を気に入り、特に全面発光のベゼルを高く評価していた。チタン製のものを着用した彼は、ほとんど時計をつけていることに気づかなかったと話してくれた。無反射コーティングが施されたサファイアクリスタル風防は、ダイビングの際にも役に立つ。
内部には、フォッシル傘下のスイスメーカーSTP社が製造するSTP3-13を搭載している。
素材は重要
これまで身につけてきた時計を思い返してみても、ふた通りの金属で作られ、それ以外はほとんど同じという時計は、あまり思い当たらない。このゾディアックは、私にとって初めてのものだった。そして、ゾディアックにとっても初めてのことだ。チタンバージョンは2495ドル(約34万円)で、このブランドにとって新しい価格帯だ。SS製は1695ドル(約23万円)で、これはゾディアックが親しんだゾーンだ。私の感想は? ブランドがコアバリューに忠実である限り、少し上にチャレンジしているのが好きだ。ゾディアックの上層部は、ここで全製品を高級化するのではなく、より高い価格帯に存在する時計を生産しているだけなのである。1695ドルのSS製モデルは、このブランドらしさが出ているし、このセグメントを捨てて2500ドル台の時計にシフトすることはないだろう。
手首につけると、両者はまったく違う印象を与える。交互につけると、素材が大きな違いを生むということがよくわかる。ステンレススティールモデルは、存在感がある。手首を揺らすと、そこにあるのがわかるのだ。ブラックの文字盤とベゼルは、ダイバーズウォッチとしては比較的控えめで、ポリッシュ仕上げの表面は、ほんの少し派手でありたいと思わせるほどだ。ツールウォッチでありながら、ラグジュアリーな輝きも放っている。
一方、チタン製のリファレンスは、夏と海を意識して作られた時計のように感じられる。ゾディアックのカラフルな時計作りのアプローチに強く傾倒し、ゾディアック以外の時計ではありえないようなものになっているのだ。この時計は、好きな人もいれば、ちょっと派手すぎるなと感じる人もいるだろう。私は海辺に行くときに、この時計を愛用している。手首につけると非常に軽く、まるでムーンスウォッチをつけているような感覚だ。手首をある角度で動かすと、ラグが食い込むのを感じる以外は、つけていることを忘れてしまうほどだ。夜光が塗布されたベゼルは驚くほど明るく、オレンジ色のチャプターリングは人目を引く。しかし、私がこの時計で最も気に入っているのは、ポリッシュ仕上げの面がひとつもなく、全体がサテン仕上げであることである。この仕上げは、私にとってチタンが最も美しく見える方法だと思うからだ。チタンは戦術的、機能的、技術的に優れた素材であり、そのように扱われるべきではないだろうか(チタンを輝かせることに長けているグランドセイコーのようなブランドは別だ)。
得たもの
前半はずっと時計をいじったり、ボートデッキで写真を撮ったりしていた。魚のアタリがなかったからだ。通常、1匹釣ると食いつきが増え、その後何匹も釣れるものだが、その最初の1匹をどうやって釣り上げるかを考えなければならない。深場へ行ったり、ルアーを変えたり、浅場へ行ったり、風や流れに合わせたり、どうしたら釣れるか考えるのに疲れて、ひとつの場所に落ち着いてしまった。
そして、ついにアタリが来るようになった。あれだけ考えて騒いでいたのに、解決策はどうすればいいか考えず、ただやってみることだと判明した。シープシード(タイの一種)を数匹、クロダイを数匹、ホワイトトラウトを1匹、そして大きな魚(おそらくレッドフィッシュ)を数匹釣りそこなった。
その瞬間、別のことも明らかになった。こうした時計は、あまり考えすぎても仕方がない。私は最初からチタンの方が好きだった。より面白い時計だと思ったからだ。ステンレススティールのような無難さはない。ケース素材の長所と短所を考えようとしたことは、結局のところ無意味だったのだ。それぞれを1分ほどつけてみれば、どちらが自分に合っているかがわかるはずだ。読者はきっと、この話を聞く前から、どちらのバージョンがいいかは分かっているはずなのだ。
結局、人生も時計も、いろいろ考えて頭でっかちになるより直感で判断したほうがいいという結論に達した。魚釣りのためにエネルギーを節約しておこう。
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