trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Auctions 宇宙に行ったロレックス GMTマスターがオークションに出品

アポロ14号のミッションにて、宇宙飛行士エドガー・ミッチェルが着用したGMTマスターは、月面に持ち込まれた最初のロレックスであった。

ADVERTISEMENT

1971年2月5日、アポロ14号の月着陸船は宇宙飛行士のアラン・シェパード(Alan Shepard)とエドガー・ミッチェル(Edgar Mitchell)を乗せて月面に着陸した。アポロの宇宙飛行士たちにはオメガ スピードマスター プロフェッショナルが支給されていたが、ミッチェルはこのミッションに自身のロレックス GMTマスター Ref.1675も持ち込んでいた。ミッチェルが月面に足を踏み入れたことで、彼は史上6番目の月面着陸者となった。そして今、彼のGMTマスターが彼の個人コレクションのほかの時計とともにオークションに出品される。

 米海軍に入隊し、5000時間以上の飛行経験を積んだあと、エドガー・ミッチェルはNASAの第5期宇宙飛行士に選ばれた。彼はアポロ13号のオペレーションチームでの働きが評価され、大統領自由勲章を授与された。とくに月着陸船を地球に帰還させるための航路を支援するため、シミュレーターを操作してクルーを助けたことが彼の最も顕著な貢献であった。

edgar mitchell rolex gmt-master apollo 14

 ミッチェルはその後、アポロ計画8回目の有人ミッションであり、3度目の月面着陸となるアポロ14号の月着陸船のパイロットを務めた。月面着陸を果たしたあと、ミッチェルとシェパードは2度にわたって月面を歩いた(とくに有名なのは、シェパードが月面でゴルフボールを2、3個打ったエピソードである)

 アポロ計画の宇宙飛行士たちは、公式のオメガ スピードマスターを宇宙服の外側に着用することが求められていたが、一部の飛行士たちはスーツの内側にプライベートの時計をつけていた。ジャック・スワイガート(Jack Swigert)はアポロ13号で自身のGMTマスターを着用しており、Watches & Wonders 2023ではこの時計がロレックスコレクションの一部として展示されていたことから、現在はロレックスの所有物であると思われる。これまで公に販売された宇宙飛行歴のあるロレックスは、2009年のHeritage Auctionにて13万1450ドル(当時の相場で約1300万円)で落札されたロン・エヴァンス(Ron Evans)のペプシGMTマスターのみである。

edgar mitchell rolex gmt-master apollo 14
edgar mitchell rolex gmt-master apollo 14

刻印は、この時計が娘のカーリン(Karlyn)に贈られたことを示している。

 だがミッチェルのものは、おそらく月面に持ち込まれた最初のロレックスであったと考えられる。このGMTマスターは宇宙関連の記念品で名高いオークションハウス、RRオークションに出品された。同社は最近、宇宙飛行士たちに贈られた勤務kのオメガ スピードマスターもいくつか販売しており(こちらこちら)、公式的にミッチェルのロレックスを“アポロで飛行したふたつのロレックスのひとつ”としている。またミッチェルが離陸前やモジュール内、そして地球に帰還する直前にもこの時計をつけている写真が残っており、フライトのあいだ中ずっとこのGMTマスターを着用していた可能性が高いと考えられる。

 この時計には、2016年に亡くなったミッチェル本人が署名した鑑定書が付属している。また裏蓋には“1971年、アポロ14号でCDR(指揮官)E. ミッチェルが着用。娘のカーリンへ(Worn by CDR. E. Mitchell on Apollo 14, 1971. To Karlin [sic] – My Daughter)”と刻まれている。RRオークションは、このミッチェルのGMTマスターに40万ドル(日本円で約5940万円)以上の見積もりをつけている。なおオークションは10月25日に終了する。

edgar mitchell rolex gmt-master apollo 14

モジュール内でロレックスを腕につけたミッチェルの写真。

 これほど重要な時計であればロレックスも入札者として関心を持つだろう。ここ数年、ロレックスが歴史的価値のある自社の時計をオークションで手に入れているのは周知の事実だ。昨年も、サザビーズでウォーレン中佐のGMTマスター Ref.6542を落札した。これはヴィンテージGMTマスターとしては、最も高額な落札実績のひとつである(マーロン・ブランドのベゼルなしGMTが依然として最高記録を持っており、すでに2度の売却が行われている)。

edgar mitchell rolex gmt-master apollo 14

ロレックス GMTマスターをつけるエド・ミッチェル。

 ミッチェルのGMTマスター 1675は、少なくともRRオークションの最低見積もり額は達成するだろう。

 時計自体について言えば、シリアルナンバーから察するに1970〜71年製であることが分かる。つまりアポロ14号が飛行する直前に購入したと推測できる。ブレスレットコードは1970年末のものだ。興味深いことに、これは通常ロレックスのダイバーズウォッチによく見られるフリップロッククラスプが付いた9315ブレスレットが装備されている。“ペプシ”ベゼルは深い色合いへと経年変化しており、赤はわずかに退色。マーク1の“ロングE”ダイヤルはきれいに保たれ、夜光部分は温かみのある色合いに変化している。なお夜光針はわずかに薄くなっているが、これは初期のマットダイヤルでは珍しいことではない。ケースは厚みのある面取りが残されていて、傷も少なく、折り畳み式のオイスターブレスレットも同様に良好な状態だ。刻印と添えられた手紙から、まるでミッチェルがこの時計の将来の価値を見越していたかのようだ。娘にとって人生を変えるような価値を持つ時計になることを意識していたのかもしれない。

 今回のオークションにはほかにも、デイヴ・スコット(Dave Scott)のゴールドアポロ11号スピードマスターや、エド・ミッチェルのカスタムブローバなど、宇宙関連の時計がいくつか出品されている。しかしミッチェルのロレックス GMTマスターが最も重要な存在であることは間違いない。

エド・ミッチェルのGMTマスター 1675について詳しく知りたい方は、RRオークションのロット情報をぜひご覧ください。