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我々が知っていること
時計業界において、ベルネロンほど短期間で強い存在感を示した新興ブランドはまれだ。スイス・ヌーシャテルを拠点とし、デザイナーのシルヴァン・ベルネロン(Sylvain Berneron)氏が設立・率いるこのブランドは多くの注目を集めている。影響力あるコレクターたちの関心を勝ち取り、彼らは財布の紐を緩めて2023年に発表された2本のアシメントリーウォッチ、ミラージュを瞬く間に手に入れた。これはフルゴールド製のタイムオンリーモデルで、自社製ムーブメントを搭載している。
ベルネロンは、次なるコレクションにおいてより複雑かつ重厚な方向へと大きく舵を切った。これまでも写真やプロジェクトについての議論がオンラインで交わされていたが、今回ついにカンティエーム・アニュアルの詳細が正式に発表された。これはプラチナケースを採用した2本のカレンダーウォッチであり、デザインとメカニズムの両面で新たな革新が盛り込まれている。
新コレクションの写真やレンダリング画像が数カ月前に初めて公開された。ヌーシャテルに新設されたアトリエでは、3Dプリントによるケースやムーブメントのプラスチックモデルを見学する機会もあった。しかし完成品の写真を目にするのは今回が初めてであり、今週開催されるジュネーブ・ウォッチ・デイズで実機を目にすることができる予定だ。ただし留意すべきは、この新作に関してベルネロンはいまだ稼働するムーブメントを搭載したプロトタイプを完成させていないという点である。それが実現するのは今年後半から来年にかけてと見込まれており、納品開始は2026年10月に予定されている。我々としても、稼働するムーブメントの映像や写真をできるだけ早く入手し紹介するつもりである。それまでは、現時点で判明している情報をお伝えしよう。
新たなカンティエームコレクションではアニュアルカレンダーが披露され、ベルネロンによれば本作では、複雑時計にありがちな操作や維持管理に伴う複雑さや困難を軽減することを目指しているという。ユニークで新しいダイヤル構造が特徴で、時刻は縦方向に時・分・秒と上から下へ、日付は横方向に曜日・日付・月を左から右へ読むことができる。視認性向上のために大型の表示窓が採用され、特に上部のジャンピングアワー表示が強調されている。ダイヤルはラッカー仕上げを施した18Kゴールド製ベースプレートに構築され、シルバーとブラックの2種類が用意される。
自社製Cal.595は、ベルネロンが“クロスアーキテクチャ”と呼ぶ設計を採用しており、カレンダー機構用と時刻表示用のふたつのレギュレーターを備える。このムーブメントは、瞬時に表示が切り替わる4つの表示窓、2本のスイープ針、そしてレトログラード式日付表示を駆動する。ふたつの香箱を必要とし、エネルギーを4ヵ所に蓄える構造によって、異なるタイミングでの切り替え、あるいは大晦日の真夜中にすべてを一斉に作動させることが可能となっている。
このムーブメント設計は、操作性の面でもシンプルさを追求している。時刻と日付はステンレススティール(SS)製リューズを段階的に引き出す通常の方法で調整できる。一方、月と曜日はケース下部に配置されたふたつのプッシャーで操作する仕組みだ。ベルネロンによれば、この比較的シンプルなシステムにより時計の設定におけるストレスが軽減され、高額で時間のかかる設定ミスを防ぐことができるという。
もうひとつの革新的なデザイン要素がケース構造である。直径38mmで厚さわずか10mmながら、30mの防水性能を確保している。素材には重厚なプラチナを用いつつ、その外層にはSS製のレイヤーを組み込み、柔らかい貴金属であるプラチナが本来なら受けるはずの摩耗や傷を吸収する設計となっている。6つの部品から構成されるこのSS製レイヤーは取り外し・交換が可能。プラチナケース本体の状態を保護でき、またケース質量の約15%を占め、残りはプラチナが担っている。裏蓋の、ヒンジ付きオフィサーズケースバックの下にあるサファイアガラスを通して見えるのは、アングラージュ、ギヨシェ、セルクラージュ、そしてブラックポリッシュといった仕上げがあしらわれたムーブメントだ。
これまでのモデル同様、ベルネロンはカンティエーム・アニュアルの2種類のカラーバリエーションを、それぞれ年間24本ずつ製作する予定である。2026年の価格は12万スイスフラン(日本円で約2215万円)で、2027年には13万スイスフラン(日本円で約2400万円)、2028年には14万スイスフラン(日本円で約2585万円)へと引き上げられる計画だ。ミラージュ同様、このモデルも年間合計48本を10年間にわたって製作する予定だ。
我々の考え
ベルネロンは第2コレクションにおいて、これまでの路線を大きく転換した。独自の形状を持つ貴金属製ムーブメント、ミラージュが示した目を引くデザインの優美さに続き、今回は複雑なカレンダー機構を独創的に、そしてよりユーザーフレンドリーな形に洗練させることで、単なる一発屋という批判を回避している。カンティエームは、数百年の歴史を持ち何十年にもわたり複雑カレンダーウォッチを作り続けてきた名門ブランドと、若いブランドであるベルネロンを肩を並べる存在へと押し上げている。
まだ稼働するムーブメントのプロトタイプは完成していないが、その設計自体は示唆に富み、きわめて独創的に思える。ダイヤルのレイアウトやケース構造は、ラグ・トゥ・ラグが45mmという寸法ながら容易に装着できる仕様であり、革新性の限界を押し広げるている。シルヴァン・ベルネロン氏によれば、この新作にはすでに複数の注文が寄せられており、今回のジュネーブ・ウォッチ・デイズで、多くの有力コレクターが本モデルをひと目見ようと殺到するのは間違いないだろう。
基本情報
ブランド: ベルネロン(Berneron)
モデル名: カンティエーム・アニュアル(Quantième Annuel)
直径: 38mm
厚さ: 10mm
ケース素材: プラチナとステンレススティール
文字盤色: ブラックとシルバー
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: 20から16mmにかけたテーパード形状のバレニアレザー製ストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: 595
機能: アニュアルカレンダー&ジャンピングアワー。年1回、2月28日に修正が必要
直径: 30mm
厚さ: 5.95mm
パワーリザーブ: 100時間/4日間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時 (3Hz)
クロノメーター認定: なし
追加情報: 18Kゴールド製(メインプレート&ブリッジ)の476個の部品と、33石で構成
価格&発売時期
価格: 2026年以前は12万スイスフラン(日本円で約2215万円)、2027年には13万スイスフラン(日本円で約2400万円)、2028年には14万スイスフラン(日本円で約2585万円)
発売: 各ダイヤルカラーを年間24本、10年間にわたり製作
限定: なし、限定生産でありリミテッドエディションではない
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