Introducing J.N.シャピロでは初となる複雑機構、モノプッシャー・クロノグラフ搭載モデルが登場

　この時計はステンレススティール製で、ケース径は38.5mm、厚さは10.7mm。ムーブメントにはミンのためにカスタマイズされたラ・ジュー・ペレ製のCal.5000を搭載しており、かつてカルティエのトーチュ・モノプッシャーにも搭載されていたことで知られる、THA（Techniques Horlogères Appliquées）製のモノプッシャー・ムーブメントをベースにしている。このムーブメントの採用は、昨年設立されたオルタナティブ・オロロジカル・アライアンス（Alternative Horological Alliance）の存在が大きい。J.N.シャピロも加盟するこのアライアンスには、ミンやフレミングといったブランドが名を連ねており、ミンが過去にこのムーブメントを使用した経緯などもあって、今回の搭載が実現した。ムーブメントには、5Nローズゴールド仕上げのスケルトンブリッジと、手作業で磨かれた面取りが採用されている。

　ここ数年、J.N.シャピロはMADE IN AMERICAの時計製造に注力してきたが、本作では原点回帰ともいえるアプローチで同ブランドの真骨頂ともいえる文字盤製作に立ち戻っている。ダイヤル中央には黒く酸化処理されたジルコニウムが用いられ、“プログレッシブバスケットウィーブ”と呼ばれる編み目のような装飾が施されている。これは、3本の線からスタートし、4本、6本、そして最終的には8本へと徐々に織りの密度を上げていくもので、繊細な変化が見て取れる。インダイヤルの30分積算計には、ブランドを象徴する“インフィニティウィーブ”が採用されており、無限大（∞）のシンボルはリューズのプッシャー部分にもあしらわれている。時刻表示の要素はローズゴールド、クロノグラフ機能はシルバーで統一され、視認性とデザインのバランスも見事だ。

　このクロノグラフはカスタムオーダー品のため市販はされていないが、J.N.シャピロによれば価格は3万5500ドル（日本円で約523万円）とのこと。今後の展開に関心を寄せるコレクターにとって、ひとつの指標となるだろう。

　ただし、ラ・ジュー・ペレのCal.5000（あるいはTHA製ムーブメント）の使用においてひとつ問題があるとすれば、それはムーブメントのコンパクトさが最大の長所であると同時に、弱点にもなり得る点だ。一見メリットのように思えるかもしれないが、オリジナルの34mm幅のトーチュと違い、現代的なサイズ感のケースに収めようとすると、裏蓋側の眺めが少々寂しくなってしまう。いわゆる“パテック Ref.5070問題”、すなわち「小さなムーブメントに対して、大きなケースバックが生む空白」という構図だ。もっとも、これはダイヤル側の魅力（とりわけシャピロのエンジンターンによる技巧が光る面）に比べれば、ほんの小さな瑕疵にすぎない。このアイデアをブランドが次にどう発展させていくのか、非常に楽しみにしている。

ブランド: J.N.シャピロ（J.N. Shapiro）
モデル名: モノプッシャー・クロノグラフ（Monopusher Chronograph）

直径: 38.5mm
厚さ: 10.7mm
ケース素材: 316 ステンレススティール
文字盤色: 黒色に酸化処理されたジルコニウムダイヤルには“プログレッシブバスケットウィーブ”、サブダイヤルには“インフィニティウィーブ”仕上げを施している
インデックス: 時刻表示部はローズゴールド、クロノグラフに関する要素はシルバーで仕上げられている
夜光: なし
防水性能: 記載なし
ストラップ/ブレスレット: ブラックアリゲーター

キャリバー: ミン向けにカスタマイズされたラ・ジュー・ペレ製Cal.5000（THA製モノプッシャー・ムーブメントがベース）
機能: 時・分表示、クロノグラフ（3時位置に30分積算計を備えたモノプッシャー・クロノグラフ）機能
パワーリザーブ: 38時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 23
クロノメーター認定: なし
追加情報: 55Nローズゴールド仕上げのスケルトンブリッジと、手作業による面取り仕上げ

価格: 3万5500ドル（日本円で約523万円）
発売時期: 販売なし
限定: 14本限定。今後は同ムーブメントを用いた異なるスタイルのモデルも展開予定

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