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One to Watch 手ごろで楽しい、時計愛好家を魅了するブリューウォッチ

これはすべてのバリスタに贈る時計だ。

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本稿は2021年10月に執筆された本国版の翻訳です。

ウェブベースのマイクロ時計ブランドという小規模な産業は、2000年代初頭のフォーラムでそのコンセプトが誕生して以来、急速に拡大してきた。マイクロブランドはオンラインショッピングの黎明期において這い上がることを学び、勤勉な個人経営者たちはすぐに自分のガレージや地下室、あるいは狭いニューヨークのアパートからでも時計ブランドを運営できることに気づいた。

The Brew Metric surrounded by colorful candy

最近の実機レビューで取り上げたブリュー メトリック。

 マイクロブランドは、中間業者を排除するマーケティング手法を採用し、従来の、そしておそらくはやや時代遅れともいえる小売店での時計販売という流通方法に真っ向勝負した。流通の過程が少なくなることで利益の取り分を求める関係者も減り、より魅力的な価格設定が可能になった。こうした価格の優位性が小規模ブランドの魅力の中心にあり続けている。

 マイクロブランドの魅力の核心は、前述した価値ある価格帯で独自のデザインを提供する点にある。小規模で比較的新しい企業である彼らは、“ブランドDNA”やそれに類する期待にすぐに縛られることがないため、時計愛好家が求めるものや市場に足りないと感じるものに基づいて自由に改良や開発を進めることができる。

 そこで登場するのが、ジョナサン・フェラー(Jonathan Ferrer)氏のブリューウォッチ カンパニーである。


オリジン・ストーリー

 ジョナサン・フェラー氏がブリューウォッチを最初に考案したのは、2015年のニューヨークのカフェでのことだった。ニュージャージー工科大学で工業デザインを学び、2014年に卒業した彼は、在学中から卒業後にかけてクレヨラ、コールマン、ジェシカ・シンプソンなど、複数のブランド向けにホワイトラベル(メーカーやデザイナーが自身の名を出さないこと)の時計デザインを手がける仕事に従事していた。

A photo of a Brew watch being sketched by hand.

 そのカフェで彼は、バリスタがエスプレッソの1杯ごとにシンプルなキッチンタイマーに頼っていることに気づいた。そこで適したデザインの時計があれば、単に役立つだけでなくもっと楽しさも加わるのではないかと考えたのだ。

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「時計は、うまくつくらないと非常に冷たい印象を与えてしまいます。ブランドにとっては、そこに温かみや背景となるストーリー、そして実際に役立つ機能を加える絶好の機会でもあるのです」

– ジョナサン・フェラー、ブリューウォッチ

 こうしてブリューウォッチが誕生し、その年の暮れにジョナサン氏はブランド初のモデル、スペシャル ブレンドをデザインし、Kickstarterで発表した。142人の支援者を集めて3万5000ドル(当時の相場で約385万円)の資金調達目標を達成したことで、ジョナサン氏はニューヨークの自宅アパートを拠点とする時計ブランドの創設者となった。彼は母親に出荷作業やその他のサポートを頼み、ともに事業を進めていった。


我々が彼らを好きな理由

 その最初の時計以来、ブランドはそのアプローチを進化させ(Kickstarterはもう戦略の一部ではない)、ジョナサン氏は自身のデザイン哲学に基づき、時計のトレンドに合わせてブランドのデザインを着実に向上させてきた。その哲学の中心には、親しみやすさと独自性という絶妙なバランスがある。

Jonathan Ferrer holding to Brew watches up for the camera

 ジョナサン氏は、ブリューのデザインは親しみやすく、それでいて個性的であるべきだと考えている。特別でありつつも、先鋭的につくりすぎてメインターゲット層の好みから外れることのないようにしているのだ。ジョナサン氏と話すと、この6年ほどで多くのことを理解し、ブリューが何を得意としているか、そして誰のためにそれをつくっているのかについて、非常に明確なビジョンを持っていることが分かる。

 規模はまだ小さいものの、ブリューは成長を続けており、ジョナサン氏はその成長の大きな要因をマイクロブランドを可能にするテクノロジーではなく、時計業界における対面での交流にあると考えている。彼に尋ねたところ、特にRedBar(時計愛好家やコレクターが集まって交流するコミュニティやイベントのこと)やほかの時計ミートアップが、市場での足場を築き、顧客やブランドに対する認識を深めるために重要だったと語っていた。世界中のサプライヤーを通じてこの種の製品をつくるには、長い生産期間とリードタイムが必要だが、彼にとって重要だったのは顧客と本当のつながりを築くことだった。これにより、ブリューは次のリリースまでの間に忘れ去られることを防ぐことができた。

「もしこの数年間、時計愛好家やコレクターの集まりに参加していなかったら、本当の意味でこの業界の動向をつかむことはできなかったでしょう」

– ジョナサン・フェラー、ブリューウォッチ

 現在、ひとつのコレクションの生産規模は400~500本程度で、ジョナサンは今も自宅アパートを拠点に会社のあらゆる要素を管理している(だがそれはもうすぐ変わる予定だ。続きを読み進めて)。マーケティングから出荷作業、必要なアフターサービスまで、すべて彼が担当しているのだ。ブリューの時計を購入するということは、つまりジョナサン氏から直接買っているということになる。

Both versions of the Brew Metric sitting on the cover of a magazine featuring Brew watches
Jonathan Ferrer with Fred Savage, both wearing Brew watches

ニューヨークで開催されたWind Up Fairにて、ジョナサン氏とフレッド・サベージ(Fred Savage)氏。

Inspecting a Brew watch under a lit magnifying lamp

 現在のラインナップ、なかでもより魅力的なメトリック クロノグラフを見れば、ブリューウォッチはひとりの人物による独自の、そして常に洗練され続けるセンスから生まれたことが分かる。ブリューウォッチは1970年代の独特な雰囲気を持ち、どこか懐かしさを感じさせるレトロな魅力があり、過去10年にわたるミッドセンチュリーデザインへのこだわりとは一線を画している。

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 ブリューのデザインは楽しくて色鮮やかなものが多く、最小限のブランドロゴとカジュアルなスタイルが特徴だ。ロレックスやAPのような時計とは似ても似つかないが、クロノグラフの場合、25~35秒の範囲に特別なスケールが設けられていることが多い。これはエスプレッソを抽出するのに最適なタイミングを示すためのものだ。


次に来るもの
A shot of the Brew Metric on a wrist with the new Brew office in the background.

ブリューの新しいオフィススペース。

 ジョナサン氏はアメリカ国内で今後さらに多くの組み立てを行う計画を立てており、来月にはブリューの本社をニューヨーク市内の広いオフィスに移転する予定だ。これはブリューにとって大きな1歩であり、ジョナサン氏のキッチンテーブルにも余裕ができることだろう。またフルタイムの時計職人を雇うスペースも確保され、きっと大量のコーヒーも用意されるに違いない。

 ブリューのラインナップの多くが現在売り切れ状態となっているが、今秋には待望の再入荷が予定されている。さらにジョナサン氏は2022年春にまったく新しいモデルのリリースも計画している。

 成功と成長の継続、そして新しいオフィスへの移転計画があるにもかかわらず、ジョナサン氏はブリューをあくまで草の根的な取り組みとして維持すべきだと堅持している。ブランドが熱心な顧客とのつながりを保ち続け、個性的で楽しい、そして手ごろな価格の時計をつくり続けることを重視しているのだ。

Images by James K./@waitlisted and Brew Watch Co.

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ブリューウォッチは、ブリューの公式サイトで販売しています。