trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Watching Movies クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』にて、J・ロバート・オッペンハイマーを演じるキリアン・マーフィーが3本のヴィンテージハミルトンを着用

今週公開される映画において、ラジウムを使用した時計は彼の悩みの種にはならない。


ADVERTISEMENT

クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)監督の新作映画は、それ自体がひとつのイベントになることが多い。彼の映画はいつも時計と映画の交わりを愛する我々に感動を与えてくれる。例えば2014年において、それは『インターステラー(原題:Interstellar)』とマーフウォッチだった。そしてノーランは『TENET テネット(原題:Tenet)』をパンデミック真っ最中の2020年に発表し、同時に時を伝える方法を再構築したデジタルプロップ(小道具)ウォッチを発売した。このふたつに共通しているのは、映画産業との深いつながりで知られるハミルトンというブランドの時計であるということだ。しかも『TENET テネット』や『インターステラー』の時計はノーラン作品のために特別に考案されたものである。つまり、これはプロダクトプレイスメント(実在する企業・ブランドといった広告主の商品を使って、認知度を広めること)の関係というよりも、ハミルトンが非常に重要な役割を果たす、ある種の映画製作の伝統を受け継ぐものだということだ。

 私は両方の映画をかなり広範囲に取材し、その背後にいるプロップマスターやプロダクションデザイナーに話を聞いた。ノーランはパッションにあふれており、ブランドとうまく連携することでユニークな方法によりこれらの時計を銀幕に登場させたようだった。マーフウォッチは現代では、一部の熱狂的なファンから人気を得ているプロダクト(カルトクラシック)であり、ノーランが日常的に身につけていることで知られる時計でもある。

Oppenheimer

『オッペンハイマー』の撮影現場に立つキリアン・マーフィー(Cillian Murphy)とクリストファー・ノーラン。Image courtesy of Hamilton

 先週、ノーラン監督の最新作であり、おそらく彼の映画人生における最高傑作となるであろう『オッペンハイマー(原題:Oppenheimer)』が各地の映画館で公開される。過去の作品に引き続き、現代の偉大な監督のひとりは原爆開発の父でありタイトルと同名のオッペンハイマーを主人公にしたこの叙事詩的映画のために、再びハミルトンを起用した。


注目する理由

 先週末は、『オッペンハイマー』と“バーベンハイマー”の熱が最高潮に達していた。両作品の公開に向けた宣伝活動は、まさにマーケティングの教科書をなぞるように進み、世界中の映画館で観客を動員している。先日、午後5時に『オッペンハイマー』の上映(可能な限り早い上映時間だった)を終えてシアターから退出すると、ロビーと売店エリアは一面ピンクの海になっていた。そこは午後8時30分から始まる『バービー(原題:Barbie)』の上映を待つ観客でいっぱいだったのだ。私が見た劇場にいた何人かはバーベンハイマーの2本立て、そのパート2のためにスタンバイをしていた。いうまでもなく、これが我々が注目する理由だ。

Oppenheimer

クリストファー・ノーラン監督が『オッペンハイマー』でシリアン・マーフィーに演出を支持する際、IMAXカメラのレンズの向こうにいた撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマ(Hoyte Van Hoytema)。Image courtesy of Hamilton

 この映画はまさに映画という媒体を最高の形で活用した情熱的なプロジェクトにほかならない。『オッペンハイマー』でのノーランは、ほかの監督があえてやらないような方法で伝記映画を発展させ、映画史に残る監督のひとりとしての地位を確固たるものにした。全編をIMAXフォーマットで撮影したり、カラーとモノクロのフィルムストックを混在させたり、またCGIを1フレームも使用しないなど、『オッペンハイマー』はまさに体験に満ちている。そして我々はストーリーを知っているが、この映画の本質を台無しにしてしまうためにネタバレはためらわれる。

ADVERTISEMENT

 私がネタバレできるのは、ノーランと彼のチームがこの映画のために選んだ時計についてである。俳優のキリアン・マーフィー演じるオッペンハイマーは、作中で描かれた1920年代から1960年代までのおよそ40年間で、3本の異なるハミルトンの時計を着用していた。『インターステラー』や『TENET テネット』に登場する時計とは異なり、これらは映画のために製作されたものではなく、ハミルトンの実際のアーカイブから抽出されたヴィンテージモデルである(つまり、インディ・ジョーンズが身につけたような現行モデルではない)。

Vintage Hamilton

映画『オッペンハイマー』で使用されたハミルトン クッションB(左)、レキシントン(中)、エンディコット(右)。Image courtesy of Hamilton

 モデル自体は、華美な時・分針とアール・デコ調の装飾的な数字を備えたクッションBに、黒と白のエンディコット、そしてアプライドのインデックスを施したレキシントンの3本である。オッペンハイマーは長袖をしっかりと着込んでいたため、腕に巻いた時計のスクリーンタイムはそれほど長くはない。正直なところ映画のどの場面でも、袖の下からのぞく時計が何かを見分けるのは難しかった。しかしどの時計が着用されていたかは、製造年からおおよそ推測することができる。

 クッションBの歴史は1930年代初頭まで遡り、エンディコットはその年代の終わりごろだ。レキシントンは真珠湾攻撃の前に製造されたようで、1940年代初頭のかなり短い期間でしか生産されていない。映画を1回見ただけですべてを理解するのは難しいが、映画ではクッションBとエンディコットがもっともよく映っているように見えた。もしそうでなければ教えて欲しい。いずれにせよ、近いうちに70mm(フィルム)で2度目の鑑賞をするつもりだ。

Oppenheimer Hamilton

ハミルトン エンディコット。Image courtesy of Hamilton

Hamilton

ハミルトン クッションB。Image courtesy of Hamilton

Hamilton

ハミルトン レキシントン。Image courtesy of Hamilton

 作品内でヴィンテージのハミルトンを着用していたキャラクターは、なにもマーフィー演じるオッペンハイマーだけではない。マット・デイモン(Matt Damon)のレズリー・グローヴス・ジュニア(Leslie Groves Jr.)中将はハミルトンの軍用オードナンスウォッチとパイピングロックを、エミリー・ブラント(Emily Blunt)演じるキティ・オッペンハイマー(Kitty Oppenheimer)はレディ ハミルトン A-2を着用していた。

Hamilton

ハミルトンの軍用オードナンスウォッチ(左)と、パイピングロック(右)。Image courtesy of Hamilton

Hamilton

レディ ハミルトン A-2。Image courtesy of Hamilton

 ヴィンテージにインスパイアされた膨大な数の現行ラインナップを活用すれば、とても簡単だったに違いない。ただ複雑に絡み合った米国史を扱うにあたって当時の有名なアメリカの時計メーカーを取り上げ、それを正しく遂行するためにアーカイブにまで手を差し伸べるという、ノーランの細部へのこだわりがうかがえる。

ADVERTISEMENT

見るべきシーン

 映画の中盤、オッペンハイマーと彼のチームが長い時間をかけて開発した爆弾を、最初の実験のために準備するシーンがある。爆弾が投下され、実際に作り出した爆発(再び言及しておくが、この映画でCGIは使われていない)が起こる直前、彼の手首がミドルアップで映し出され、その際にエンディコットかクッションBのどちらかと思われるものが確認できる。

Oppenheimer

Image courtesy of Hamilton

 そして広島と長崎での悲劇的な出来事の数年後、オッペンハイマーはアメリカ政府との機密保持契約の問題に直面する。その際ロバート・ダウニー・Jr.(Robert Downey Jr.)演じるルイス・ストローズ(Lewis Strauss)が豪華なリビングルームで過ごしているシーンで、オッペンハイマーの袖の下にアプライドインデックスのハミルトン エンディコットが素早く映し出される。

Oppenheimer

『オッペンハイマー』(キリアン・マーフィー主演、エミリー・ブラント、ロバート・ダウニー・Jr、マット・デイモン)はクリストファー・ノーラン監督、プロップはギヨーム・ドルーシュ(Guillaume DeLouche)が担当。この作品は現在各地で上映中。

Shop This Story

HODINKEE Shopはハミルトンの正規販売店です。