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小径トレンドの今だからこそ着けたいデカ厚時計おすすめ5選

小径化が進む時計業界の今、あえて選びたいのが存在感抜群のデカ厚時計。編集部が“今こそ着けたい一本”を厳選して紹介。

近年の腕時計業界で、特に顕著なトレンドとして語られているのがケースサイズの小径化です。かつては40mm以上がメンズウォッチの標準とされてきましたが、ここ数年は直径40mmを下回るモデルの存在感が明らかに増しています。2025年のWatches & Wondersを振り返ってみても、34mmのA.ランゲ&ゾーネ 1815や、IWCのインヂュニアに新たに加わった35mmサイズなど、ユニセックスで着用できるモデルが数多く発表されました。性別や体格を問わず楽しめるサイズ感は、確かに今の気分を象徴していると言えるでしょう。

 しかし、もう少し視野を広げて時計業界全体を見渡してみると、興味深い動きも見えてきます。たとえばチューダーは直径43mm、厚さ13.6mmケースのモデルを拡充しており、いわゆる“デカ厚”と呼ばれるカテゴリの時計も、小径化という大きな流れの中でしっかりとリリースしています。つまり今起きているのは、単純な小型化トレンドではなく、「着けやすさ」や「自分にしっくりくるサイズ感」を重視する流れなのではないでしょうか。

 そこで今回は、小径モデルに注目が集まりがちな今だからこそ、あらためて“デカ厚時計”にフォーカス。編集部のエディターたちが、それぞれの視点で「今こそ着けたい一本」をセレクトしました。条件としたのは、ケースサイズが直径43mm以上で厚さは14mmオーバーのモデル。サイズの数字だけでは語れない、大ぶりな時計ならではの魅力を、ぜひ楽しんでください。


ロンジン ウルトラ-クロン カーボン
By Yu Sekiguchi

普段、カルティエをはじめとして小さめな時計ばかり着けている僕が、割と本気で気になっているのがデカ厚時計の進化だ。2000年代に始まったかつてのデカ厚ブームは、44mm径、15mm厚を超えるものも珍しくなく、腕時計のアクセサリー的側面を極端に表現。大型ケースがムーブメントのサイズにも余裕を与えたことで、ロングパワーリザーブ化を目指した複数の香箱の搭載、コラムホイールを備えた自動巻きクロノグラフなどを中心とする、自社製ムーブメント開発も同時に盛んになった。“自社製”の是非はここでは論じないが、デカ厚ブームは腕時計のクオリティを高める大きなきっかけになったのである。

 そして現在、かつてのブームとの大きな違いは必然性のある大型化が意識されているということ。そのユニークな例がロンジンのウルトラ-クロンだ。このシリーズは43mm、14mm厚というケースサイズを与えられ、2022年に復活。ところが1968年当時のオリジナルは41mmであり、かつてよりもサイズアップがなされているのだ。この設計についてロンジンは「当時の男性用時計の標準的サイズに対するウルトラ-クロンの大きさを、現代に置き換えた場合43mmが等しい印象になる」と想定したようだ。確かに、当時は34〜36mmが中心的なサイズであり、現在主流である36-40mmに対しては43mmは妥当な選択かもしれない。

 このウルトラ-クロン カーボンは、さらにデカ厚がもたらしたケース素材の開発という恩恵をも兼ね備える。本機はかつてのぷっくりとしたプラスチック風防の風合いを再現するため、厚みのあるサファイアクリスタルを採用。この重量を、カーボンとチタンを巧みに用いることで相殺し(総重量は約80gだ)、装着感を高める一因とした。僕の17mmの手首でギリギリ収まるようなサイズ感であるものの、短く少し角度のついたラグのおかげもあって腕載りは良好。最近試した43mm超の時計のなかでも、着け心地の良さは指折りである。

 20年を経たデカ厚時計は、装着感や時計としてのパッケージの面で圧倒的に進化しており、現在主流でないからこその、つくり手の試行錯誤が込められているように思う。ロンジンはもうすぐ200年に達する有数の老舗であるが、彼らの存在意義はイノベーションである、とCEOのパトリック・アウン氏は語った。豊かなヘリテージを持ちながら安易な復刻を行わず、淡々とアップデートを繰り返した足跡がその歴史なのだ。それを象徴するような時計がこのウルトラ-クロン カーボンであると、僕は考えている。

価格: 77万7700円(税込)

その他、詳細はロンジン公式サイトへ。


オメガ シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ
By Masaharu Wada

デカ厚時計と聞いて、まず思い浮かんだのがこの1本です。オメガのシーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ。直径45.5mm、厚さ18.12mmという圧倒的なサイズに、6000m防水というスペック。数字だけを見れば、日常使いとは無縁の存在にも思えます。

 6000mという防水性能は、人間の活動領域をはるかに超えています。明らかに過剰です。しかも大きく、重く、そして価格は200万円を超える。合理性だけで考えれば、選ぶ理由はどこにもありません。

 それでもこの時計に惹かれてしまうのはなぜか。腕時計がなくても時間を知ることができる時代に、あえて機械式時計を買い集め、気づけば30本近く所有している自分がいる。しかもそれをIT業界を飛び出して仕事にまでしている。冷静に考えれば、これもまたある種の“過剰”なのかもしれません。実用を超えたところに価値を見出してしまう姿勢が、6000mという到達点を本気で実現してしまったウルトラディープとどこか重なります。

15.5cmと細腕の僕の手首に装着されたオメガ シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ。

 このモデルが象徴するのは、単なる大きさではなく「到達点」です。ケース素材には独自開発のO-MEGASTEELを採用し、一般的な316Lスティールを上回る耐圧性と耐傷性を実現。僕が選んだのは、グレーとブラックのダイヤルにオレンジのアクセント、そしてオレンジベゼルを組み合わせたモデル。無骨なスペックとは対照的に、この配色はスポーティで現代的な表情を与えています。搭載されるのはコーアクシャル マスタークロノメーター Cal.8912。1万5000ガウスの耐磁性能と60時間パワーリザーブを備え、技術的な完成度も抜かりはありません。

 小径化が進む時代に、ここまで振り切れた一本をあえて選ぶ。必要ではない。けれど、どうしても心が動く。その感覚こそが時計趣味の本質なのだと思います。ウルトラディープは、単なる巨大なダイバーズウォッチではなく、「好きだから着ける」という現代の腕時計観を体現したデカ厚時計なのではないでしょうか。

価格: 201万3000円(税込)

その他、詳細はオメガ公式サイトへ。


パネライ ルミノール マリーナ チタニオ PAM03325
By Yusuke Mutagami

元々ツール系の時計に傾倒していたこともあり、俗に“デカ厚”と呼ばれる時計も、特に意識せず身に着けてきた。たとえば、以前所有していたセイコー プロスペックスのマリンマスターは直径44.3mm、厚さ15.4mm。重さも222gと、数字通りの重量級だった。僕が持つ唯一の“宇宙に行った時計”であるブローバ ルナパイロットも直径43.5mmあり、初期の復刻モデルに至っては45mm径に達する。確かに、デイリーに使うにはシンプルに重い。周囲のものにぶつけたり、引っ掛けたりすることも少なくない。だが、そのサイズに“必然性”があるのなら、僕はこの重さすら好意的に受け止めてしまう。 

 逆に言えば、明確なバックボーンやスペック上の理由が見えないデカ厚はいたずらに重量を増しているだけに見えてしまい、少し抵抗がある。視認性を確保するために必要だったのか。あるいは、ムーブメントのサイズに起因してケースが大きくなったのか。そこには、サイズを正当化できるストーリーがあって欲しいのだ。そう考えたとき、個人的なデカ厚ブランドとして外せないのが、やはりパネライなのである。

 パネライが民生用モデルの販売を始めた1993年ごろは、プロユースのツールウォッチでも40mm径を超えるモデルは珍しい時期だった。そんななかで44mm径(しかもリューズプロテクターにより、実寸以上に大きく見える)時計は、多くの目に異質に映ったはずだ。しかし、このサイズは伊達ではない。軍用ダイバー由来の“道具”としての要件を満たすための、必然だったのだ。300m防水と高耐久のケースを備え、かつてはイタリア海軍の機密事項でもあったその時計は、視覚的にもバックボーン的にも、当時の消費者に強烈なインパクトを与えたことだろう。

 そして2025年は、プレ・ヴァンドーム期のモデルが復刻を果たしただけでなく、ブランドの基幹コレクションであるルミノール マリーナも刷新が図られた。防水性能を500mにまで引き上げつつ、ケースサイズは当時と変わらない44mm径を維持する。その姿勢は、まさにブランドが純粋なツールウォッチとして原点へと立ち返ろうとしているようでもある。加えて、2025年にCEOに就任したエマニュエル・ペラン氏が「ブランドの特徴や強みを強化する」ことを課題に掲げているという点も、その流れを後押しする材料だ。

 今後もパネライのDNA(独特の意匠や、あのサイズ感)を見直し、肯定していく取り組みは続いていきそうである。そんなタイミングだからこそ、改めてパネライに注目したい。さらに言えば、伝統的なフォルムをチタンやカーボンで仕上げたモデルも、ツールウォッチらしい合理性の延長線上にある選択だ。歴史あるデカ厚ウォッチを日常に取り入れるうえで、その重さや取り回しへの抵抗をふっと軽くしてくれる――意外と、いい入口となってくれるかもしれない。

価格: 157万3000円(税込)

その他、詳細はブランド公式サイトへ。


IWC ビッグ・パイロット・ウォッチ IW501001
By Kyosuke Sato

普段は40mm以下の小ぶりな腕時計を好む筆者だが、着けたいデカ厚時計として思い浮かぶものは、実を言うと結構ある。今も購入できるもので選ぶなら? IWCのビッグ・パイロット・ウォッチのIW501001を選びたい。ビッグ・パイロット・ウォッチのケース径は46.2mm、厚さは15.6mmと、セイコー スプリングドライブ スペースウォークに引けを取らないデカ厚である。そして、この時計も必然性から生まれた正当なデカ厚である点が、惹かれる理由だ。

 1940年に誕生したビッグ・パイロット・ウォッチ キャリバー 52 T.S.C.(Ref.IW431)を直接的な源流とするIW501001。コックピットの計器類を思わせる視認性の高いミニマルなデザインのダイヤル、パイロットがフライトグローブを着けた状態でも操作しやすい大ぶりな円錐型リューズなど、この時計の特徴的なディテールはオリジナルから受け継がれており、その歴史に裏打ちされた必然性ゆえの正当なデカ厚と言える。また急激な気圧変化にも対応する両面反射防止加工を施したドーム型サファイア風防や、耐磁性軟鉄製インナーケースの採用もオリジナルの哲学を受け継いでいるためである。

 その見た目が惹きつける大きな理由ではあるが、スペックも魅力的。搭載する自社製Cal.52110は、セラミック製部品を備える効率的なペラトン自動巻きで、ふたつの香箱を採用することで約7日間のパワーリザーブを確保する。所有する時計の本数が増えてくると数日経つと時計が止まってしまうのが常だが、この時計なら1週間の猶予(少なくとも時計を外した際にフル巻き上げ状態であれば)がある。加えて3時位置にパワーリザーブインジケーターを備えているので、残量を視覚的に判断できるところも頼もしく感じている。

 自身の経験上、正当な理由を持たないデカ厚時計はやがて着けなくなるのが目に見えている。でもそれが歴史的な理由や、その時計が持つ特性であれば、個人的には納得してデカ厚時計を手に取ることができるのではないかと思っている。

価格: 209万8800円(税込)

その他、詳細はIWC シャフハウゼン公式サイトへ。


コルム バブル 47
By Yuki Matsumoto

私はこれまで、いわゆる“デカ厚時計”というトレンドを羨望と諦めの目で見ていた。というのも、私の手首回りは13cm以下。メンズウォッチの標準とされる40mmですら、正直なところかなり大きい。そんな華奢な腕に、43mmオーバーの時計なんて…どう考えても無理がある。着けられないわけではないけれど、どうしても着せられている感が拭えないのだ。中途半端に大きな時計を無理して着けて、かえって腕の細さを強調してしまうくらいなら…いっそ、振り切ってしまえばいいのでは? と思った。そんな思考の末に辿り着いたのが、コルムのバブル 47 ホース オートマティックだ。

 バブルコレクションが誕生したのは2000年。故セヴリン・ワンダーマンによって生み出され、そのあまりに大胆な造形は、当時の時計業界に少なからぬ衝撃を与えた。名前のとおり、泡のように盛り上がったドーム型サファイアクリスタルが最大の特徴だ。この分厚いガラスは単なる風防ではない。まるでレンズのように文字盤を歪ませ、拡大して見せる。視認性を良くするどころか、あえて歪ませるという発想。その姿勢は、時間を知るための道具というより、完全に楽しむためのオブジェだ。トランプやスカルなど、遊び心全開の文字盤が揃うのもバブルらしい魅力だろう。

 今回選んだのは、躍動感のある二頭の馬が文字盤に鎮座するモデル。ケース径は47mm、厚さは18.5mm。もはや時計というより、手首に載せるオブジェと言ったほうがしっくりくる。最大8mmもの厚みを持つドーム型サファイアガラスの下で、二頭の馬が楽しそうに前脚をあげている。しかもこの馬はスーパールミノバ仕様で、暗闇のなかでボディが白く光る。

 この時計を私の細い腕に乗せたら、ラグが手首の幅を大きく超えるのは間違いない。違和感ももちろん全開だろう。でも、それでいいのだと思う。なぜならコルム バブルは、一般的な成人男性の腕に着けたとしても、そのドームガラスの存在感で“はみ出す”時計だからだ。誰が着けても規格外。そう考えると、私が長年抱えてきた“手首に対して時計が大きすぎて似合わない”というコンプレックスは、この時計の前では不思議と効力を失う。男性ですら持て余すサイズ感なら、私の腕で大きくはみ出していても、それはサイズ選びの失敗ではなく、そういう時計を選んだ結果なのだ。

 この圧倒的な異物感によって、華奢な腕であること自体が、もはや問題ではなくなる。中途半端な常識を捨てて、腕に光る馬を飼う。そんなぶっ飛んだ選択肢があってもきっといい。

価格:165万円(税込)

その他、詳細はコルム公式サイトへ。