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オメガが初めて冬季オリンピックの公式タイムキーパーを務めたのは1936年。ドイツのガルミッシュ=パルテンキルヒェン冬季オリンピックから始まり、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックで90年という節目を迎えた。大会に参加するアスリートたちが雪上や氷上で迫力あるパフォーマンスを繰り広げるなか、オメガはオフィシャルタイムキーパーとして、今年もその存在を世界に示すこととなった。連日、日本代表選手の活躍が報じられ、盛り上がりを見せている大会もあとわずかだが、オリンピックの楽しみはまだ続く。
Cameron Spencer / スタッフ, Getty Images Europe / Getty Images Sport
オメガが、各大会ごとに数々のオリンピック記念・限定モデルをリリースしてきたことをご存じの方は多いだろう。だが、オメガが初めて発売したオリンピック記念・限定モデルは何だったのか? あるいはそうした時計が初めて発売された大会はいつだったのか? それを知る方はそこまで多くはないのではないだろうか。その歴史を振り返ると、数々の魅力的な時計が登場しており、それと同時に興味深いストーリーがいくつも存在している。ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの熱戦の余韻に浸りながら、オメガが手がけた冬季オリンピックの歴代記念・限定モデルにも熱い視線を送って欲しい。
2026年 ミラノ・コルティナ冬季オリンピック
2026年のミラノ・コルティナ冬季オリンピックでも多くの記念・限定モデルが発売されている。開催の2週間前となる1月20日にシーマスター ダイバー300M ミラノ・コルティナ 2026。そして開催100日前のタイミングではスピードマスター 38 ミラノ・コルティナ 2026、そして開催の1年前となる2025年の2月6日に発表されたシーマスター 37mm ミラノ・コルティナ 2026の存在も忘れてはならない。
なお、これらの時計についてはHODINKEEでもその詳細をしっかりと報じている。各時計を取り上げた記事のリンクは以下のとおりだ。
実は記念・限定モデルの発売がなかった年も多い
オメガが初めてオリンピックに関連した記念・限定モデルがリリースされたのは1956年。しかし、次の記念・限定モデルが登場するのは、1976年のインスブルック冬季オリンピックまで待たなければならない。そのあいだに冬季オリンピックが開催されなかったのかというとそんなことはない。1940年と1944年は第2次世界大戦中であったため中止となったが、それ以外の大会は開催されている。
オメガは公式タイムキーパーとして計時を担当していたが、あまりオリンピック記念・限定モデルを発売するという土壌がなかったこと、あるいは大会のいくつかでオメガが公式タイムキーパーではなかったなど、理由はいくつか考えられるが、以下に挙げた各大会ではオリンピック記念・限定モデルは発売されていない。
- 1936年 ガルミッシュ=パルテンキルヒェン冬季オリンピック
- 1948年 サンモリッツ冬季オリンピック
- 1952年 オスロ冬季オリンピック
- 1960年 スコーバレー冬季オリンピック
- 1964年 インスブルック冬季オリンピック
- 1968年 グルノーブル冬季オリンピック
- 1972年 札幌冬季オリンピック
- 1984年 サラエボ冬季オリンピック
- 1998年 長野冬季オリンピック
- 2002年 ソルトレークシティ冬季オリンピック
なお、第16回(1992年)まで、オリンピックは夏季も冬季も同じ年に開催されていた。第17回(1994年)からは開催年が別となり、夏季オリンピックと2年おきに開催されているため、1992年のアルベールビル冬季オリンピックまでは、“オリンピック記念・限定モデル”は厳密に言うと、夏季・冬季の区別のないものとして作られていたようだ。
1956年 コルティナ・ダンペッツォ冬季オリンピック
オメガ シーマスター XVI(2850SC)。
オリンピックに関連した記念・限定モデルとしてオメガが初めて手がけたのが、1956年に登場したシーマスター XVI(2850SC)だ。18Kのソリッドゴールド仕様のみ展開された特別なモデルで、猫足ラグを有する独特のケース形状、アルファハンドにクサビインデックスなど、オメガでは1950年代の高級モデルにのみ見られた特徴を備える。そして特徴的なのが、中央よりやや下の6時側の位置にオリンピック功労十字章をあしらったダイヤルである。よく見ると、アイボリー色のダイヤルに配されているオリンピックリングは赤一色で表現されていた。
厳密に言えば、この時計はメルボルン夏季大会向けに発表されたが、投入されたのはコルティナ・ダンペッツォ冬季大会の後だった。また、市場でメルボルンオリンピックモデルとして紹介されているものとして、ダイヤル下の6時側に“XVI”のアプライドモチーフをあしらうものを見かけることができるが、オリンピック功労十字章をダイヤルに持つモデルと同様、それもオリンピック記念モデルである。なぜ、このような仕様違いがあるのか?
オメガはダイヤルにオリンピック功労十字章をあしらったシーマスター XVIをローズゴールドとイエローゴールドでそれぞれ100本製造していたが、オリンピック功労十字章を入れた時計の販売許可を得ていなかったために発売ができなかった。そのため、それら100本のプロトタイプは回収され、当時のアスリート、著名人、そしてメルボルン&コルティナ・ダンペッツォの両大会に関わった高官たちに贈られることになったという。その後、腕時計は再設計され、オリンピック功労十字章の代わりにローマ数字の“XVI”をダイヤルに配し、シーマスター XVIとして発売したというのが、ことの顛末だ。そうした歴史的なエピソードもこの時計を魅力的なものにしている。
1976年 インスブルック冬季オリンピック
オメガ シーマスター クロノクォーツ。
本作はモントリオール(夏季)・インスブルック(冬季)オリンピックが開催された1976年に登場したシーマスター クロノクォーツ(196.0052)、通称“アルバトロス”である。ケースバックにシーホースと共にオリンピックの功労十字章を示すモチーフがあしらわれており、間違いなくオリンピック記念モデルだが、どちらかと言えば、その年に目玉となる時計を販売したという意味合いが強い。
1976年当時、時計業界ではクォーツ、それもLCDのデジタル表示を備えた時計が席巻していたほか、スポーツには電子計時が不可欠だったため、オメガはそうした事情を反映した時計として本作をリリースした。それゆえオリンピック関連モデルでありながら、製造数は約1万5000本と多く、今も比較的入手しやすい。
世界初のLCDによるデジタル・アナログ表示を備えたクォーツクロノグラフで、そのハイブリッドデザインはスコアボードの外観を模倣したもの。47mm×51mmという大きなサイズもまたスコアボードに通じる。
1980年 レークプラシッド冬季オリンピック
オメガ 50周年記念 スケルトン・スプリットセコンド・クロノグラフ懐中時計。
1980年のモスクワ(夏季)・レークプラシッド(冬季)オリンピックの年に登場したのが、この懐中時計である。およそオリンピック記念モデルのようには見えないが、それもそのはず。これはどちらかと言えば、オメガが1980年にオリンピックの公式タイムキーパーとなり50周年を迎えたことを記念して製作したものだからだ。
この時計は機械式としては当時最高峰の100分の1秒計測が可能な高精度なスプリットセコンド・クロノグラフで、言わば計時に使用されるオリジナルのスポーツストップウォッチをスケルトン化した記念品的なもの。そのため、基本的に一般向けに販売されるものではなかったが、一部がコレクター向けに少量販売されたと言われている。
1988年 カルガリー冬季オリンピック
オメガ シーマスター ポラリス 1/100
1988年に開催されたソウル(夏季)・カルガリー(冬季)オリンピックを記念して発売されたのが、シーマスター ポラリス 1/100(DB 386.1232)である。いわゆる“ポラリススタイル”の18Kイエローゴールドとステンレススティールケースを持ち、世界初の100分の1秒クロノグラフを搭載し、タイムデータを11本までメモリーできるハイスペックなアナデジモデルで、世界限定1000本のリミテッド エディションとして製作された。ケースバックにはオリンピック記念モデルであることを示す文言をあしらったモチーフが施されているが、そこにはオメガのロゴと共に“OFFICIAL TIMEKEEPER OF THE OLYMPIC GAMES, CALGARY AND SEOUL 1988 LIMITED EDITION”という文言が添えられている。
1992年 アルベールビル冬季オリンピック
1992年、フランスのアルベールビルで開催された冬季オリンピックでは記念・限定仕様のシーマスター ポラリス クロノグラフ(当時の表記はシーマスター “オリンピア” クロノグラフだった)が登場した。時計本体やダイヤルにオリンピックならではのディテールは見られないものの、ケースとブレスレットを繋ぐセンターリンクに特別な特徴が見られる。それが12時側のセンターリンクに施されたオリンピックマークと赤十字の刻印、そして6時側のシリアルナンバーだ。
なお、オメガがこのオリンピックのために製作したシーマスター ポラリス クロノグラフは厳密に言うと、ひとつではなく、ブレスレットのリンクで区別されるふたつのバリエーションがある。ゴールドのセンターリンクがあり、そこにxxx/499のシリアルナンバーがあるものは、499本限定で一般市場向けに作られた“コレクターズバージョン(DK386.1031)”。そしてフルSS製ブレスレットで、xxx/250のシリアルナンバーが刻まれているものは、オリンピックスポンサーのために作られた非売品の250本限定の“スポンサーズバージョン(DM386.1031)”である。
残念ながら公式画像はないものの、スピードマスター オートマティック デイト(縦3つ目の日付付き)をベースにした世界限定500本のアルベールビル冬季オリンピック限定モデル(175.0043)も存在している。ブラックダイヤルにシルバーのインダイヤル仕様のほか、メインダイヤルもインダイヤルも真っ白なカラーリングのモデルも存在する。共通してケースバックには“ALBERTVILLE 1992 CHRONOMETREUR OFFICIEL”のテキストと限定シリアルナンバーが刻まれている。
1994年 リレハンメル冬季オリンピック
1994年ノルウェー・リレハンメル冬季オリンピックを記念して発売された限定のシーマスター300(2862.21.57)。36mmサイズのクォーツ仕様がベースとなっており、世界限定194本で発売された。ダイヤルに赤くオリンピックマークと赤十字のプリントがあしらわれているのが特徴で、裏蓋には限定モデルを示す刻印と限定のシリアルナンバーが刻まれた。また、専用ボックスにはオリンピックカラーの交換用レザーストラップも同梱されており、オリンピックならではの特別感を提供した。
当時としては先進的なフルチタンケース仕様であったことや、インデックス・針にトリチウム夜光を施していたため、現在は焼けてクリーム色〜薄茶色になっている個体が多く、ヴィンテージモデルとしての評価も高い。なお、1998年の長野冬季オリンピック、2002年のソルトレークシティ冬季オリンピックではオメガが公式タイムキーパーではなかったことからオリンピック記念・限定モデルは作られず、その登場は2006年のトリノ冬季オリンピックまで待つこととなった。
2006年 トリノ冬季オリンピック
イタリア・トリノで開催された冬季オリンピックを記念したコレクションは、歴代の冬季オリンピック記念・限定モデルのなかでも特に充実していた。そして同時に、これまでにはなかったオリンピックを想起させるわかりやすいカラーリングを取り入れ、同じデザインコードに従った3つの特別なクロノグラフがイベントに華を添えた。
まずはスピードマスター オートマチック トリノ 2006 リミテッド エディション(3538.30.00)。これはCal.3220を搭載した39mmの自動巻きのスピードマスターをベースとしたモデルで、世界限定2006本で発売された。同様に、シーマスター アクアテラ クロノグラフ トリノ 2006 リミテッド エディション(2515.30.00)は、Cal.3301を搭載した42mmのシーマスター アクアテラ クロノグラフがベースで、世界限定206本。スピードマスター ブロードアロー ラトラパンテ トリノ 2006 リミテッド エディション(3886.30.37)は、Cal.3612を搭載した44.5mmのスピードマスター ブロードアロー ラトラパンテがベースで、世界限定26本だった。いずれもダイヤルはホワイトかシルバーであり、クロノグラフ秒針のカウンターウェイトにオリンピックマーク(しかもオリンピックカラー!)をあしらった。またダイヤルにはブルーで“TORINO 2006”の文字を、ダイヤル外周にはレッドで心拍数計測のパルスメータースケールを施すという共通のディテールを取り入れた。
また、この3本の数量限定仕様のほかに数量限定ではないものとして、Cal.1152ベースの日付表示付きの自動巻きクロノグラフであるスピードマスター オートマチックデイトをベースとしたモデル(3516.20.00)も登場している。
2010年 バンクーバー冬季オリンピック
オメガ シーマスター ダイバー300M バンクーバー 2010 リミテッド エディション
バンクーバー冬季オリンピックを記念して発売されたシーマスター ダイバー300M バンクーバー 2010 リミテッド エディションは、サイズ違いで41mmの212.30.41.20.04.001と、36.5mmの212.30.36.20.04.001の2種類が用意された。サイズが異なる以外、デザインは共通。やはり目を引くのは限定モデルならではの大胆なカラーリングとディテールだ。カナダの国旗にも通じるホワイトのラッカーダイヤル、そして鮮やかなレッドカラーのベゼルインサートを採用する。また、秒針のカウンターウェイトにオリンピックマークを配するなど、遊び心のあるディテールを備えており、限定モデルならではのアイデンティティを主張した。開催年にちなんで、どちらも世界限定2010本で発売された。
2014年 ソチ冬季オリンピック
ソチ冬季オリンピック開催に際してリリースされたシーマスター プラネットオーシャン "ソチ 2014" リミテッド エディション。本作も2010年のバンクーバー冬季オリンピックの際と同様、45.5mmの522.30.46.21.01.001、そして37.5mmの522.33.38.20.04.001というサイズの異なるふたつのモデルが用意された。基本スペックは当時の現行モデルであるCal.8500(45.5mm)と8520(37.5mm)搭載機の仕様に準ずる。
45.5mmの前者はブラックセラミックベゼル上のダイビングスケールに、ロシア国旗を連想させる青と赤のラッカー仕上げ(1〜5分が青、6〜10分が赤)を採用したブラックダイヤルを持つブレスレット仕様。37.5mmもダイビングスケールのカラーリングは同様だが、こちらはホワイトセラミックベゼルにホワイトダイヤル、そしてホワイトのレザーストラップを合わせた爽やかな雰囲気を纏う。どちらも世界限定2014本の限定仕様で、シースルーバックに“Sochi 2014”のロゴと限定番号を刻印する。
さらに本大会ではもうひとつ、まったく毛色の異なる記念限定モデルが発表された。それが、ミュージアムコレクション No.4 ペトログラード 1915 ソチ 2014(522.53.33.20.02.001)だ。2000年代中盤(2005〜2006年頃)に登場したミュージアムコレクション No.4 ペトログラード 1915(5703.30.01)をベースにした特別仕様で、ベースモデルはヒンジ付きラグを備えたトノーケースに、スモールセコンド付きの自動巻きムーブメントのCal.2200を搭載。対するオリンピック記念でリリースされたものでは、ムーブメントがコーアクシャル脱進機を持つCal.2202へ変更されており、ダイヤルもほかのソチ冬季オリンピックモデルのデザインコードに合わせて、通常はレイルウェイミニッツトラックであるところが赤い24時間表示に変更され、時・分針もブルースティールとしている。5703.30.01のペトログラード 1915は1915本限定だが、オリンピック記念仕様のほうは100本限定と数が少ない。
2018年 平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック
平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックを記念してリリースされたのは、シーマスター プラネットオーシャン ピョンチャン 2018 リミテッド エディション(522.32.44.21.03.001)、そしてシーマスター アクアテラ ピョンチャン 2018 リミテッド エディション(522.10.42.21.03.001)だ。
前者のプラネットオーシャンは世界限定2018本の限定仕様で、開催地である韓国旗をイメージした鮮やかなブルーとレッドが印象的なモデル。一方のアクアテラは、一見するとシンプルなブルーのダイヤルに見えるが、4時から6時位置の分目盛り部分にあしらわれた“PYEONGCHANG 2018”の文字を象徴的な5色のオリンピックカラーで彩った、ひと目でオリンピックとわかるデザインを特徴とする。こちらも世界限定2018本で、前者のプラネットオーシャンとともにケースバックの外周に限定番号が刻印され、シースルーバックのサファイアクリスタル部分にはピョンチャン大会のロゴが施されている。また、オリンピックデザインの特製ボックスに収められる点も共通している。
2022年 北京冬季オリンピック
北京冬季オリンピック開催を記念してリリースされたモデルはふたつ。シーマスター ダイバー300M 北京2022 スペシャルエディション(522.30.42.20.03.001)とシーマスター アクアテラ 北京2022(522.10.41.21.04.001)だ。
前者はレーザーエングレービングによる波模様を採用したダイヤルを持つ既存のシーマスター ダイバー300Mをベースに、氷上のクールな空気感を想起させるサンブラッシュ仕上げのブルーセラミックダイヤルや、2(レッド)、4(グリーン)、8(イエロー)、10(ブルー)、12時(ブラック)位置のミニッツマーカーにオリンピックカラーが配された遊び心あるアクセントを特徴とする。ほかにもグレード5チタン製ベゼルリングには立体的なダイビングスケールを備え、スペシャルエディションの証としてケースバックに北京2022大会エンブレムを刻印する。数量限定ではなく期間限定モデルで、現在は生産を終了している。
後者も既存モデルをベースとしているが、こちらは氷や雪景色を想起させるフロスト加工されたホワイトセラミックダイヤルを採用。また、ホワイトスーパールミノヴァをあしらったブルーのインデックスと針、そして赤い“Seamaster”の文字とミニッツトラックの4つのクォーターナンバーがスポーティさと視認性を両立させるダイヤルデザインのアクセントとなっている。大胆にオリンピックカラーをあしらったシーマスター ダイバー300M 北京2022 スペシャルエディションとは対照的にややエレガントな仕上げが特徴だ。こちらも数量限定ではない。それどころか、現在も購入可能なようだ。
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