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クイック解説
2003年は偉大な年だった。「シカゴ」がオスカーの作品賞に輝き、コンコルドが最後のフライトを果たし、フォルクスワーゲン・ビートルの最終モデルが生産され(古いバージョン)、アーノルド・シュワルツェネッガーがカリフォルニア州知事になり、そしてヴァシュロン・コンスタンタンが最後のレディス専用腕時計コレクションを発売した。この腕時計コレクションは、エジェリーと称され、シンプルなトノー型に特化したものだった。翻って現在、わたしたちは、エジェリー(「瞑想」を意味する)コレクションの二つめとなるバージョンを手にしている。それは全く新しいデザインになっている。
このレディース専用コレクションは、ジュネーブサロンとオートクチュール(最高級のハンドメイド服)を念頭にデザインされている。エジェリーは、素晴らしい質感を感じる文字盤、オフセンターのリューズ、日付窓またはムーンフェーズ、ブレゲ(風)の数字、そして当然ながら、ダイヤモンドの使用を特徴としている。
まず自動巻きモデル(35mm)、次にムーンフェーズ・モデル(37mm)、最後にムーフェーズとパヴェダイヤモンドのモデル(37mm)を見てみよう。自動巻きとムーンフェーズのモデルは、SSまたは18KPGを使用し、どちらもダイヤモンドがあしらわれている。ムーンフェーズとパヴェダイヤモンドのモデルは、18KWGタイプのみの発売だ。
ムーブメントは、自動巻きCal.1088と1088L(ムーンフェーズ)。それぞれ、3つの相互交換可能なストラップ付きで、SSバージョンにはフォールディングクラスプを伴ったSS製ブレスレットが付いている。パヴェ・ムーンフェーズのモデルは、2つの相互交換可能なストラップ付きだ。
全体的に、これらの5つの腕時計は、ヴァシュロン・コンスタンタンのレディス向けラインナップに加わった高級な製品群だ。プライスレンジは、SS製自動巻きの216万円から、パヴェダイヤモンド付きWG製ムーンフェーズの664万円までとなっている。
ファースト・インプレッション
わたしは、スイス・ブランドがレディース用腕時計に再び焦点を当てていると認識している。わたしが最近毎日尋ねられるのは、自社の腕時計が誰からも受け入れられるために、腕時計業界が何を行っているのか、またエジェリーのコレクションにおける変化の証についてである。パテック フィリップのオーマティック TWENTY~4の発売(さらにはスタンダードなクォーツのTWENTY~4の生産中止)に引き続き、ヴァシュロンは最新かつ精巧なレディス用コレクションに取り組むようになった。しかしながら、わたしは、ヴァシュロンが、レディス用腕時計の新参者ではないことを心に留めておくべきだと考える。彼らはレディスモデルを取り揃えている8つの異なるコレクションを有しており、その最も著名なものはオーヴァーシーズ、パトリモニー、トラディショナル、そしてヒストリーク 1921だ。しかしながら、エジェリーは17年前にローンチされた(しかも非常に異なる)前作モデル以来、この腕時計メーカーが生産した最初のレディス専用コレクションなのである。
エジェリーは、全ての女性向けではないかもしれないが、扇形状の文字盤テクスチャーをはじめとする、考え抜かれたディテール、ブレゲ(風)の数字、相互交換可能なストラップ(オーヴァーシーズに類似する)を見ると、彼らには伝統的でありながらモダンさをも同時に維持したいのだと確信する。
わたしにとって最大の注目点は、相互交換可能なストラップである。その理由は、わたし自身がストラップの交換方法を知らないからではなく、数多くの消費者が現実的にそれを行わないからだ(そして実際、装いを変えたいと思うたびに、誰がいちいちブティックを訪れるだろうか?)。このストラップは、ヴァシュロンが、ユーザー自身で腕時計をカスタマイズすることに確信を持っているという証だ。小さいが重要なディテールであり、ブルガリやジャガー・ルクルトといった多くのブランドが、レディスウォッチに関して提供しているものである。
さらにわたしが注目する2つの点は、これらの腕時計の自動巻き自社ムーブメントとサイズだ。自動巻きムーブメントであることは自明であるべきなのだが、ここでもう一度言っておきたい。わたしは正統的なムーブメントを愛してはいるが、正直に言うと、外出中に腕時計を巻くのは面倒な場合がある。わたしは根っからの自動巻き好きなので、恥ずかしいということはない。さらに言えば、ヴァシュロンが引き続き35mmと37mmのケースを手掛けたことには、新鮮な思いがする。28㎜のケースは素敵だが、レディスウォッチの大型化傾向は、もはや単なる一時的流行ではなく、れっきとしたスタイルとして定着していると思う。
全体的に見れば、ヴァシュロンが女性の顧客向けへの投資を継続しているのは素晴らしいことだ。次の17年に何が起きるのか、わたしは楽しみにしている。
基本情報
ブランド:ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)
モデル名:エジェリー(Égérie)
型番:自動巻き、4605F/000Rと4605F/110A。ムーンフェーズ、8005F/000Rと8005F/120A。ムーンフェーズ・パヴェダイヤモンド、8006F/000G
直径:35mmまたは37mm
厚さ:9.32mm(直径35mm)、10.53mm(直径37mm)
ケース素材:ステンレススティール、ピンクゴールド、ホワイトゴールド
文字盤色:シルバーまたはパヴェダイヤモンドのセット
インデックス:アプライドのブレゲ風数字
夜光:なし
防水性能:30m
ストラップ/ブレスレット:18KPGの自動巻きおよびムーンフェーズのモデルは3本の相互交換可能なストラップ。SSバージョンは、スティールのブレスレット。パヴェダイヤモンド使用のムーンフェーズは、2本の相互交換可能なストラップ。
ムーブメント情報
キャリバー:自動巻き自社Cal.1088と1088L
機構:時間、日付、ムーンフェース(モデルによる)
直径:20.8mm
厚さ:3.80mm
パワーリザーブ:40時間
巻き上げ方式:自動巻き
振動数:2万8800振動/時(4Hz)
石数:26
価格・発売時期
価格:18KPGの自動巻き、302万円。SSの自動巻き、266万円。18KPGのムーンフェーズ、350万円。パヴェダイヤモンド使用18KWGのムーンフェーズ、664万円(いずれも税抜価格)
限定:通常生産モデル
詳細についてはヴァシュロン・コンスタンタン公式サイトへ。