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我々が知っていること
ファーラン・マリはすっかり大人になった。ブランドは2021年、ヴィンテージウォッチにインスパイアされたメカクォーツクロノグラフをKickstarter限定で販売し、コレクション界の一部に旋風を巻き起こした。しかしこの2年間を経て、彼らはクォーツの型から抜け出すために大きな一歩を踏み出した。私は同社の3針機械式ウォッチ(今年の初めにレビューした)を強く信じているし、Only Watchのためのセキュラーパーペチュアルカレンダーは頭角を現し、将来的にワイルドで手頃な価格の複雑時計が登場する可能性を示している。しかし、ファーラン・マリはついに一巡し、すべての始まりである時計をアップグレードした。今日、彼らはレボリューション(Revolution)とアウロ・モンタナーリ(Auro Montanari)氏とコラボレーションした、ファーラン・マリ初となる機械式フライバッククロノグラフを発表した。
まず、ほとんどの人がアウロ・モンタナーリという名前を知っていると思うが、HODINKEEでその名前はあまり使わない。実際イタリア人コレクターであり、写真家であり、作家である彼のことを、ペンネームであるジョン・ゴールドバーガー(John Goldberger)と呼ぶのが私たちのルールであるからだ(彼とTalking Watchesのエピソード1、エピソード2のときのように)。しかし、あなたがヴィンテージウォッチに最も精通した権威の一人となり、彼が見たほぼすべての時計の写真的な記憶を持っているとしたら、もはやペンネームの陰に隠れていても仕方がない。また、このような時計をデザインするのに最適な人物であることも間違いない。
レボリューションのウェイ・コー(Wei Koh)氏はファーラン・マリ初期の支持者であり、2021年に共同創業者であるアンドレア・ファーラン(Andrea Furlan)氏とハマド・アル・マリ(Hamad Al-Marri)氏をモンタナーリ氏に紹介した。私がこのブランドを強く意識するようになったのは2022年、ボローニャにあるモンタナーリ氏の自宅で、彼の時計箱の中に2本のファーラン・マリを見つけたことがきっかけだった。それは私の中で大きな後押しとなった。そして今回、この2人がタッグを組み、3本のコラムホイール式フライバッククロノグラフをそれぞれ300本ずつ製作。計30本のコレクターズボックスセットに収めて販売するのだ。
いずれも38mm径×13.2mm厚のスティールケースで、デザインはモンタナーリ氏が担当している。1940年代と1950年代のヴィンテージウォッチからインスピレーションを得ており、2本の時計には“オリーブスタイル”のプッシャーが、残りの時計にはTasti-Tondi(ラウンドキーの意)にインスパイアされたクロノグラフプッシャーが付いている。最初の時計、Ref.3177-A “トープフライバック”はモンタナーリ氏の影響を強く受けており、ファーラン・マリを通じてのみ入手可能だ。2本目のRef.3188-A “サーモンフライバック”、はサーモンピンクとブラックのツートンカラーダイヤルが特徴的な、レボリューションだけのウェイ・コースペシャルモデル。最後のRef.3199-A “ハニーブルーフライバック”は深みのあるブルーダイヤル、ハニーベージュのインダイヤル、23Kイエローゴールド製PVD加工の針を備えている。文字盤はサンドイッチスタイルで、各モデルはポリッシュ仕上げ・プリントのダブルインデックスを配している。さらに6時位置のラグのあいだにエングレービングが施され、それぞれにシリアルナンバーが刻まれている。
それぞれの時計の内部には、約58時間のパワーリザーブを備えたコラムホイール式フライバッククロノグラフ、Sellita AMT 5100を搭載。ファーラン・マリにとっては最大のアップグレードとなる。しかしそれ以上に、ムーブメントはファーラン・マリのためだけに再設計されたブリッジ、サーキュラーグレイン、コート・ド・ジュネーブ、ブルー仕上げのコラムホイールとビス、18Kローズゴールドのコーティングと、カスタマイズが施されている。サファイアクリスタルのシースルーバックをとおして、その壮麗な装飾が施されたムーブメントを見ることができる。
我々の考え
ファーラン・マリのファンであることに加えて、私は幸運にもアウロ・モンタナーリ氏を以前から知っており、彼がこのブランドでクロノグラフを作っていると聞いたときかなり興奮をした。ファーラン・マリの素晴らしい点のひとつは、より民主的な価格設定と全体的に堅実な価値観によって、私のようなファンが過去の偉大なヴィンテージウォッチを手の届く価格で体験できることだ。さらに素晴らしいことに、彼らはコピーのようなオマージュになりすぎない、ちょうどいいラインに位置している。その精神とモンタナーリ氏の知識が組み合わされたことで、勝利のコンビネーションが完成したのだ。
私のお気に入りは“トープフライバック”だ。読みとりやすさも理由のひとつ。しかし私はクラシックなのも大好きなので、“サーモンフライバック”のピンクとブラックの文字盤のコントラストよりも、はるかに昔のパテック セクターダイヤルクロノグラフを思い出させてくれる、陰影のあるモノトーン文字盤のほうが好みだ。Tasti-Tondiのプッシャーは気に入っているが、このコントラストは私のには少し強すぎる。同様に“ハニーブルーフライバック”のゴールドは、特にSSケースには少し違和感があった。でもどれを選んでも間違いはないと思う。
実際には、これらの時計の背後にある名前に関係なく、ほかの多くの小さな工夫がこれを素晴らしい価値にしていると思う。フォトグラファーとしては、5層の無反射コーティングと1層の防指紋コーティングを施したドーム型サファイアクリスタルを採用していると聞いたとき、私の耳が敏感に反応した。指紋と反射が大嫌いなのだ。サテン仕上げされた裏蓋のフランジが、アップグレードされたセリタ製ムーブメントの実に美しい仕上げと色合いを際立たせている。
今年の予算はほぼすべて消化しているので、このリリースに関しては間違いなくFOMO(取り残される恐怖)になる。チームは各モデルを300本用意するという素晴らしいことを成し遂げたが(最も高価な腕時計を製造しているマイクロブランドとしてはかなり大きな生産数だ)、非常に早く売り切れるだろうと推測している。
基本情報
ブランド: ファーラン・マリ(Furlan Marri)
モデル名: トープフライバック、サーモンフライバック、ハニーブルーフライバック("Taupe Flyback," "Salmon Flyback," and "Honey Blue Flyback")
型番: 3177-A(トープ)、3188-A(サーモン)、3199-A(ハニーブルー)
直径: 38mm
厚さ: 13.2mm
ケース素材: 316Lステンレススティール
文字盤: 濃淡のあるトープ、ポリッシュ仕上げのSS製CNC針(3177-A)、ツートンのサーモンピンク、ポリッシュ仕上げのSS製CNC針(3188-A)、ブルー、ポリッシュ仕上げとカーブ仕上げのSS製CNC針、23KYG製PVDコーティング(3199-A)、パルスメーター
インデックス: アプライド&プリント
夜光: なし
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ベジタブルタンニンでなめしたフランス製牛革ストラップ2本。316Lスチール製バックル、刻印入り
ムーブメント情報
キャリバー: Sellita AMT5100
機能: 時・分・スモールセコンド、フライバッククロノグラフ(30分積算計)
パワーリザーブ: 約58時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 23
クロノメーター: なし
追加情報: ムーブメントと一体化したコラムホイール式フライバッククロノグラフ機構、コート・ド・ジュネーブ仕上げ、ブルースクリュー、ブルーコラムホイール、サーキュラーグレイン、18Kローズゴールドムーブメント、再設計されたブリッジ、ファーラン・マリ専用エングレービング、5層の無反射コーティングと1層の耐指紋層を施したスクラッチプルーフサファイアクリスタル
価格 & 発売時期
価格: 各モデル2750スイスフラン(日本円で約46万6000円)、ボックスセットは8250スイスフラン(日本円で約139万7000円)
発売時期: いますぐ
限定: あり、各300本ずつ。ボックスセットは全部で30セットのみ